『比較のなかの改憲論』(辻村みよ子著、岩波新書)を読みました。
2012年12月に自民・公明の第二次安倍政権復活とともに現実味を帯びてきた改憲。そして「96条先行改正論」が強まった13年3月末以来、「外国の憲法では憲法改正手続きはどうなっているか」といった質問が、比較憲法を専門とする著者に多くなった、とのこと。
本書ではこうした疑問に、比較憲法的視座から憲法改正をめぐる諸見解や諸外国の例をできる限り客観的に解説し、問題の本質を浮き彫りにすることをめざしています。
なにより、平和や憲法改正について、党利党略や「政治の論理」、時代錯誤の復古主義的思考によって主権者を翻弄させることがあってはならず、これからの憲法論は、個人の人権を守るために国家が存在し、戦争こそが最大の人権侵害であることを基礎として、新時代を先取りする観点から論じることが肝要であり、そのためにも熟議の時間を十分に確保することか最重要と訴える著者の言うとおりだと思います。