『科学の限界』(池内了著、ちくま新書)を読みました。
1996年、J・ホーガンは、科学研究が認識論的限界・物理的限界・経済的限界に差し掛かっていて、これらの限界を科学は克服できないのではないかと問いかけ、「科学の終焉」を論じました。
本書ではより広い文脈から科学の限界を検証したい、として、①人間が生み出すものとしての限界、②社会が生み出すものとしての限界、③科学に内在する限界、④社会とのせめぎ合いにおける限界、の4つを考察します。
そのうえであるべき科学の姿を提示するのが本書の圧巻です。それは複雑系の科学と結びついて最先端科学となる可能性があるとともに、博物学の復権にも寄与する科学です。
「文化としての科学」「人間を大切にする科学」、そしてサイズも費用も身の丈に合っており、誰でもが参加できる「等身大の科学」の提唱です。