参議院で審議中の「医療・介護総合法案」は、厚労相が法案の論拠となる説明を撤回するなど、およそ成立させてはならない法案であることが明らかです。
5月15日に自民・公明だけで衆議院本会議で強行採決し、参議院にまわされたものの、同法案には関係のない説明文が入った文書を全参院議員に配るという前代未聞の大失態によって、参院での審議入りが10日以上も遅れ、今月2日に審議入り。
3日には、参院厚生労働委員会で、共産党の小池晃議員が、介護保険サービス利用料を現在の1割から2割に倍化する「年金収入280万円以上」の人について、厚労省の根拠データが虚偽であることを明らかにし、5日の同委員会で厚労相がその論拠を撤回しました。
厚労省が利用料を2割に倍化する説明はこうでした。
▷夫の収入280万円、妻79万円、計359万円の高齢者夫婦無職世帯をモデル世帯として例示。
▷このモデル世帯では、収入から税と医療・介護保険料を引いた可処分所得と平均的消費支出の差が60万円で、医療と介護の世帯負担上限額の56万円を上回る。
▷だから、介護保険の利用料を2割にしても大丈夫。
ところが、ここで言う「平均的消費支出」247万円は収入250万円~349万円の世帯で、これより60万円多い可処分所得307万円の世帯は収入359万円。収入250万円~349万円の世帯の可処分所得はというと、197万円。つまり、預貯金を取り崩して生活しているわけです。
低い所得階層が預貯金を取り崩した消費支出を、高い所得階層の可処分所得と比較して、お金が余っていると説明し続けてきた政府。
こういう虚偽説明で、社会保障への国の責任を放棄する法案は廃案しかありません。