「ここまで変わった日本史教科書」

『ここまで変わった日本史教科書』(高橋秀樹・三谷芳幸・村瀬信一著、吉川弘文館)を読みました。160916%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%8f%b2

今月発行の本で、「数十年前の日本史教科書と現在の日本史教科書とでは記述内容や視点にどれだけ大きな違いがあり、またそれが主として日本史研究の進展にともなう学説状況の変化に裏づけられたものであることを伝えるというのが本書のねらい」です。160916%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%8f%b2%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%90%e3%83%bc「2000年以降、証拠とされた石器の発掘が捏造であったことが確認され、すべての遺跡名が教科書から消えることになった」のは当然としても、「変容する『聖徳太子』」、「更新される一揆のイメージ」、「『士農工商』で語れない身分制度」、「高度成長期への新たな視点」などなど、なるほど、と思わされることがたくさんです。160916%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%8f%b2%e3%83%bb%e3%82%aa%e3%83%93具体的にはたとえば、「1980年代の教科書では、高度成長の要因として、技術革新、貿易の自由化、エネルギー革命(石炭から石油への転換)などを挙げるに止まっていた」ものを、終身雇用、年功賃金、企業別組合を特徴とする日本的経営がその視点として取りあげられるようになったことなどです。

なお本書は検定など現行の教科書制度が前提で、その解説もあります。

柳家小三治の「ま・く・ら」

『ま・く・ら』(柳家小三治著、講談社文庫)を読みました。160913%e3%81%be%e3%81%8f%e3%82%89

以前に『柳家小三治の落語1~3』(小学館文庫)を読んだ際、この本を紹介されました。1982~1997年に語られたもので、1998年6月発行ですが、ちっとも古くは感じません。

それどころか、師匠は96年に57歳ですから今の私の年。いやに身近に感じました。160913%e3%81%be%e3%81%8f%e3%82%89%e7%9b%ae%e6%ac%a1まくらは、「落語の本題に入る前のイントロ」ですが、本人は「本題に自信がないので独演会などの時にぐずぐずごまかしのためにやり出した」と言っています。

「柳家小三治というひとのものの考え方、世の中への対処のしかたに、まっすぐ一本筋のはいったでんとしたものがあ」る、とは解説を書いている師匠の句友の矢野誠一さん。160913%e3%81%be%e3%81%8f%e3%82%89%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%90%e3%83%bc%e8%a3%8f

たまたま本屋に寄ったら、「8年を経て、ついに刊行再開!!」と『柳家小三治の落語4』が今月発行でおいてありました。

夕陽妄語3

『夕陽妄語(せきようもうご)3 2001-2008』(加藤周一著、ちくま文庫)を読みました。夕陽妄語3

私にとってはどんなにリスペクトしようとしきれないような「知の巨人」。04年には9人の呼びかけ人の一人として「九条の会」を立ち上げ、その後、9条改憲を許さない講演・啓蒙活動にまい進していたように思います。

08年12月5日に89歳で亡くなりました。もう8年になりますが、とくに政治的・社会的問題が発生するたびに、私などは、“加藤さんならこの問題にどんな表現で立ち向かうのだろう”と思うことがしばしばです。

「夕陽妄語」は「朝日新聞」に1984年7月から月に一度の連載として始まり、2008年7月まで285回、加藤さんの表現で書き綴った文章で、その最終巻が本書です。夕陽妄語3カバー

解説の小川和也氏が書いています。「『夕陽妄語』の一方の軸には、友人の死や、感覚的経験など、かけがえのない人生の一回性に関わる随筆があり、一方の軸には、その一回性を超えて進む歴史や政治、あるいは、人間や芸術・文化を破壊する戦争に対する意見・抗議がある。その二つの軸が交わっているのが、『夕陽妄語』である…『夕陽妄語』を読むことは、現代という時代と人間を読むことである」。

私が言わんとすること(?)そのものです。

「貧困とセックス」/日本社会の真実に向き合う

『貧困とセックス』(中村淳彦・鈴木大介著、イースト新書)を読みました。貧困とセックス

対談している2人は、「コンビニの片隅に置いてある実話話や男性娯楽誌出身のライター」。中村氏は「性風俗、AV、介護業界側」、鈴木氏は「犯罪加害者周辺」から取材を続けているそうですが、2人が「取材してきたのは、支援者にもつながることができず、みずからがなんの被害者であるかも認識できず、苦しいと言えない、声に出す能力すらないというなかでもがき続けている貧困者だった」。貧困とセックスカバー「裏社会」のリアルが読む側に迫るのですが、2人の「日常の取材が勝手に『貧困問題』になっていった」。 2人から出てくる言葉は「結論としては、法人税の累進課税を強化するか、資本家に富が集約しないシステムをつくることと、それを国が再分配すること」。貧困とセックスオビ裏アンダー・グラウンドとか裏社会とかと言われる世界にごく普通の人が入っていかざるを得ないとも思われる、 日本社会の内実・真実に向かい合うためにも、目をそらせません。

日本会議の全貌/憲法活かす草の根の市民運動を/中之作朝市/また…

『日本会議の全貌』(俵義文著、花伝社)を読みました。160806日本会議全貌

日本最大の右翼組織であり、安倍政権の民間における強力な支持母体がこの日本会議です。この組織の成り立ちと今日までの活動、性格、構成メンバー、めざすものなどについて、その実態をできるだけ詳細に明らかにし、その正体を多くの国民に知らせていくこと、このような政治家を国政でも地方政治でも無くしていくたたかいに役立てるために書かれたのが本書です。160806日本会議全貌裏表紙 「地方から中央へ」、「草の根」戦略を意識的に、長年にわたって実践し続け、国会と政権中枢を「ジャック」する状況は明らかです。 日本会議による政治・社会・教育の乗っ取り・支配を許さない、日本国憲法を活かす草の根の市民運動のさらなる広がりをつくらねばと、強く思います。DSC02227

朝は第9回中之作(なかのさく)朝市に妻と行ってきました。朝7時から9時までで、8時半ごろに行ったので、まもなく店じまい準備でしたが、滑り込みで3店ほどで買い物ができました。160806またけさもまた庭のアジサイの枝に…

文学部で読む日本国憲法/また抜け殻/党創立94周年

『文学部で読む日本国憲法』(長谷川櫂[かい]著、ちくまプリマー新書)を読みました。文学憲法

1933年に谷崎潤一郎が書いた『陰翳礼賛(いんえいらいさん)』は、1868年の明治維新から65年ほどたった時の随筆だそうです。その時代は、江戸時代が終わって60余年、すでに失われた江戸時代までの文化こそが「純日本風」の文化であるという幻想が生み出されていて、谷崎もそんな幻想を抱いており、著者によればこの著作は、「日本文化についての名随筆とみえながら、じつは日本の近代化の歪(ゆが)みを映し出した傑作」とのこと。

ならば、戦後の時代精神について考える戦後の作品はないか、と探し続けてたどり着いたのが日本国憲法。文学憲法オビ

その日本国憲法が日本人に求める民主主義、平和主義、表現の自由の3つの言葉を日本人が習得したとはいえず、「日本の戦後はまだはじまったばかりです」。同感です。160805セミ殻さて、けさもまたセミの新たな抜け殻。咲き終わっているアジサイにつかまっています。

夕刻には党創立94周年記念講演会を自宅パソコンで視聴です。DSC02214冒頭に、SEALDsの諏訪原健(たけし)さん、安保関連法に反対するママの会の西郷南海子(みなこ)さん、市民連合の広渡(ひろわたり)清吾さんの3人の来賓あいさつがあり、 続いて3人の新参院議員のあいさつ。トップがわれらがいわぶち友さん。武田良介さん、山添拓さんと続きました。メインは「野党と市民の共闘と、日本の政治の展望」と題した志位和夫委員長の講演。DSC02217

国会開会/医療生協の委員会にも参加/『フランチャイズは地域を元気にできるか』

第191臨時国会が開会し、地元の民放テレビでは、各局とも、福島から当選した2人の参院議員の様子を報じていました。DSC02111

われらがいわぶち友参院議員。DSC02112DSC02113

おととい、きのうと「社会生活復帰」へ向けて動き出し、きょうも浜通り医療生協の「まちづくり委員会」に出席しました。議員時代にもこの委員会に名を連ねていたものの、日程上、なかなか参加がかなわなかった委員会です。

さて『フランチャイズは地域を元気にできるか』(植田忠義著、新日本出版社)を読みました。2011年4月の発行当時に買い、震災後のまちづくりに、たとえばコンビニなどのフランチャイズがどうかかわれるか、といった問題意識も私にありました。110519フランチャイズが、延期になった県議選や地元被災地・避難所回り、住民要望に応えての簡易放射線測定機による空間放射線量測定などに加え、多くのコンビニが原発震災影響により、しばらく閉店か続いていたこともあり、読み切る状況にはありませんでした。

本書最終章(3章)の「補」には、「現瞬間(3月24日)は、コンビニ本部も加盟店の実情把握と営業再開への支援、被害実態の掌握など対策に必死」との記述があります。

ともかく、①加盟店の経営と生活の向上を図る、②フランチャイズ本部との公正な取引契約をめざす、③中小企業や住民と協力して、地域経済振興に貢献する、とした「全国FC(フランチャイズ)加盟店協会」創設時(1998年4月15日)に掲げた目標と、その実現へ向けたとりくみは、現実的な国民的課題と思います。

 

日本会議 戦前回帰への情念

『日本会議 戦前回帰への情念』(山崎雅弘著、集英社新書)を読みました。日本会議

著者が本書を書き進める動機は、「日本が、かつて戦乱の中で自国民を必要以上に多く死なせた社会に回帰するのではないかという懸念」です。日本会議オビ裏

「日本会議の『思想』や『価値観』、そして『目指す目標』をわかりやすく解説することで、安倍政権と日本会議のつながりという問題を、全体として俯瞰できるような本に仕上げた」とのこと。日本会議カバーソデ

オビには内田樹氏が「独創的な思想も組織的実力も持たない少数者たちが、私たちの眼に触れぬままに、気づけば現実の政治を動かしているという事実に慄然とする」と推薦文を寄せています。

彼らは、参院選結果を受け、改憲のための「最後のスイッチが押されるときが来た」思いをいっそう強め、「日本が本来あるべき姿」を取り戻すための最終目標と真剣に考え、必死に草の根運動にとりくんでいます。

日本国憲法を活かす草の根運動がこれに負けるわけにはいきません。

診察/『父・伊藤律』/人びとの戦後群像

退院後の様子観察のための通院日でした。血液検査に異常なし。薬の処方も止まりました。整形受診と処方薬についても報告。160727診察予約

次回からは2か月に一度、血液検査とセットの診察となります。伊藤律『父・伊藤律』(伊藤淳[じゅん]著、講談社)を読みました。 私が全日本民主医療機関連合会(民医連)事務局に務めていた4年間を含め、事務局次長のおひとりだったのが著者です。この本が世に出ることを最近の新聞広告で知り、先日購入していっきに読みました。伊藤律目次なぜか私の記憶には、成田空港で、伊藤律氏が乗る車イスを後ろから押して歩く著者の姿が移った写真が残っています。いつ見たのかも思い出せませんが、あの写真が1980年のことであることを本書で認識しました。 「父・律の波乱の人生をこの手で引き受けてみたい」との思いが、律氏の死後、ますます強くなってきたとのことですが、家族4人を支える様ざまな人びとを含めた「戦後」群像を見た思いです。

日本会議と神社本庁/歯医者

『日本会議と神社本庁』(『週刊金曜日』成澤宗男編著、金曜日)を読みました。日本会議神社本庁

神社本庁は戦後、国家神道が解体されたときからすでに、その復活を希求していた、とのこと。1951年に「建国記念の日制定運動」を開始、15年後の1966年には「建国記念の日」が制定され、さらに元号法制化をもくろんで1979年に元号法成立、こうした成果を生み出す過程で生長の家などの宗教団体が加わり、1974年に「日本を守る会」、1981年に「日本を守る国民会議」が設立され、1997年に一本化して日本会議となりました。日本会議神社本庁図

憲法改正を最重点に、夫婦別姓反対、在日外国人の参政権反対など「草の根国民運動」を進め、安倍政権の登板・再登板で本格的に改憲(壊憲)に乗り出しています。日本会議神社本庁目次

本書は、「ナショナリズムと宗教の結びつき」を許さず、壊憲を阻止するため、日本会議と神社本庁の素顔を暴く一助とすることを目的に書かれています。

きょうは歯医者の日でもあり、 歯周の「検査」、ならびに歯石除去などの「処置」、前回埋め込んだ土台にかぶせる歯の型をとる「歯冠修復および欠損補綴」があって、 5月に通院再開していちばんの負担額となりました。