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福島県における医師不足解消のための提言
                                          2006年3月17日    
                                          日本共産党福島県委員会  
                                          日本共産党福島県議会議員団

はじめに

 県内各地の病院から医師が不足しているという声があがっています。以前から地域や診療科によっては医師の不足が深刻になっていました。それが近年になって、拍車がかかってきています。
 県民は、安心してかかれる身近な医療機関を整備してほしいと願っています。そのためには、医師をはじめとする医療スタッフが、県内で安心して働ける環境を整える必要があります。
 医師や医療関係者にとっても、過密な労働条件を改善することや、安定した医療スタッフの確保は切実な願いです。
 しかし、政府・厚生労働省がすすめてきた政策は、こうした県民の願いや医療関係者の願いに逆行してきました。医師養成費や医療費が高すぎるとして、医師の養成数を抑制し、診療報酬を削減してきました。また、国公立病院の統廃合をすすめ、地域の医療提供体制を縮小してきたのです。
 日本共産党福島県委員会は、県民と医療関係者の願いに応え、安心して利用できる身近な医療機関を守るために、何よりも大切な医師不足解消のための提言をまとめることとしました。医療供給体制の分析に先立って、対策について、より長期的な視点で望む人的な体制にこそ、緊急の取り組みが必要だと考えたからです。
 ここに発表する提言は、多くの県民ならびに医療関係者のみなさまからのご意見をいただき、さらに充実させていきたいと考えています。率直なご意見をお寄せいただきますよう、お願い申し上げます。

1.医師不足の現状

1)厚生労働省の「医師の需給に関する検討会」は、2005年7月に中間報告を出しています。そこでは地域や診療科による医師不足の実態を認めていますが、「医師過剰論」を抜本的に見直したものではないため、不十分さを残しています。
 今日まで政府は医師数とベッド数を抑制することで「医療費の抑制」をはかるとして、医学部定員を削減し医師数を抑える方針をとりつづけてきました。今日、医療技術の高度化がすすむなか、医師の専門性が求められる一方、医療の安全性をはじめ医療の質を確保することが求められています。しかし、特殊医療を除き病院の医師配置基準はこの数十年変わっていません。
 結果として、日本は先進諸国と比較しても格段に少ない医師数となっており、OECDの調査によればOECD諸国の人口千人あたりの医師数平均が2.9人であるのに対し、日本は2.0人、31か国中、下から4番目という少なさです。


2)不十分とはいえこの中間報告を踏まえて発表された政府の「医師確保総合対策(2005年8月11日)」は、当面の課題としてへき地対策や診療科での偏在への対処、女性医師の就業環境整備などへの取り組み対策を強調しており、その具体化は強く求められるところです。
 本県においても知事を先頭に医師確保を県政の重要課題として位置づけての取り組みが始まっています。福島医大病院に総合診療部が開設されることになったことや、医学生がホームステイ方式で地域医療を体験するカリキュラムを導入したことなどは全国に先駆けた取り組みでもあり、おおいに評価されます。
 一方、県内の実態は、この2年間で医師の実人数が減少しており、慢性的な県立病院での医師不足をはじめ、地域の中核的病院での医師の退職、欠員が深刻になっています。(別紙資料参照)


3)医師の需給に関する検討においては県内の実情も踏まえて次の諸点を重視するよう、政府にはたらきかける必要があると考えます。

 @日本の医師数は国際比較でも平均以下であり、絶対数が不足していることをふまえる。
 A病院勤務医の減少は地域の医療供給体制にとって大きな困難となっていることから、その確保についての効果的対策。
 B内科医は消化器・呼吸器・循環器といった専門分野に細分化されてきている。内科全体の医師不足をテーマとして検討するとともに、プライマリー・ケアを担う総合的な内科医の養成を図る必要がある。


4)全日本医学生自治会連合(医学連)が行った「研修医・指導医アンケート」によると、研修を指導する医師への時間的・経済的な保障が不十分であることが明らかとなっています。指導医は、経験10年前後の医師が中心となっており、勤務する病院での診療においても中心的役割を担っています。
 2004年度からスタートした新臨床研修制度は、研修医の身分保障や研修内容の充実では一定の成果をあげています。同時に、指導医への保障がほとんどなく、これが指導医、研修医のみならず患者にとっても望ましくない状況を生み出しています。また、福島県内では指導医の確保のために福島医大病院へと医師が集中する一方、地域の病院で医師が不足する事態も起きています。


2.医師不足解消のための提言

1)私たちの提言の視点

 @医師の自発的な県内定着を図る

 医師のライフステージに配慮し、生涯をつうじて県内で医療活動をおこなえるように環境整備を行います。その中心は、医師の研修と労働の環境を整備することです。とりわけ女性医師のライフステージに配慮します。
 医師の奨学金制度の充実や県内勤務、特定診療科への勤務を義務づける施策が拡大しています。政府はへき地での医師確保について、公的医療機関から医師の派遣を知事が命令できるような法改正を準備しています。さらには開業や病院開設者になる条件として、小児科や産科、救急、へき地医療に2年間従事することを義務づける法改正が検討されていると報道されています。これらの施策は短期的には効果があるかもしれませんが、強制的な手法にのみ頼ることはできません。強制的な方策は慎重に行うべきです。環境を整備し、自発的な定着を促進します。

 A県立医大の定数を増やし、医師の絶対的な不足の解消を図る

 県内の医師数のみならず、全国的に医師を増やしていくことは長期的な視点からも決定的に必要です。医学部定数増については短期的な効果が薄いと消極的な意見もありますが、医師の年齢構成などを検討しても、医師の養成を拡大しなければ問題は解決しません。政府に政策転換を求めていきます。


 B現在の2次医療圏を県民に身近な規模に再編成するとともに、各医療圏で完結できる医療供給体制を図る

 県民にとって、安心してかかれる身近な医療機関を整備していくことは切実な願いです。近年の医師の動向からも同じ2次医療圏内でも都市部への医師の偏在が顕著となっています。日常的にかかりやすい範囲で必要な医療提供の体制を整えることは政治と行政の責務です。その際、既存の病院との協力を密にしつつ、公立病院の整備をすすめる必要があります。
 

2)具体的な政策として

 @福島医大医学部定員の拡大
・県立医大の定数枠を拡大することを提案します。当面、現行の80名を100名以上とします。

 A医師の労働条件の改善
・女性医師の労働条件改善をすすめるよう事業者に働きかけるとともに、院内保育所への補助を充実させる等行政からの支援を具体化します。産休・育休代替医師の確保についても、ドクターバンク、女性ドクターバンクなどを活用し、パートでの医師雇用を拡大します。病院勤務医師の労働条件を改善することを計画的に行い、医師需給計画などに反映します。病診連携や開放病床の積極的な活用を推進します。
・救急医療や小児夜間外来に対応できる医療機関と医師の整備を促進します。

 B県内の医師研修機能の強化
・臨床研修指定病院との連携を強化します。臨床研修指定病院に対し、指導医の確保や指導単位を保障するために県の補助制度を創設します。
・県立病院の機能を強化し、がんセンター、循環器センター、県立子ども病院を建設します。福島医大に老年医学科を設置し、県立のリハビリセンター病院を整備します。
・福島医大に医学教育科を設置し、医大ならびに県内臨床研修指定病院、特定機能病院での研修内容の充実を図ります。プライマリー・ケアを担う医師を政策的に養成します。

 C県内医師紹介システムの強化
・県立医大の医師紹介機能をさらに透明化し、地域の医師ニーズに積極的に対応できるようにします。県が医師会、地域医療機関及び大学等の協力を得て医療対策協議会を早期に設置し、医師紹介についてのシステムを確立することとします。福島医大は医師紹介の窓口がすでに一本化されていますが、実際の医師派遣には各医局の同意や実際の医師不足などもあって地域の医療機関のニーズに応えきれるものとはなっていない実情があります。医師の絶対数不足は今後解決していくとしても、医師紹介のシステムを開かれたものとしていく取り組みは抜本的に改善する必要があります。
・へき地医療を担う医師にとって、身近に相談できる医師がいることは大きな意義をもちます。また、学会参加の保障や休暇の保障などの点からも、県がサポートする体制を強化することが必要です。そのため、へき地医療を担う医師の身分保障を県が担うこととします。また、IT環境を整備するなど専門医と相談できる環境を整えます。こうした地域医療を支える機能を県立病院と特定機能病院、地域医療支援病院、公的医療機関で支えていきます。

 D医療提供体制の強化
・多くの県民にとって、信頼できかかりやすい医療機関の存在そのものが大きな要求です。そのためには国公立病院の充実こそ必要です。厚生労働省は自治体病院に対して相互の連携、機能分担及び病床の合理化を一層推進し、再編をすすめるなど医療提供体制を抜本的に見直すことを求めています。私たちはこうした政策の背景には病院や病床の過剰論と「官から民へ」の構造改革的なサービス切り捨て論がベースにあると考えています。国公立病院は不採算部門の医療活動や専門分野の医療活動を積極的に担ってきた歴史があります。全県的な医療供給体制を整備するためには、国公立病院の充実こそ必要であると考えています。
・救急救命センターを2次医療圏ごとに整備します。救急車、ドクターヘリを増やします。


 E地域の保健活動の向上、他職種との連携
・地域の保健予防活動を充実させます。自治体による健康診断を充実させます。住民の身近な保健医療の相談窓口としての保健師や保健推進員の役割を明確にし、市町村をベースとした活動を県が助成していくこととします。
・産科医師と助産師の役割分担・連携をすすめます。病院・診療所における正常妊産婦を対象とした助産師による外来や助産所との連携を図ることにより、産科医師と助産師の役割の分担・連携を進めます。
・「医師確保総合対策」では看護師との業務分担の推進を検討しています。しかし、医療機関における看護師の実態も増員を必要としています。医師の労働条件改善のためにも、看護師不足の解消、病院での看護師増も推進します。准看護師から正看護師への移行教育の充実、看護師の研修機能の強化を図ります。


 F均衡ある県土の発展のために
・へき地の医師対策そのものは重要課題であり、Cで提起したとりくみ等を進めますが、つまるところ農林水産業の振興を基本とした総合的な過疎対策の進展こそ地域医療を守るうえでの最も大きな取り組みになると考えます。

以上
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