『あたらしい憲法のはなし 他二篇』(高見勝利編、岩波現代文庫)を読みました。
編者がこの本を「世に問うゆえん」は、「憲法改正が政治課題として浮かび上がってきた現在、制定当時の内閣が『新憲法の精神』をどう捉え、その実現に努力すべき」としたかを知るこが重要だからにほかなりません。
本書では、日本国憲法が公布・施行される1946~47年に発行された三つの小冊子を紹介しています。
最初に発行されたのが、1946年11月3日、憲法公布の日に、法制局閲・内閣発行の「新憲法の解説」。憲法制定時の内閣の憲法観が如実に示されている貴重な冊子です。
次に発行されたのが、1947年5月3日、憲法施行の日に、憲法普及会の「新しい憲法 明るい生活」。憲法普及会は、「新憲法の精神を普及徹底し、これを国民生活の実際に浸透」させるために帝国議会内に1946年12月1日に設置され、1年間にわたって憲法の普及活動に従事しました。
この冊子は全国の二千万家庭に配布されました。
これらに続いて、1947年8月2日に発行されたのが文部省による中学1年生用の社会科の教材「あたらしい憲法のはなし」でした。
編者の「解説」を含めて160ページもない文庫ですから、安倍晋三さんや石破茂さんにはぜひ読んでほしいと思います。