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政策・提言 >> 予算・行財政改革編

2006年02月議会一般質問
日本共産党の長谷部淳です。日本共産党を代表し、質問をいたします。

 県民の暮らしの実情を見ると、県内の生活保護世帯はこの四年間で一・三倍になり、全県で一万世帯を超えました。国民健康保険税の滞納世帯は全県で七万世帯を超え、国保世帯の一八%、とりわけ市部では二一・三%と五世帯に一世帯以上が滞納せざるを得ない現実です。県立高校の授業料免除生徒数はこの四年間で一・七倍になり、小・中学生への就学援助でも二〇〇四年で一万三千人を超え、四年間で一・四七倍です。

 また昨年の県内の自殺者は、六六九人となって二〇〇四年を上回って史上最悪、交通事故死の四倍を超えています。このうち五〇代の自殺者が一八三人、四〇代が一二〇人、まさに働き盛りのかたがたで四五%を占め、六五歳以上でも一四五人とこれも深刻です。原因別では経済的理由と家庭内などの人間関係が最も多く、社会的経済的要因によって自殺者がふえていることは明らかだと思います。

 このように県内では、経済的格差と貧困が深刻な形で広がっていますが、予算編成にあたり、知事はこうした事態をどう受け止められ、格差縮小、貧困の解消を進めるうえでどう反映されたのか、お聞かせください。

 こうしたもとでの二〇〇六年度の政府予算案は、国民のこうした暮らしの実態にさらに追い打ちをかけるものといわなければなりません。小泉内閣のもとでは五回目の予算編成ですが、また国民に総額二兆七千億円もの新たな負担を押しつけようとするものです。すなわち、定率減税の全廃、年金給付の削減、高齢者の医療改悪、介護保険料の引き上げなどです。

 すでに小泉内閣のもとでは、二〇〇二年の高齢者病院窓口負担増、二〇〇三年のサラリーマン本人の病院窓口負担増、年金保険料の引き上げなどで約六兆七千億円の負担増が実施され、先々月からの所得税定率減税半減などすでに決められている負担増が約三兆九千億円、あわせて一〇兆六千億円の負担増ですから、来年度予算案に盛り込まれた負担増を加えると、一三兆三千億円であります。一人でこれだけの連続負担増を押しつけた首相がいるでしょうか。

 これだけの負担を押しつけておきながら、小泉内閣が五年間でつくった新たな借金は一七一兆円であります。小泉内閣の前の橋本、小渕、森の三代の内閣が五年間で作った借金は一五三兆円で、二〇〇〇年度の予算編成時、当時の小渕首相は自らを「世界一の借金王になってしまった」(九九年一二月二〇日)と言っていましたが、小泉首相に自覚があるかどうかは別として、小渕氏を上回る史上最悪の借金王であることは間違いありません。

 負担押しつけ王でありながら、借金王でもあるのは、空前の利益を上げる大企業への減税や、株式売買をつうじて巨額な利得を得る資産家への減税という、税金を集める面での聖域と、関西国際空港二期工事などの巨大空港、京浜、名古屋、阪神の「スーパー中枢港湾」整備などの巨大港湾、三大都市圏の環状道路整備など大都市部の高速道路、治水・利水上の根拠を失った群馬県の八ツ場(やんば)ダムなど巨大ダムなどの大規模事業に予算を集中するという、税金の使い道での聖域をつくっているからにほかなりません。

 小泉首相は、国債発行額を三〇兆円以内に抑えたことを自慢していましたが、これは、家計への負担増と地方自治体への大幅な予算削減の結果にすぎません。知事は小泉内閣による家計と地方へのこうした負担押しつけをどう評価されていますか、所見をうかがいます。

 こうした悪政の防波堤の役割を果たすはずなのが、地方自治体であります。

 ところが、税金の使い方に関してみると、県政においても九〇年代半ばから始めた大型公共事業偏重でつくりあげた借金の返済に追われ、そのツケを、県民の暮らしのすみずみにまで押しつけながら、一方で大型事業を温存し、不要不急の事業に税金をつぎ込む姿から脱していないのではないでしょうか。

 県民へのツケという点では、今年度実施した敬老祝い金の廃止、重度心身障がい者の入院食事代助成の廃止は、「なぜそんなことをしたのか」と県民のみなさんの怒りの声を私は各地で聞きました。

 同時に、「なぜ小名浜沖にいまお金をかけて人工島を造らなければならないのか」との声も同様に聞きました。とりわけ漁業にたずさわるかたがたからは、 「人工島造りよりも、漁業のほんとうの振興と漁民の暮らしを考えてほしい」との切実な声を聞きます。

 当局は、この人工島をやめても浮くお金はたいしたことはない、といいます。しかし、総事業費予定七三〇億円、そのうち県が負担するのは借金を含めて四二〇億円あまり、今年度まで県は一四〇億円あまりを費やし、今年度も七億六千万円あまりを使い、来年度も今年度程度を予定しているようです。重度心身障がい者の入院時食事代の助成にかかる費用は四億円程度です。どこが「たいしたことはない」のでしょうか。

 私は、この小名浜東港地区の人工島については凍結し、宮城県や茨城県の近隣港湾との連携や、県民の要望、県内の経済社会情勢などからあらためて検討しなおすべきだと思いますが、知事の考えをお示しください。

 また、県が首都機能移転事業にお金を費やしていることを県民のみなさんへ知らせると、「なぜそんなことにお金を使うのか」と驚くと同時にあきれる声ばかりです。不要不急の最たるもので、執行額も毎年減るものの、すでに八億円あまりを費やし、来年度も千五百万円あまりの計上です。首都機能移転対策事業への予算計上をきっぱりと取りやめるべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。
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総務部長の答弁

 予算編成につきましては、少子高齢化の急速な進行など、本県をめぐる社会経済情勢の急激な変化を踏まえ、新たに定めた5つの重点推進分野に、財源を優先的に配分することにより、県民の安全・安心の確保や、人権尊重にもとづく共に生きる社会環境づくり、企業誘致の促進等による雇用の場の確保などに、積極的に取り組むこととしたところであります。

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企画調整部長の答弁

 政府予算案につきましては、公共投資が大都市圏に手厚く配分される一方、地方への配分は削減されるなど、地域間格差の拡大につながるのではないかと懸念しております。

 また、三位一体改革の第1期改革は、3兆円規模の税源移譲は実現したものの、地方の自主性を高め、裁量を拡大するという改革の本旨からかけ離れた結果になったものと認識しております。

 今後、税源移譲に伴い、地域間の財政力格差が一層拡大することから、地方交付税による財源保障・財源調整機能の充実強化など、税源に乏しい過疎地域等に対する配慮を国に対し、強く働き掛けてまいる考えであります。

 首都機能移転につきましては、東京一極集中がさらに深刻化しているほか、大規模地震への対応力強化の観点からも、その意義、必要性は一層高まっているものと認識しており、国会等移転に関する政党間両院協議会の議論の動向等を注視しながら、今後とも、他の2つの候補地等とも連携しながら、国会への働き掛けや国民的議論の喚起をはかるなど効果的な取り組みをねばり強くすすめてまいる考えであります。
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土木部長の答弁
 
小名浜港東地区につきましては、平成15年度に港湾計画の見直しを行い、平成16年度の県公共事業評価委員会の審議を経て、事業の実施をしているところであります。
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再質問

 総務部長がお答えになったので総務部長に伺います。知事は年頭所感においても「地域間格差が拡大しているほか、業種間、個人間での格差も拡大」していると指摘し、「経済の論理や企業の論理を優先する」ことを批判されていましたし、今議会冒頭でも基本的にそのような認識を示されました。ですから、私は、知事の姿勢が「政治の鏡」である予算や予算編成方針に当然表れるものと認識しておりますけれども、質問の中でもふれましたように、今年度、高齢者の敬老祝い金を廃止したり、重度心身障がい者の食事代の助成をやめたりというようないきさつがあるわけです。それらの穴埋めをして余りあるような施策展開をしてこそ、格差社会の中で社会的弱者といわれる高齢者や障がい者やあるいは若者に対する支援というのが出てくるのではないかと思います。冷たい仕打ちが続いているのであらためて見解を示していただきたいと思います。
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総務部長の答弁

 当初予算の編成にあたりましては、県民1人1人に光をあてるということも基本的態度の1つとして行ったところでありまして、そのようなことから新規事業の中から具体的な例をあげて申し上げますと、例えば自殺対策行動計画の作成とか、うつ病予防対策を行う心の健康自殺予防対策事業、あるいは社会的な適応能力十分でないニートに講ずるニート自立支援事業、それから専修学校での生活困窮世帯の生徒の授業料減免に対しましてこれも補助を行うこと等々を新規事業として構築したところでありまして県民1人1人に光をあてるということがこのようなところで具体化をしている例だというふうに考えております。
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2005年09月議会一般質問
質問の最初に、国による、分権推進と称する地方行革の押しつけと、県の姿勢についてお尋ねいたします。

 総務省はことし三月、 地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針を策定し、 各自治体に通知しました。 これによれば、 各自治体は、 今年度から〇九年度までの集中改革プランをつくって今年度中に公表し、 そのプランには、 事務事業の再編・整理、 民間委託などの推進、 職員定員削減目標の設定など、 九項目を盛り込むことを指示し、 さらにフォローアップの公表を求め、 文字どおり国と都道府県の指導のもと、 政府の意向に沿った行革を徹底させようとするものです。

 政府の言う地方分権にも真っ向から反し、 地方自治を根本から踏みにじるものと思いますが、 知事はこの新指針の内容に基づいて実行するおつもりなのかどうか、 お尋ねいたします。

 これまでも県は、指定管理者制度や地方独立行政法人化制度などを活用して、 社会福祉施設の民営化、県立病院の統合・廃止、県立大学の法人化という三大切り捨てを進め、地方自治体としての役割を縮小・撤退させてきました。本来の行政改革とは、憲法が定める国民の権利と、憲法前文にある国民の福利の実現、具体的には福祉・教育など県民の暮らし応援、雇用、地場の中小企業、農林水産業の振興が目的であるという基本的立場を明確にすべきであります。

 県が進めてきた行革は、厳しい行財政状況や限られた財源を理由に、公務・公共部門から撤退し、支出抑制することを目的として行われているのではないでしょうか。行革を進める根本的な目的について知事の見解を伺います。

 支出抑制の一手段として職員削減が進められていることも問題です。大体、 人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較では、総務省のホームページ掲載の資料を見ても、日本は断トツに低くなっています。すなわち、イギリス七十三人、フランス九十六人、アメリカ八十一人、ドイツ五十八人に対し、 日本は三十五人です。そのうち地方政府職員もイギリス三十五人、フランス四十人、アメリカ六十六人、ドイツ四十五人に対し、日本は二十四人です。このように、異例とも言える少なさであり、十分過ぎるほどの小さな政府が日本です。

 それなのになぜ公務員削減を各自治体に押しつけているのかと言えば、「歳出カットの大きな目玉として公務員の問題が残っている。それに早く手をつけ、 歳出削減の余地がなくなれば消費税に手をつけないといけない。」という日本経団連の奥田会長の言葉を引くまでもなく、経済界の利益を国の政策全般に全面的かつストレートに貫徹させようとする国の行革方針があるからです。

 私は、国によるこうした理不尽な職員削減策には反対し、とりわけ三十人学級を支える教育、消防防災部門、福祉・医療の部門では県として雇用をふやすべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。

 もとより公務・公共部門における施策内容や手続、 手法に国民の権利利益と相反する非民主性があり、 これに対する国民の根強い批判と不信があることは明らかです。

 こうした批判や不信に対しては、施策内容を県民の権利利益に資するように徹底して改めること、行政の責任による借金のツケを県民に押しつけないこと、 行政に対する議会による統制を強化すること、情報公開を促進すること、行政の決定・執行過程に県民の参加を保障すること、オンブズマン制度の創設など、公務・公共部門の民主化をこそ課題とすべきであり、公務員削減でこたえる筋合いの話ではありません。

 また私は、公務・公共部門のサービスをすべて公務員が担わなければならないとは思っていません。NPOや住民団体など、住民が参画する多様な主体が担うこともあり得るでしょう。

 私が危惧するのは、公的サービスの提供主体が民間にかわることによって発生するであろう問題に、県が対応する姿勢が明らかでないことです。例えばサービスを民間化することで、コスト削減が図られると県は言います。その場合、 労働者の労働条件をどう考えるのか、労働条件が低下した場合に行政にどういう影響を与えるのか、公的サービスの専門性はどう確保されるのか、サービスをさまざまな組織にゆだねることで、サービスが断片化、分散化して総合性が欠如するのではないかといった副作用への対応があるのでしょうか。

 私はこの件にかかわって、昨年十二月議会で、既に民間開放されている介護保険の現場で、七割のホームヘルパーが非常勤であり、時間細切れ型のマニュアル労働に追われ、福祉現場から対話が消え、機械的作業が進行している危惧の声や、ケアマネージャーが「常時ストレスを持ちながらゆとりのない仕事を余儀なくされている」との行政側評価も紹介し、その改善・支援策を求めました。

 ことし三月に報告された県社会福祉協議会のケアマネージャーの就労実態調査においても、 人員体制が少ないという声が圧倒的に多く、 自由記述欄では、 行政的に支援できる体制、 処遇についての公的援助、 利用者への不公平・不公正・不利益をふやさないための行政の積極的かかわりを求める声が出されています。

 介護保険に限らず、いわゆるアウトソーシングによって、県はこうした副作用をどう想定し、それに対応する方針が明確なのか、特に多様な主体の責任を県としてどう確保するのか、また行政との協働をどう実現するのかを示す責任があると思います。知事の責任ある見解をお示しください。

 さらに私は、県の人事制度において、人材育成の観点から能力、業績を反映できる評価制度、給与制度の検討についても触れておきます。

 言うまでもなく県の職員は、現行憲法の国民主権原理のもと、県民の信託に基づき、県民の福利の実現のために奉仕すべき県民全体の公務員です。その業務の特性は、行政責任、継続性・安定性・総合性、公正性・中立性、住民奉仕性にあります。

 県の職員はこうした業務の実施だけではなく、住民要求を把握し、政策立案に反映させるなどの政策形成にかかわることも期待されています。これらを遂行するに当たって、個人だけでなく、組織として発揮することが求められ、また公務の専門性もこうした集団の中で育成、 形成されているのではないでしょうか。

 成果主義による評価制度や給与制度は、民間においても既に利己的に行動する職員をつくり、職場のチームワークを阻害する、マイナス評価を個人、職場で隠蔽するモラルハザードを引き起こす、失敗を恐れチャレンジ精神が減退するなどの問題が指摘されているところであり、公務職場への導入をやめるべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 行財政改革につきましては、 私は、 地方分権が進展し、 社会経済情勢が大きく変化する中で、 個性を生かした地域づくりを進めるなど、 本県の進路を切り開く諸施策を効果的に展開し、 県民福祉の増進を図るためには、 限られた財源や人的資源を最大限に活用することが重要であると認識しております。
 このことから、 従来の考え方や制度の枠組みにとらわれることなく、 時代の要請や変化に柔軟に対応できる行財政運営システムの確立に向けて、 分権時代にふさわしい行財政改革を推進していく必要があると考えております。

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総務部長の答弁

 いわゆる新地方行革指針につきましては、本県においては、分権型社会にふさわしい行財政運営の基盤の確立と組織風土の改変を図るべく、みずからの課題として行財政改革に取り組んでいるところであり、国が求める新地方行革指針に基づき示された取り組み項目にとらわれることなく、主体的判断により行財政改革を推進してまいる考えであります。

 次に、定員管理につきましては、県民ニーズやさまざまな行政課題に迅速かつ的確に対応できるよう、うつくしま行財政改革大綱等に基づき、業務の抜本的な見直しやITの活用による業務の効率化等を図る一方で、さまざまな行政課題に柔軟に対応するため、各部門へ真に必要な人員配置を行うなど、簡素で効率的な業務運営に努めているところであります。

 次に、アウトソーシングにつきましては、行政サービス水準の向上や、経費の節減等を目的として取り組むものであり、その実施に当たっては、サービス水準の確保や業務遂行状況の確認等、施設等の管理運営や県民へのサービス提供等について、受託者との緊密な連携のもと、引き続き県として、その責任を担うものであります。
 次に、評価制度につきましては、社会経済情勢の急激な変化や県民の価値観の多様化等に伴い、ますます複雑・高度化する行政ニーズに迅速かつ的確に対応するため、主体的、創造的に業務に取り組む職員の育成を図る観点から、職員の能力や業績を的確に把握、評価し、人事配置や任用、給与等に適切に反映することが必要であると考えております。

 このため、これまで以上に能力や業績を重視した新たな制度の導入に向け、 引き続き検討してまいる考えであります。
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再質問

 知事にお伺いしたいのですけれども、ちょっともう少し丁寧な御答弁かなと期待はしておりましたが、結局、例えば今県が進めている少子化対策の推進であるとか、いのち・人権・人格の社会の形成等々ありますけれども、例えば少子化対策の推進にかかわって言えば、五歳までの人口比保健所数が全国で比較をすると四十一位であるとか、いのち・人権・人格にかかわって言えば、人口当たりの医療施設数が全国三十八位であるとか、あるいは医療従事者数が三十八位、小児科医師数が三十七位、産婦人科医師数が三十三位、介護老人福祉施設定員数が四十一位、身体障がい者厚生援護施設定員数が四十二位、知的障がい者援護施設定員数が三十六位、児童福祉施設数が三十六位、あるいは循環型社会の形成とかユニバーサルデザイン等にかかわって言うならば、水道の普及率が四十二位、汚水処理人口普及率が三十六位、ブロードバンドインターネット世帯普及率が三十八位と、いろんな全国的に比べたら低い部分があるわけで、 そういったところを県として底上げをしながら、この自治体による住民サービスを適切に維持管理をして、県民が公共部門に対する信頼回復をするということが改革の原点にあって、その改革の目的というのは、住民の自己決定権の拡充や県民の権利拡充と福利の実現、そのことを通した維持可能な社会づくりにあるのではないかというふうな考えを私は持っているわけですけれども、そのような考えでよろしいのかどうか、確認をさせていただければと思います。
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佐藤栄佐久君知事の答弁

 今いろいろ指摘がございましたが、私どもも基本的に言うと、今まで国・地方、それから市町村も含め護送船団方式という、民間と公共との間にそういう言葉があるように、一体的に進めてきたその結果が、残念ながら地方団体も含めもう立ち行かないような財政状況になっている、そういう中で、私は基本的にはプライマリーバランス、入ってくるお金の中で使っていくと、もちろん地方交付税等財源調整の全体の仕組みはあるにしても、そういう考え方で進める必要があると思います。

 そういう中での行財政改革でございまして、いろいろ御指摘ありましたが、それらのそれぞれの点についても民間で十分専門的ノウハウ、あるいはサービス面での状況等も含めて民間に委託した方が効率的にできる部分もある。特に県民のニーズが多様化、高度化する中で、そういうふうに考えております。

 私ども公的にしかできないような部分について決して今どんどんどんどん削減しているという感覚を持ってはおりませんで、現実にいないわけでございまして、私どもはやるべきものと民間に委託できるもの、それらをプライマリーバランスを考えながら自主的に進めると、そして新しい政策的に言うと創造的につくり上げていく政策を、そういう時代にある意味で二十一世紀に入って、これはもう二十世紀の後半十年くらい前からこういう時代になるというのは大体予測されてきたわけでございますが、実際にそういう時代に入ってきておりますので、私どもは民間部門でできるものについては、決してそれによって例えば医療が全然だめになってしまうというようなことは十分配慮し、地域の医療を確保しながら、例えば医療問題一つとってもそういうことを考えながら時代が変わってきておりますので、しっかりやっていきたいと思っております。
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再々質問

 知事にお伺いしたいのですけれども、結局改革の原点に、公務に対する住民の信頼の回復というのはないんでしょうか。私自身は、質問の中でも申し上げましたように、いわゆる公務・公共部門をすべてを公務員で担うべきだなどとは思っておりません。NPOや住民の参画した団体がやっていけるということは当然必要だと思います。

 ただ、その場合に、当然その自治体と住民の真のパートナーというんですかね、そのためにはやはり住民が自治体を信頼する、そういう関係になければ、お互いが自立するという関係がなければいけないことだと思うんです。ですから、公共部門に対する信頼を回復するというそういう意識がこの行政改革の中に知事としてお持ちなのかどうか、そこのところを確認しておきたいと思います。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 長谷部議員の再々質問にお答えしたいと思いますが、十二年度から行政改革あるいはその前から行財政改革を進めておりますが、特に十二年、十三年から始まりましたこの改革も含めていろいろ私どもの重点の置き方、違ってまいりました。

 ただ、福祉あるいは住民の生活に直接影響する部分についてと、公共事業も本当に要望強いんです。道路とかその他も要望強いのですが、それらの伸び率等を比較していただけますとおわかりのように、本当に県民の生活に直結する部分については、できるだけできる範囲で頑張ってきたつもりでございます。そういう中でのかなり激しい国の行財政改革等によって動いているわけではございませんが、それを見据えながら、私どもはやっぱり自分たちで創造的な政策をつくりながら、何度も申しますが、そして自主的に物を考えて県の将来を考えていかないと、今までのように何とか債があればできるということで借金をふやしていって、それじゃだれがあと面倒見るのかということになりますので、一つ一つの事業あるいは一つ一つの医療とか福祉とかそれぞれあろうかと思います。

 ブロードバンドなんかは、これは民間と打ち合わせをしながら、民間にお願いしていくべきものだとは思いますが、そういうことを一つ力を入れるべきものをどういう力を入れていくかということを判断しながら、一つ一つの事業について考えていく必要があろうかと思います。

 具体的に言うなら、さっきも申し上げましたように、行政が直接的に実施するのでなくて、民間部門での自発的活動の促進、専門的ノウハウの活用を図ることなどにより行政運営の弾力化、県民サービスの質的向上につながるようなことをやっていく行財政改革そのことが、今県民のニーズが多様化、高度化する中で非常に大切になってきているだろうということで、判断を一つ一つしていっているその中で、お話のような三大改悪かどうか、指摘していただきましたが、それもやっぱり必要な、そして県民の安心・安全や医療等に問題ないように進めることが私どもの仕事だと思っております。
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2005年02月議会一般質問
 財政運営について伺います。

 来年度予算規模は、国民健康保険への県負担の導入など、特殊要因の増加を除くと、実質的には今年度当初マイナス二・三%ですから、九千億円を割 り込んでいます。バブル崩壊後の九〇年代前半の規模に戻ったわけです。九〇年代の当初予算では九三年が八千億円台の最後でした。九三年度と来年度で幾つか比較をしてみると、歳入性質別では県債の比率が当時は六・一%で したが、来年度予算案では一四・五%、額でいうと二・六倍にも膨れ上がっています。借換債や財政健全化債も借金に変わりはありません。

 歳出を見ても、九三年には、公債費が八・三%であったものが、来年度は一六・一%、借金返済の比率がほぼ二倍、額でいえば二倍を超えています。

 これは言うまでもなく、九〇年代中旬以降、二十世紀の最後まで、トラハイや小名浜人工島、福島空港二千五百メートル滑走路、未来博などの大型プロジェクトに手をつけ、毎年のように一千億円規模の借金を積み上げてきたからにほかなりません。来年度末の県債残高は、一兆二千百二十四億が見込まれ、こちらも九三年度の二倍強です。

 その一方で、衛生費、労働費、教育費は九三年度よりも減らされ、老人福祉、社会福祉を含んだ民生費は、 特殊要因を除くと一・五倍にすぎないどころか、前年比マイナスです。義務的経費を見ても、人件費、扶助費が九三年 並みに抑えられ、公債費は先ほど指摘したように二倍強です。

 どこに借金のツケが回されているか明らかです。県立病院の統廃合、県立社会福祉施設の一部民間移譲、 県立大学の法人化もそのツケ回しの一環です。

 重度心身障がい者医療費助成の入院時の食事に要する費用の自己負担や、敬老祝い金の廃止、県立高校の授業料値上げなどは、県民の暮らしの隅々に県みずからの借金のツケを押しつけること以外の何物でもありません。

 県民の要望であった三十人学級などにこたえることは評価できるものの、財政運営の基本が問題です。

 予算編成に当たって、各部局への枠配分方式は、単なる予算抑制策であり、これでは政策目標と予算編成とを実質的に関連づけることはできず、個々の事務事業の客観的評価もできないのではないでしょうか。枠配分方式をやめ、福祉、医療、教育がだれの目にも重点政策であることを明らかにするために、聖域とすべきでないですか。知事の見解を求めます。

 また、九〇年代から続く借金づくりの大型プロジェクトは凍結、中止をして、県民に新たな負担を求めないよう財源を確保すべきですが、知事の考えをお聞かせください。
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総務部長の答弁

 予算の枠配分方式につきましては、現場の創意工夫を予算編成に生かし、県民ニーズに的確に対応していくことをねらいとするものであることから、引き続き実施していく考えであります。

 また、福祉、医療、教育も含め、重点的に取り組むべき分野については、枠配分とは別に予算措置を行い、 積極的に推進しているところであります。

 次に、大規模公共事業につきましては、平成十四年二月及び昨年十月の財政構造改革部会において、今後の取り扱いについて一定の整理を行っているところであり、今後とも、重点選別化、効率化の視点で見直しを行ってまいる考えであります。
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再質問

 総務部長にお伺いしたいんですけれども、確認なんですけれども、御答弁の中でもありました、県民ニーズを的確に踏まえるということなんですけれども、これは大前提だというふうに私などは思うわけですけれども、そのことと配分した枠の額を超える要求は認めないと、これは依命通達の中にも書かれていることですけれども、その関係を一体県民にどうわかりやすく説明されるのか、ちょっとお聞かせいただけるとありがたいと思います。
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総務部長の答弁

 県民ニーズと、それから枠配分との関係でございますが、県民ニーズを的確にとらえる、そういう中で財源をどのように配分していくかという問題になろうかと思います。そのときに、今回の枠配分は、先ほども御答弁申し上げましたけれども、現場の創意工夫、そういったものを予算編成に生かしていく。しからば、現場の創意工夫というのはどういったものかといえば、事務事業の見直し、あるいは効率化というようなもので、 まずみずからが財源を生み出すことによりまして、県民のニーズにこたえていくという施策をとっていくというものでありまして、従来以上、これまで以上に政策の形成に効果があるものというふうに考えております。
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2004年12月議会一般質問
 最初に、政府が進めるいわゆる三位一体の改革のもとでの来年度予算編成にかかわって伺います。

 十一月二十六日に政府・与党が合意した三位一体改革の全体像は、地方の権限拡大の名で、福祉・教育などに対する国の責任を後退をさせ、地方財政の削減を進めるものであり、自治体が本来果たすべき住民福祉の増進の仕事を困難にするものです。とりわけ地方交付税について、歳出削減に努め、地方財政計画の合理化などを進めるとして、〇五年度以降も削減していく方向を示したことは、自治体の財政運営を一段と厳しくするものです。

 私は、公共事業などのむだなひもつき補助金こそ改革し、国民の生活と権利を保障する国庫負担制度は断固堅持し、地方税財源の拡充、地方交付税の堅持・充実を知事が求めることを強く要望しておきたいと思います。

 こうした中での来年度予算編成について県は、地域経済の再生を初め部局の枠を超えた重点的な取り組みがますます重要になっていることから、限られた財源の重点推進分野等への配分を従来にも増して徹底すること、また廃止・縮小可能な事業と充実強化すべき事業とを十分見きわめながら、必要性、緊急性、効果等の観点から重点選別や見直しを徹底して行うことを強調しています。

 そうであれば、首都機能移転事業にしがみつくことはきっぱりとやめ、百年の大計と言うならば、子育て支援策の一つとして、県立子供病院の一刻も早い着手、そして過疎・中山間地域における集落単位の振興のために、直接支払制度を県として充実・継続するなど、県での人づくり、地域経済にこそ、限られた財源を重点的に配分する知事としての政治決断が必要です。知事の考えをお伺いいたします。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 来年度の予算編成につきましては、今年度見直しを行った財政構造改革プログラムに基づき、あらゆる財源の確保に努めながら、少子化対策の推進、地域経済の再生、過疎・中山間地域の振興、いのち・人権・人格を尊重する社会の形成、循環型社会の形成の五分野を重点推進分野と位置づけ、安心して子供を産み育てる環境の整備や地域資源を生かした産業の振興と新産業の創造、過疎・中山間地域の自立支援などの視点に対応する事業に限られた財源を重点的かつ優先的に振り向けるとともに、部局の枠を超えた横断的な取り組みを推進することにより本県が直面する課題に的確に対応してまいる考えであります。
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再々質問

 知事にお伺いしたいんですけれども、私が一般質問のところで触れました首都機能移転事業をきっぱりとやめること、子供病院の着手、過疎・中山間地域での直接支払制度の継続、充実、このことについての政治決断について、ぜひ来年度予算編成の中ですべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 子供病院につきましては、小児医療の実態などを踏まえながら施設の必要性について引き続き研究してまいりたいと考えております。

 首都機能につきましては、国会で決めて進めておることでございますが、東京圏での人口増加が再び進む、あるいは東京一極集中がさらに深刻化しておりまして、また生活者の視点から見ても交通渋滞、都心の気温が周辺より高くなるヒートアイランド現象、集中に伴うさまざまな弊害が顕著になっているなど、首都機能移転の意義、必要性は一層高まっておるものと私は認識しております。

 今後とも、このような観点を踏まえまして、北東地域各県、他の二つの候補地域とも連携しながら国会への働きかけ、国民的議論の喚起を図るなど首都機能移転の実現に向けて粘り強く取り組んでまいります。

 なお、新潟の後、国会議員の皆様、特別委員会で集まって少し動きが出てきたのか、出てこないのか。大体一年たつと残念ながら忘れて、阪神のときもそうでございましたが、国会議員の皆さん忘れてしまっておるようですが、今回も国会の議論を注意深く見守っております。

 なお、所得補償につきましては、私ども地方自治体でデカップリングという名のもとに三年間やりまして、その後、国の方の所得補償政策として五年間、ことしまで進めていただきました。

 今回の補助金カットからは、この事業は知事会としては外して、続けてくれということをお願いしておるところでございまして、農水省の概算要求には入っておるようでございますので、引き続き国の方で、これから財務省の 問題でしょうが、これは中山間地域にとって非常に重要な事業でございますので、引き続きしっかりとまたお願いしていきたいと思います。
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2004年06月議会一般質問
初めに、県が進めている行財政改革の考え方について伺います。

 地方自治体の仕事は、住民の福祉の増進を図ることであり、この方向での改革を進めなければなりません。

福島県の福祉の実情を財政面から見ると、例えば六十五歳以上人口当たり老人福祉費は全国四十一位、十七歳以下人口当たり児童福祉費は全国四十七位、人口一人当たり民生費は全国四十位の低レベルはこの数年変化がありません。これを底上げすることこそ、県政改革の最大の目的にしなければなりません。であれば、県政において福祉分野は、底上げを図るために聖域として、より充実を図る姿勢を明確にすべきです。地域経済の活性化にも雇用の拡大にもつながらない大型公共事業への支出と、県民福祉の充実のための支出を同列に置いて、義務的経費を除き、聖域なくマイナスシーリングをかける財政当局のやり方は、福祉分野の県職員の仕事を空疎にさせる以上に、県民福祉を犠牲にするものです。この点、知事の認識をお聞かせください。

 さて、二〇〇〇年四月から介護保険が実施され、昨年四月からは障害者支援費制度が始まりました。介護保険で見ると、例えば特別養護老人ホームの待機者は、昨年四月一日には九千四百三十二人、入所基準の変更で翌五月一日には七千九百五十二人に減ったものの、ことし四月一日には九千七百五十九人にまたふえています。

 ホームヘルパーについても、介護保険で見た場合、訪問介護の給付額を見ると、二〇〇〇年度から〇一年度にかけて五二・二%増加し、〇二年度は〇一年度に対してさらに三五・三%増加しています。それでも、居宅サービス受給者数は、六十五歳以上の保険料の支払いを義務づけられている人数に対して八・五%程度ですから、まだまだ伸びるはずです。支援費制度での障害者によるサービス受給も今後伸びていくことは間違いありません。

 これらを行政需要の視点から見れば、高齢者保健福祉計画などの行政の計画や財政機能によって、潜在化していた行政需要が顕在化したものと言えます。

 この行政需要にこたえ、住民の福祉の増進を図ることこそ、責任ある行政の仕事だと地方自治法は言っているのであり、県の「いのち・人格・人権の尊重」を実のあるものにするのではないでしょうか。

 県は、行財政改革大網の基本的考えの中で、「分権型社会においては、県民、NPO、企業など多様な主体との連携・協働」をうたい、福祉などの基盤整備についてもこの本会議で全く同じ言葉を繰り返しています。

 しかし、この言葉は「官から民へ」を言いかえただけの言葉であり、これを推進することは、自治体行政の直営部分をなくすことではないでしょうか。これはとりもなおさず地方自治の縮小であり、地方自治の機能の縮小なのではないですか。

 また、多様な主体との連携・協働というものの、県や市町村の自治体が供給主体とならなければ、自治体の役割は、公共部門へ民間企業経営を導入するための調整役にすぎなくなるのではないですか。連携・協働とは、調整役を言いかえただけなのではないでしょうか。調整役が福祉の増進に責任を持った行政の仕事になるのか、以上の点について知事の考えをお聞かせください。

 さらに、県は大綱の考え方の中で、「地力分権の進展に伴い、市町村は住民に最も身近な総合的な行政主体として、自立性の高い行政運営を行うことが期待されており、県はそれを補完するという役割」と言っています。
 これは十年前、経済同友会が発表した「新しい平和国家をめざして」という名の財界流国家改造案の引き写しではないでしょうか。そこにはこう書かれています。「国内の仕組みの再構築を考えるに当たっては、個人で解決できることは個人で、地域で解決できることは地域コミュニティーで、さらには市町村、都道府県、そして国へと問題解決の範囲を徐々に移行させていくという考え方を導入すべきである。」

 この考え方は県や国には大変都合のよい話であります。なぜならば、従来、直営として行政が担っていた分野を個人や家族、地域へ押しつけ、仮に行政が担うとした場合には市町村から始まり、市町村ができないものを県が補完し、県ができないものを国が補完すればよいという話だからであります。実際に国はこの考えに立って、現在、保育園の国庫補助金の徹底的な削減や、 生活保護の国庫負担削減を進めているのではないでしょうか。

 福祉に関する行政需要が膨らむもとで、県も国と同じ考えに立ち、市町村を補完するという口実で、福祉の増進という本来の仕事においてもみずからの責任領域を狭め、行財政改革を進めるという考えなのか、知事の見解を伺います。

 そもそも財政とは何でありましょうか。私的企業の自由な経済活動や市場に任せておいたのでは、放置されてしまう医療や福祉や公教育などに、行政が必要な支出をするためにお金を使う計画を財政というのではないでしょうか。すなわち、私的企業ではやれないような福祉や教育にお金を使う目的が先にあるわけです。財政は、もともとお金を何に使うかが先にあるわけですから、もうからないのが当たり前です。

 にもかかわらず、市場で価格競争できる経営主義を優先させるような県立病院の地方公営企業法の全部適用や統廃合、県立大学の独立行政法人化への検討、県立社会福祉施設の一部民間移譲へ向けた検討は、まさに公共部門への企業経営の導入と評価せざるを得ません。

 そしてこの方向は、これまでの浪費県政による借金、財政構造改革プログラムの破綻、一層の緊縮財政のツケをこの分野に押しつけ、財政支出の削減を最大の目的にしているがために、全国比較でも低レベルの老人福祉費や児童福祉費をさらに押し下げ、福祉の増進を柱とする財政の本来のあり方すらゆがめてしまうのではないでしょうか。知事の見解をお示しください。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 住民自治をその本旨の一つとする地方自治につきましては、ひとり行政のみが担うものでなく、県民みずからが自治の当事者として主体的に自治にかかわることにより、個性的で活力ある地域づくりを進めることが重要であると考えております。

 このため、県政運営に当たりましては、県民参画を基本として、県民、NPO、ボランティアなどの自主的活動の促進や民間活力の活用等、分権型社会にふさわしい県民などとのパートナーシップの形成を図りながら、「いのち・人権・人格の尊重」を初めとする県政執行の基本理念を具現化し、住民福祉の増進を図ってまいる考えであります。
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総務部長の答弁

 マイナスシーリングにつきましては、これまでも当初予算編成におきましては、すべての事務事業について厳しく見直しを行っているところでありますが、民生費の大部分を占める扶助費などの県民福祉に直接かかわる経費については、シーリングの対象から除外しており、事業の必要性、緊急性等を踏まえながら、財源の優先的、重点的配分に努めているところであります。

 次に、行財政改革につきましては、「価値観の多様化に対応し、一人一人が真の豊かさを実現できる生活の実現を図るためには、住民に最も身近な市町村が、まちづくりや住民生活に密着した分野に関する多様な行政を担うべきである。」との「地方分権・うつくしま、ふくしま。宣言」の考え方に基づき、市町村、県、国の明確な役割分担のもと、市町村との連携・協働を図りながら、県民の多様なニーズに的確に対応し得る行財政運営システムの確立に取り組んでいるところであります。

 次に、財政本来のあり方につきましては、これまで厳しい財政状況の中にあってもまさに住民福祉の増進を目指して一人一人が大切にされ、生き生きと生活できる社会の形成など、うつくしま21が掲げる県づくりの理念の実現に向けて、限られた財源を優先的、重点的に配分しているところであります。
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再質問

 行財政改革にかかわりまして、知事に再質問をいたします。

 私、民間との連携・協働について、先ほどああいう聞き方をしましたけれども、連携・協働が悪いとはちっとも思っておりませんで、問題は、やはり市場原理が働かない、つまり価格の供給曲線というのが存在しない医療とか福祉とか介護とか、広い意味での福祉を民間に任せればうまくいくというよ うな考えがあるとすれば、それはもう空想的な市場主義で誤りだというふうに思います。

 例えば、ホームヘルパーが低賃金で過密労働、長時間労働の劣悪な状態に置かれて、仕事を始めても二、三カ月でやめてしまう、こういう例が後を絶たないというような市場であれば、これはもう非常に優良な市場とは言えないと思います。彼らが人間らしく働くことができて、彼らの生活保障もできるように、財政補助政策や自治体雇用政策が私は必要だと思いますし、この分野に県の財政が投入する額の大きさと施策の重点が、こういう市場を形成するんだというふうに思うんです。こうした公共的な市場を形成することが、それこそこれからの分権時代における広域自治体の県の役割だと明確にして、福祉を実質的な聖域として、行財政改革を進めるべきではないかというふうに思いますけれども、改めて答弁を求めたいと思います。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 
私ども、福祉増進の責任を放棄しよう、あるいは福祉をないがしろにしようというような考え方で、官から民へ、あるいは県民あるいは住民が主権を持っているということを申し上げておるのではありませんので、地方自治の本旨はいろいろ考え方はあるでしょうが、私は、都道府県の役割は、今道州制の話が出ておりますが、市町村なり住民が国家から押しつぶされそうになったとき、今度の三位一体なんかもそうですが、そのときに、都道府県という、そういう実態を知っている我々が、国に対して物を申していかないとならない。

 いわゆるチェック・アンド・バランスですね。そういう部分を県が担っているということを考えておりまして、それから市町村と住民の関係は、議員御承知のように、団体自治か住民自治かという基本的な問題で、私はやっぱり最終的には市民に、あるいは県民に、住民に主権があるというふうな考え方で申し上げておるわけでございまして、その中で、福祉の問題については、個々の問題については、保健福祉部長から答弁させますが、その中で、国の今の政策等についてどう考えるかという問題であろうかと思います。

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2003年12月議会一般質問
次に、 二〇〇四年度予算編成の県の基本姿勢にかかわって伺います。

 最大の問題は、 国の政策とともに財政当局が指示してきたマイナスシーリングによって、 県民の暮らしに直結した予算は現に減らされていることです。 二〇〇一年度と二〇〇三年度の当初予算額を比較すると、 民生費は四十一億円の減、 衛生費は二十四億円の減、 教育費は百億円の減であります。 県は、 こうした姿勢を今後も続けるというのでしょうか。

 来年度の当初予算の編成についてでは、 厳しい経済・雇用情勢への的確な対応等とともに、 画一的に予算を削減するのではなく、 必要性、 緊急性、 効果等の観点から、 これまで以上に各事業の重点選別化を徹底することを強調されています。

 また、 個別的事項の中では、 投資的事業については、 県民生活に密接に関連した事業を重点的に選択するとも述べています。

 また、 県は、 公共事業におけるコスト縮減も強調されています。 福島県の落札率が高いことはつとに指摘されているところであり、 入札の改善は最優先の課題と思います。

 さらに、 国庫補助負担額の削減は、 福祉や教育が多くを占めることから、 県は肩がわりしないとの姿勢では、 県民の福祉向上を仕事とする地方自治体としての責務を果たせません。

 私は、 ここに述べられたことを具体化するのであれば、 トラハイや小名浜人工島などは休止をして、 社会保険乳幼児医療の現物給付、 三十人学級の拡大と複式学級の解消、 県立病院における医師の確保による機能充実と経営改善、 県立子供病院の検討、 農作物の価格補償制度、 市町村国保への県としての支援、 介護保険料・利用料への助成策、 学童保育の拡充、 公共施設の耐震化などなど、 県民が日常暮らす上での要望に県は真正面からこたえるべきであります。

 知事は、 八日の代表質問に答え、 四つの重点推進分野を示しましたが、 私は、 上記の項目を含め、 知事が具体的に何を重視し、 何を見直すかを県民に開示しながら予算編成を進めるべきだと考えますが、 知事の基本的な考えをお聞かせください。
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総務部長の答弁

 来年度の当初予算編成につきましては、 予算編成方針や財政構造改革プログラムをホームページに掲載するなど、 可能な限り県民への情報提供に努めながら、 限られた財源を重点推進分野へ優先的、 重点的に振り向けるとともに、 県民の生活に密着し、 県民の安全・安心につながる施策に十分配慮していく考えであります。
 なお、 予算編成に当たりましては、 政策評価の結果や事業の必要性、 緊急性及び費用対効果などを踏まえながら、 適切に対処してまいる考えであります。

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