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政策・提言 >> 憲法編

2005年02月議会一般質問

 最初に、知事の憲法認識について伺います。

 ことしは日本の敗戦から六十年。私は、日本の国が二度と戦争に加担することはしないという意味で、戦後を終わらせてはならないと思います。世界の市民は、五千万人を超える人命を奪った第二次世界大戦の悲惨な体験から、国際紛争の解決のためであっても、武力を使うことを選択肢にすべきではないという教訓を引き出しました。国連憲章二条四項が「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は慎まなければならない」としているとおりであります。

 侵略戦争をし続けることで、この戦争に多大な責任を負った日本は、戦争放棄と戦力を持たないことを規定した九条を含む憲法を制定し、こうした世界の市民の意思を実現しようと決心しました。

 住民福祉を最優先することをうたう二十五条や地方自治法は、平和へのこの強い意思を表現した九条と一体のものとして政治に生かさなければなりません。すべての議員、そして公務員は九十九条によって、この憲法を尊重し擁護する義務を負っています。

 知事は昨年を振り返って「平和への思いを新たにした一年でありました」と述べていますが、現行憲法についてどのような認識をお持ちか伺います。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 現行憲法につきましては、我が国が、悲惨な戦争への道を回避できなかったことを戦後の焦土の中で深く反省し、自由と民主主義の原則のもと、世界の一員として人類の恒久平和の実現に貢献することを国内外に宣言したものであり、「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権の尊重」という基本原理は、戦後の我が国の方向づけをしっかりと果たすとともに、国民の精神的支柱となっているものと認識しております。

 さらには、地方制度は地方自治の本旨に基づくべきことを明確に規定し、今日住民自治と団体自治として定着してきており、真の地方分権の確立や、さらにそれを推し進めた住民主役の地域づくりが求められる中、今なお揺るぎない存在意義を有しているものと考えております。

 私は、今後ともこうした現行憲法の精神を原点として、「いのち・人権・人格の尊重」を基本理念とする県民の安全・安心の確保はもとより、個性や多様性を尊重した独自の県づくりを推進し、地域や地域住民から出発する自立した地域社会の中に、さらなる県勢の発展と住民福祉の向上を実現してまいる考えであります。
 
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再質問

 御答弁の中で、恒久平和、平和主義、地方自治、私は全くそのとおりだと思っております。平和のことや地方自治に心を寄せる方々も、多くは多分そういうことだと思うのですけれども、しかるに、現在の国会の中を見ておりますと、特に憲法九条にねらいを定めているかのように、国軍を憲法で明記することや集団的自衛権の行使を憲法に明記することなどが議論をされております。

 これは、私は地方自治という問題から見ても非常に重要な問題をはらんでいると思いますので、地方の首長としての知事として、今の国会の中の九条にねらいを定めた動きについてどのようなお考えをお持ちか、ぜひお聞かせいただければと思います。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 先ほど桜田議員が引用したスウェーデンの詩の、中学の教科書にも出ているそうですが、スウェーデンの歌の中に「殴られて大きくなった子供は力に頼ることを覚える」という部分がございます。

 どうもここ数年来というか十年来の動きを見ておりますと、力がすべてを決するような状況が出ているのは、武力によらない世界の恒久平和の実現に貢献していくことを誓っております我々としては、非常に残念であると見ておるわけでございまして、県議会でもおととしの十二月ですか、全国の中ではただ一つでございましたが、イラク参入に反対決議をいたしました。そういう状況の中で、どう考えていくかについては、この憲法問題、直接私ども、今ここで触れる場でないと思っておりますが、私は、そういう今の状況を嘆かわしく思っておるということ だけを申し上げたいと思います。
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再々質問

 知事に先ほどお伺いしましたのは、やはり憲法の九条の問題と、今、現に日本の場合は、武力攻撃事態法とかいって、武力攻撃がない、武力攻撃のおそれがある場合ですら武力攻撃事態という、そういうことで認定されるおそれがある。なおかつ国民保護法制というのができて、知事が地方自治体の責任者として動かざるを得ないというような、そういう仕組みになっているもとで、集団的自衛権を九条に盛り込まれた場合に、大変なことに、地方自治がそれこそ死滅させられると、こういう関係にあるものですから、今の国会の中の動きについて、どのように知事が地方の首長として考えられているかということをお伺いしたいのであって、ぜひお聞かせいただければと思います。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 地方の問題につきましては、知事会でも憲法改正ということを主張している知事もいっぱいいます。それは、地方自治の本旨という、そして今、先ほども申し上げましたように、まさに団体自治、住民自治ということが、二、三十年前は定着しておりませんでしたが、今定着してきました。その上で、 私どもは市民から出発するということを、今強力に申し上げておりまして、知事会で、地方の住民に関して、 私は述べることについては、今のような、世界に冠たる憲法だよと、この部分についてですね、ということを主張しておるところでございます。

 今の九条の問題については、これは議員の議論については、私も勉強不足でございますので、ひとつ国会の方でよく議論すると同時に、また、私どもと関連する部分について、問題が出てくる場合には、主張していかなければならないと思っております。
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2003年12月議会一般質問
 福島県議会が国に対し、 日本国憲法の平和理念に基づき、 米国のイラク攻撃に反対し、 平和的解決に向けて全力を尽くすよう強く要望する意見書を提出をしてからちょうど一年がたちます。 知事が、 この意見書を高く評価し、 県内各地で県民へ訴えられていることも聞いております。

 ところが、 その後のアメリカによる国連無視のイラクへの先制攻撃、 無法な軍事占領は、 イラク国民の反発と反感を広げ、 テロと暴力の土壌を広げる原因ともなっています。 ついに現地時間の十一月二十九日には、 復興支援中の日本人外交官二人が襲撃をされ、 死亡する事態となりました。
 
 にもかかわらず、 小泉内閣は 「日本人の精神が試される」 などと、 かつての国民精神総動員運動をほうふつとさせるような言葉を使って、 自衛隊派兵の正式決定となる基本計画を九日に決定しました。 これは、 県議会の要望や知事の姿勢を真っ向から踏みにじるものと言わなければなりません。
 
 そこで私は、 知事がイラクへの自衛隊派兵を是認するような立場をとらず、 反対の意思を明確にして、 その中止を政府へ働きかけるべきと思いますが、 その所見を伺います。

 政府は、 こうした中、 先月二十一日、 国民保護法制の要旨を決定しました。 知事などに役割分担をさせるような衣の下に、 知事などが国の言うことを聞かなければ、 首相が知事にかわって措置を講ずるというよろいがあるものです。

 例えば、 知事が県民の救援という名のもとに、 物資、 土地、 家屋の強制収用、 県民の強制動員をすることができ、 知事がしなければ首相がする、 こうなっています。 しかも、 テロ時にも適用する。 重大なのは、 武力攻撃事態等の予測の段階から警報が発令され、 武力攻撃事態等とは、 アメリカがアジア・太平洋地域で戦争を起こし、 自衛隊が軍事支援する事態、 すなわち日本有事ではなく、 アメリカ有事の可能性が最も高いのであります。

 こうした事態に備え、 知事は、 国がつくる基本指針に基づいて、 首相と協議しながら計画を作成し、 また日常的に訓練することまで盛り込まれています。 知事は、 有事法制関連法が国会で審議されていた際、 地方自治の原則や基本的人権の尊重などの憲法の理念に反することのないようにと、 その基本的姿勢を表明されてきました。

 しかし、 示された保護法制の要旨の内容と構造は、 基本的人権の尊重や地方自治の原則に反することは明らかだと考えます。

 そこで、 知事は、 国民保護法制の要旨をどう受けとめられ、 国に対してどのように臨むおつもりか伺います。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 イラクへの自衛隊派遣につきましては、 先日基本計画が閣議決定され、 派遣の時期等につきましては、 実施要項を定めて内閣総理大臣が判断するとされております。

 この問題につきましては、 憲法の理念を踏まえて国政の場でしっかり議論し、 国民の理解を得ながら、 人道復興支援の実を上げるべく、 現地の情勢を十分見きわめた上で判断すべきであると考えております。
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総務部長の答弁

 国民保護法制につきましては、 本県として、 基本的人権や地方自治の原則の尊重、 さらには原子力施設等の安全確保対策などを申し入れてまいりましたが、 今回の法制の要旨には、 このような地方公共団体の意見について一定の反映がなされているものと受けとめております。

 しかしながら、 具体的な事態想定が今後の検討にゆだねられているなどの課題が残されており、 特に原子力発電所が集中立地している本県としては、 その安全確保と住民避難について、 平時を含めて国が責任を持って万全の措置を講じるように、 また今後、 市町村も含めて十分な意見交換を行い、 国民の理解を深めていくよう国に対して求めてまいりたいと考えております。

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再質問

 最初に、 知事にお伺いしますが、 イラクの事態については、 当然首相が決めるわけですけれども、 その前提には国民がどういう意思を持っているかと、 その中には各都道府県の首長なり、 自治体の首長も含めて、 どんな意思をお持ちかというようなことも、 考慮の中に入るはずだと思うんですよね。 今のイラクの事態を見れば、 もう泥沼化の状態である。 アメリカの、 向こうの司令官が、 今はイラクは全土が戦争状態だというように国際的にははっきりしているわけで、 日本としては、 戦闘地域と非戦闘地域を分けて、 非戦闘地域があるんだというふうには言ってますけれども、 それはしかし、 国際的には通用しない話なわけです。

 ですから、 こういった事態のもとで、 現時点でやはりその姿勢を表明するべきではないかというふうに考えますので、 自衛隊の派兵については、 やめるべきだという姿勢を示すべきだと思いますが、 改めて見解をお示しいただきたいと思います。

 それと、 国民保護法制についても、 もともとことしの一月あたりに、 政府の方は都道府県に対して、 いわゆる災害対策基本法などの現行法でも対応できる部分はあるというような説明はされていたというふうに聞いてます。

  全国市長会の中でも、 市長の中からは、 消火は消防、 避難は学校ということで、 市町村で十分できるんだと、 だから細々法律をつくらなくてもいいというような意見があったというふうに聞いていますけれども、 これに対する内閣法制局の関係者の説明というのは、 要は災害対策の場合は市町村が責任を持つけれども、 武力攻撃事態というのは戦争なので、 これは国が一元的に責任を持つんだと、 だから国民保護法制が必要だ。 その武力攻撃事態のときには、 自衛隊というのは、 要するに相手と戦うことが仕事であって、 災害対策基本法の場合には自衛隊はフリーなので、 災害には自由に出動できると、 そこが決定的に違うところだという説明をされたということだそうですよね。

 ですから、 要は、 今国が考えているのは、 住民の民間の土地や物資などの収用、 保管等々、 国が実際やりたいところ、 市町村や知事に一応形の上では権限は与えましょうということが言われているだけの話であって、 実は形だけであって、 本質はやはり国の出先として動いてもらうと。 もしそれを、 首長が言うことを聞かなければ、 自治権を奪うというような構造と内容になっているのが保護法制ですから、 これはもう明らかに地方自治の死を意味するというふうに私は認識をしていますので、 その辺はっきりと、 県として政府にしっかりと姿勢を示すべきではないかと思いますけれども、 二点お伺いいたします。
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佐藤栄佐久知事の答弁

 先ほど申し上げましたように、 この問題については、 内閣総理大臣がまさに判断するとされたところでございます。

 私自身、 先ほどからずっと申し上げておりますように、 約二十五年前、 PLOのアラファト議長さんを、 私どもの団体で政府にかわって、 政府は呼べませんでしたもので、 政府にかわって呼んで京都を案内しました。 二十年前に、 私は国会議員としてイスラエルを訪問し、 パレスチナとの関係等について勉強も、 実際に肌で触れて感じてまいりました。

 同じく二十年前前後でございますが、 ロシアと戦っておったアメリカの武器を援助を受けながらアフガンで戦っていたゲリラ、 多分今のテロリストとつながっておるアフガンのゲリラの代表と、 実はジャマイカで、 私も日本の青年代表として実際に会議で、 平和というようなテーマ、 開発とか参加のテーマもありましたが、 議論をいたしました。 私より三十センチ、 四十センチ高い皆さんばかりでありましたが、 国から抜け出してきたと。 女性とかもいました。 国際会議で日本代表で出席しました。 知事になってから、 ウズベキに行って、 原理主義との戦い等も、 実際副首相から聞いてまいりました。

 そういう私のつたない経験の中で、 ブッシュさんが、 ただ一つの強大国になって、 「戦争だ。」 と言い出しましたので、 これは大変なことになるというのが九月議会で、 テロのあった次の週だったと思いますが、 私が発言した感想でございました。 残念ながら、 私の予想どおり、 大変な事態になってきているというのが実感でございます。

 しかし、 この問題については、 まさに私ども、 平成六年から、 国と私どもの役割分担、 将来的にこういう役割、 そして現在もそうでございますが、 外交、 防衛、 安全保障、 国際貢献等については、 国が責任を持ってやるということを申し上げておることでございますので、 私よりも情報量をたくさん持って、 あるいは私よりも見識がある国会議員の皆さんが責任を持って、 この問題については対応すべき、 国会議員ではなくて、 この場合は、 国会で議論はするでしょうが、 判断するのは総理だろうと思いますので、 総理が責任を持って、 日本の国が間違った方向に行かないように、 そしてイラクの皆さんをどう人道的な意味で復興を応援できるかということを考えていただくということでございますので、 期待して見守っていきたいと思います。

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総務部長の答弁

 地方自治に反するのではないかというおただしでありますが、 先ほども答弁の中で申し上げましたように、 今回示された要領の中には、 一定の、 我々地方が申し上げてきたものについては反映されていると。 ただ、 先ほど申し上げましたように、 例えば事態の想定が具体的に示されていないとか、 そういう問題がございます。

 そういうことで、 地方としては、 そういう面については早急に明らかにしろと、 あるいは本県の重大な問題であります原子力発電所等々についても申し入れをすると、 今後とも、 そういうことにしておりますが、 今回示された要領の中では、 お話しのように、 いわゆる救援に関する一つの措置の中に、 お話にありましたような物資の保管命令でありますとか、 場合によっては土地の使用でありますとか、 そういうものが知事の権限という形で規定されるという要領が示されてございます。

 この件につきましては、 六月に成立してございます、 いわゆる武力攻撃事態対処法の法律そのものの中でも、 権利の制限については必要最小限のものにしますということで、 基本的人権は守ります。 それから、 今回の要領に示されました中でも、 基本的には地方自治に反しない、 あるいは基本的人権は守るということで、 これは地方から申し入れをしておりましたし、 そういうことになって、 そういうものが今後、 一年以内に法律をつくるわけでございますが、 そういうところにきちっと反映されるだろうと我々考えておりますが、 当然今後も基本的人権、 あるいは地方自治の本旨は反映されなければならないものであるという態度で我々としては臨んでいきたいと、 このように考えております。

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