『皆保険を揺るがす「医療改革」』(横山寿一編著・日本医療総合研究所監修、新日本出版社)を読みました。
安倍政権下で進む、医療の新たな市場化を告発する書です。
社会保障・税一体改革は、自民党政権時の小泉構造改革に端を発し、民主党政権のもとで民自公三党合意によって仕上げられ、自民党に手渡されて今日に至るわけですが、社会保障に関しては、野党時代の「裸の自民党」による憲法を無視した「社会保障制度改革推進法」が社会保障解体と市場化のテコであることを解きほぐします。
そのもとでの政府による医療提供体制の再編シナリオ、「地域包括ケア」を切り口にした介護保険をめぐる動向、看護需給見通しのまやかしなど看護体制と医療提供体制再編の問題、TPPが国民皆保険・地域医療にもたらす根本問題、原発事故による健康障害・放射線から身体を守る医療の問題、福祉国家型医療保障のありようから見た経済的理由による受診抑制と受診困難な実態など、現時点での日本医療をめぐる深刻な問題と、その転換方向を示してくれます。