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政策・提言 >> 医師・医療編

2007年2月議会 総括審査会
長谷部淳委員
 医療問題に移ります。今回の医療制度改革に関して、県が新たに策定する計画や改定する計画の全体像についておたずねします。

保健福祉部長
 今回の医療制度改革に関しては、新たに医療費適正化計画を策定するとともに、医療計画、健康増進計画を改定することとしており、医療費適正化計画につきましては、医療計画等との整合性を図りながら、策定してまいりたいと考えております。


長谷部淳委員
 昨年からすでに国会で通ってしまったものに基づいて、負担増がされたりいろいろありますが、政府としては医療改革法を具体化することによって2025年までに医療給付費を8兆円削減できると言っています。すなわち、都道府県を医療費削減政策の出先として活用するために、さまざまな計画づくりを義務づけたのではないかと思うわけですが、県が策定する「医療費適正化計画」において「医療給付費削減」を種々の計画の目標におくつもりなのかどうかお考えをお示しください。

保健福祉部長
 医療費適正化計画におきましては、高齢者の医療の確保に関する法律第9条第2項の規定により、計画期間における医療に要する費用の見通しに関する事項を定めるものとされております。


長谷部淳委員
 確認しますけれども、県の保健医療福祉プランでも言っている「県民だれもが、いつでも、どこでも、質の高いサービスを受けることができる」基本理念に変わりはないでしょうか。

保健福祉部長
 基本理念に変更はございません。

長谷部淳委員
 今年秋までに策定する「地域ケア整備構想」(仮称)、来年度中に策定して来年4月からはじまる種々の計画策定にあたっての国が基本方針を示してからの審議会などの体制、スケジュールをお示しください。

保健福祉部長
 地域ケアの整備に関する構想や医療費適正化計画をはじめとする種々の計画策定にあたりましては、町内に設置した「福島県医療制度対策推進会議」において検討を行うとともに、医療審議会や健康ふくしま21推進協議会などにおいて議論をしていただき、地域ケアの整備に関する構想については、平成19年秋を目途に、その他の計画につきましては、平成19年度中に策定してまいりたいと考えております。


長谷部淳委員
 進め方の過程で各市町村との協議や意見集約、住民参加による計画づくりが重要だと思いますが、どうお考えでしょうか。

保健福祉部長
 計画策定にあたりましては、市町村から意見を聴取するとともに、パブリックコメントを実施し、広く県民の意見を伺いたいと考えております。


長谷部淳委員
 同様に、計画策定における調査データの公表、対応する審議会などの検討内容の公表・情報公開、これらは位置づけられているかお答えください。

保健福祉部長
 計画策定の過程における審議会等につきましては、原則として、公開で行うこととしております。

長谷部淳委員
 計画案のパブリックコメント、公聴会の位置づけはされているのかお答えください。

保健福祉部長
 計画案につきましては、パブリックコメントを実施し、広く県民の意見を伺うとともに、審議会等において、専門家等からの意見をお聴きしたいと考えております。


長谷部淳委員
 先ほど基本理念の変更はないということですが、それを前提に県民の生活圏ごとに医療サービスが完結するよう医療計画に盛りこむべきと思いますが、県の考えをお聞きします。

保健福祉部長
 県民の誰もが、いつでも、どこでも、安全で質の高い医療サービスを受けることができ、快適で健やかな生活を安心して送ることができるという基本理念の下、医療計画を策定してまいりたいと考えております。

長谷部淳委員
 終わります。
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2006年11月議会一般質問
次に、安全・安心の県づくりに関わり、医師不足、とくに病院勤務医不足対策についてうかがいます。

 私の居住地であるいわき市においても、この勤務医不足は顕著です。いわき市の場合は、県が策定する「地域保健医療福祉圏計画」の圏域であり、県の責任は重大です。

 市の中核病院であるいわき市立総合磐城共立病院の院長は、「医師不足が深刻で…当直などでも中堅医師にかなりの負担がかかっている…診療科目によっては、診てあげたくても診てあげられない状態…勤務医・看護師など医療スタッフの労働条件が悪くなり、バーン・アウトしていく。そしてさらに負担が増える、という悪循環が続いている」と現状を語っています。

 また磐城済世会理事長でいわき市病院協議会会長は、病院協議会では「『共立の負担を軽減するような協力をしよう』と話し合っている」が、ご自分の病院でもこの二年間で勤務医が「二五、六人から十三、四人に」減ってしまい、理事長本人が当直勤務し、「いわきはそのうち、医療過疎になるかもしれない」と言っています。

 県が計画に責任をもつ二次医療圏のいわき市の病院勤務医不足について県はどのような現状認識をおもちなのか、あわせて勤務医不足解決のために、市をどのように支援しようとされるのか、短期的・長期的それぞれの考えをお聞かせください。

 この病院勤務医不足は、いわき市にとどまりません。県が各圏域の公立病院へ三三人の医師を派遣していることはその深刻な現れであり、この問題にのぞむ県の真剣な姿勢の現われでもあります。

 いずれにせよ中長期的に見るならば、各圏域のそれぞれの地域で、医師が生涯を通じて自発的に働き続けられる医療環境の整備を県が主体的に進めることは不可欠といわなければならないと思います。

 県は総合的な医療環境の整備充実につとめるといいますが、医師が自発的に県内で働き続けられる医療環境という面から、県としては現状の問題をどう認識し、解決すべき課題と手立てをどう考えておられるか、そのなかで県はどう主体性を発揮されようとしているのか、お示しください。
 
 また知事は、「女性医師が子育てと診療を両立できる環境の改善に努める」と述べられています。改善が必要な現状という認識が前提ですが、女性医師を支援するため、具体的に、労働条件改善、院内保育所への補助拡充と整備促進、産休・育休代替医師確保のためのドクターバンク、パートでの医師雇用につき、県として現状をどう把握し、どのような改善が必要で、どんな手を打ち、また打とうとされているのかお聞かせください。
 
 次に、各医療圏での医療提供体制の整備にかかわって、各医療機関の機能分担・業務連携促進における県の役割についてうかがいます。

 病院勤務医不足のもと、さまざまなしわ寄せが勤務医に来ていることが現況です。これを緩和するには、病院間の役割や機能の分担・必要な連携、同じように病院と診療所とが実質的・緊密な連携をすることが不可欠です。
 私は、各二次医療圏において、県が主導し、市町村、医師会、病院関係者が、こうした連携を目的に、定期的な会合を持ち、圏域内医療提供についての課題を日常的に共有しながら問題解決にあたる体制を今すぐにでもつくるべきだと思いますが、考えをお聞かせください。
 
 次に看護職員についてうかがいます。

 二万人を超える県内看護職員のうち、四割超が准看護師です。全国平均は三割強で、県としても准看護師から看護師への移行を進め、看護師比率をふやさなければならないことは本県の課題であると認識していることは承知をしております。

 しかし、課題と認識しているにしては、具体的・抜本的促進策が明らかではありません。そこで、県としての現状認識と、今後、具体的に看護師比率をどう高めようとされるのか、考えをお聞かせください。

 あわせて、准看護師から看護師への移行のための二年課程通信制の整備について、全国ではすでに十九校ありますが、本県においてどのように進めるおつもりか、お聞かせください。
 
 次にリハビリ医療に関してうかがいます。

 国は、今年四月の診療報酬改定で、国民にはほとんど知らされないまま、リハビリ医療が原則として、発症から最大一八〇日までに制限されました。これにより、寝たきりになってしまうケースや生活機能が低下し、命を落とす可能性も指摘されている問題です。

 福島県保険医協会の先月の半月間の調査で、県内で「脳血管疾患等リハビリテーション料T」を届け出ている医療機関のうち、八医療機関で、リハビリを継続できなくなる、または制限でリハビリ診療をやめた患者さんが一七三人にのぼった、とのことでした。

 医療機関からは、「中途半端な形でリハビリを終了せざるを得ない患者さんも多く、大変困っている」「一律の日数制限は、患者、医療スタッフともに納得のいくものではない」「症例を客観的に評価し、適切なリハビリを行なう必要がある」などの声が寄せられている、とのことです。

 テレビでもリハビリ制限の問題について、その実態が放映されました。

 リハビリテーションをより広い意味でとらえ、「地域リハビリテーション」を推進している県としても関心を示さないわけにはいかないと思います。

 そこで県としては、リハビリ日数制限による影響をどう把握し、どのような対応が必要と考えているかお聞かせください。
 
保健福祉部長の答弁

 勤務医不足につきましては、へき地に限らず、いわき市を含む都市部の病院におきましても深刻な状況にあります。

 県といたしましては、当面の対策として、公的病院を対象に、県立医科大学から非常勤医師を派遣しており、いわき市へも4名派遣しているところであります。

 さらに、医学部学生への修学資金の貸与や臨床研修病院による合同ガイダンスの開催などにより、医師の確保に努めてまいりたいと考えております。

 次に、医療環境の整備につきましては、医師不足が深刻化する中、重要な課題であると考えております。

 このため、医療機関相互の機能連係と機能分化を進め、効率的な医療資源の活用をはかるとともに、医師臨床研修後期研修の充実など、県立医科大学や市町村、医療関係機関等との連携を進めることにより、医師が働きやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

 次に、女性医師の支援につきましては、これまでも、病院勤務医等の仕事と家庭の両立支援のため、病院内保育所事業に対する助成を行ってきたところでありますが、今年開催した「女性医医師に関する懇談会」における意見等を踏まえ、子育て期の就業環境の改善策や保育サービスの在り方など女性医師の働きやすい環境づくりについて検討してまいりたいと考えております。

 次に、医療提供体制の充実につきましては、各保険福祉事務所ごとに保険・医療・福祉関係の団体、市町村、関係行政機関で構成する「地域保健医療福祉推進会議」を設置し、また、いわき市には「保健医療審議会」が設置されており、それぞれ地域の実情に即した医療施策の推進等について検討、協議を行っております。

 次に、看護職員につきましては、医療の高度化・専門化に伴い、より質の高い医療の提供が求められる中で、その資質の向上が重要であると認識おります。

 このため、准看護師養成所から看護師養成所への過程変更については、設置者の意向を踏まえながら、その促進を図っているところであり、また、看護師資格を取得しようとする准看護師に対して、修学資金を貸与するなどの支援を行い、今後とも、看護師比率の向上に努めてまいりたいと考えております。

 次に、看護師2年過程(通信制)につきましては、県内外における設立動向や、准看護師の受講希望等を踏まえ、現在、医療関係者や学識経験者等で構成する「県立看護師養成施設に関する懇談会」において、検討中であります。

 次に、医療機関で行われるリハビリテーションにつきましては、今回の診療報酬改定において、早期のリハビリテーションに重点を置き、より効果的なリハビリテーション医療の提供が行われるよう配慮された結果であると理解しております。

再々質問

 保健福祉部長にお伺いいたします。二次医療圏における医療関係者の連携についての件です。いわき市においては、私自身がいわき市の医師会の方からもいわき市の病院協議会の方からも、市や県が入った形での具体的な対策についてキチッとやれる場をつくってほしいと要望があったもんですから聞いたんです。

 この間でいうといわき市では本当に深刻な問題になっているんで、医師会の方でも病院の勤務医、特に急性期病院、いわき市立共立病院の勤務医の先生方の負担の軽減のために、たとえば医師会の開業の方々が介護問題なんかに関しての意見書などはキチッとやることにしようとか、急性期病院から退院するときの退院時の計画について、包括支援センターも含めて、開業医が積極的に関わろうとか、あるいは小児科の救急の問題についても、医師会の中で医師を募って、小児科輪番制なども検討していこうじゃないかと話をしているんです。

 ところがそういった問題を、たとえばいわき市全体の中でそれぞれのところでどういう状況があって、どこでどういうことが必要なのかというのは、結局、行政がキチッと把握した上でその情報をもとに議論をするということにならないと、開業医の先生方も病院の勤務医の先生方も基本的には自分のところで働いているわけですから、つねにいわき市全体のことが見えて働いているわけではないので、そこはやっぱり行政が入ってくれないとだめだということなんですよね。

 実はいわき市の担当の方に聞きましたら、結局、いわき市も圏域が県がつくる医療計画の圏域なもんですから、県がやってくれないと困るんだと、こういう話なんです。行政の側もそういうわけなんです。ですから具体的に、ただちに県がちゃんとかかわってやるべきではないか、と聞いたんです。審議会でやられているようなお話ですけれども、現場はやられていないという認識でやってほしいと声がでているものですから、改めてお聞かせいただければと思います。

保健福祉部長の答弁

 医師不足はおっしゃるように今いわき市に限らず全県的な問題でございます。私どもも危機感を持って、短期の対策、それから今回認められつつある県立医科大学からの増員など、いろんな取り組みをしてまいりました。

 県は保健医療福祉計画を持っておりますのでその進行管理をそれぞれの地域で関係の方々がお話し合いをしていただいてしているところであります。

 さらに、医師が今すぐわいてくるわけではありませんので、限られた資源をいろいろ地域で工夫をしていただいて、たとえば開業医などでは夜、小児科の救急を診ようかとかそんな工夫もなされているような経緯もございまして、地域のみなさま方がそういう工夫をしてこの場を乗り切るというのが今の知恵かなと思っておりまして、行政が出ていかないというお話がございますが、県はいわき市に保健所というのがないもので、中核市の保健福祉を担っている部分で対応が可能かどうか検討をさせていただきます。
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2006年6月議会一般質問
 つぎに、医療事故が発生した場合の、県としての原因究明・再発防止、被害者救済のしくみづくりにかかわってうかがいます。

 一昨年十二月十七日、県立大野病院で帝王切開手術中に大量出血して患者さんが亡くなりました。亡くなられた女性とご遺族に心から哀悼の意を表したいと思います。

 この医療事故は翌日に保健所に報告され、ほぼひと月後の昨年一月から三回にわたって事故調査委員会が開催され、三月三十日に調査結果が公表され、六月にはこの調査結果に基づいて県は関係者の懲戒処分を行ないました。

 大野病院では一人だけだった産科医は、医療事故から一年以上もたった今年二月十八日に逮捕、起訴されました。県警本部は、四月十四日、医師を逮捕した富岡署に本部長賞を授与しました。

 県警による医師逮捕後の一連の経過をめぐっては、全国の医療関係者から驚きと疑問の声があがっています。

 「法と証拠」という名のもと、患者さんの前で手錠をかけられるようなことが続くなら、地域から産科医がいなくなってしまうと私は危惧します。

 そこであらためて病院局にうかがいます。今回の医療事故の背景をどう認識されているか、事故調査委員会調査結果をふまえてお聞かせください。

 また、医師逮捕後、県内の産科医療提供体制に具体的にどんな影響が現れているか、県の現状認識をお聞かせください。

 さらに、産科医療体制の整備は、自分が住む地域で出産したい、あるいはふるさとへ帰って出産したいという当然の希望に応え、また地域医療体制の確保に関する各地域医師会の行政への期待にも応え、なによりも産みやすい環境づくりをかかげる県の方針とも合致するわけですが、現状をふまえたとき、県としてはどんな中長期展望をもって産科医確保と産科医療体制の整備を進めるおつもりか、お聞かせください。

 さて今回の事例では、異状死体の届出義務を定めた医師法第二一条違反も問われていますが、これは殺人などの異常な状況が認められる場合に二四時間以内の届出を規定したものと考えられてきた経過があり、異状死についての医学界・法曹界の合意はなく、医療現場は混乱しているのが現状だと思います。

 それにしても、刑事責任を問われる可能性がある医師本人に対して通報義務を課し、しかも死亡から二四時間以内に届け出なかったら逮捕する、とされてしまったら、命をあずかる地域医療をになう医師はいなくなってしまうのではないでしょうか。
 
 異状死の判断基準や医師法第二一条の改正は最終的には国が決めることですが、当然それは、関係者の意見を十分に聞いたうえでの話です。そこで県としても、県内の医療関係者などの声をよく聞き、意見をまとめ、国へ積極的に働きかけるべきだと思いますが、現状の認識と考えをお示しください。

 医療事故が発生した際に必要なことは、患者・家族への誠実な対応と必要な補償とともに、原因を究明し、再発を防止し、医療の安全性・質を高め、医療に対する国民の信頼をとりもどすことです。それには、医療機関自らが努力し役割を発揮することと同時に、行政機関あげてとりくむことが必要です。

 行政としては、医療機関・患者双方からの相談窓口ともなり、医療事故を調査し、原因究明・再発防止に役立てる第三者機関を設置することが必要ではないでしょうか。

 また、医療紛争は、医療行為に過失がなくても、患者の期待と医療結果が一致しなければ発生しうるものです。
これが裁判になれば、患者や医療者双方にとって精神的にも経済的にも大きな負担となります。

 そこで、訴訟に至る前に、事故原因を明らかにし、被害者、医療機関の間を調停し、裁判によらない紛争解決ができる機能をこの第三者機関にもたせることも大切だと思います。

 現在、県には、県民からの相談・苦情・要望などに対応するための県医療相談センターがありますが、このセンターが嘱託職員一人の現在の体制と予算でこうした機能を果たすことは困難です。

 そこで、いま提案した第三者機関を県として設置することについて、県の考えをお聞かせください。
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病院局長の答弁

 県立大野病院の医療事故につきましては、事故発生後直ちに外部の専門家等による医療事故調査委員会を立ち上げたところであります。

 その調査報告では、十分な術前診断、複数の専門医による対応、チーム医療の活用などが指摘されており、これら医療の安全確保につきましては、県立病院全体の課題として重く受けとめております。

保健福祉部長の答弁

 産科医療提供体制への影響につきましては、安全・安心な医療の提供の観点から、病院における1人医師配置の見直し等の動きがあるものと認識しております。

 産科医療体制の整備等につきましては、引き続き、産科医の確保に努めるとともに、医師の配置や診療機能の集約化・重点化及び診療連携体制の強化を図り、県民への適切な医療の提供に努めてまいる考えであります。

 異常死の判断基準等につきましては、医師会や病院協会などの医療関係機関において、異常死の解釈が必ずしも統一されていないため、医療の現場に混乱が生じているとの声があると認識しております。

 第三者機関につきましては、医療事故の調査や原因究明にあたり、患者の視点にも配慮した公平性や透明性、専門性を確保し、裁判によらない紛争解決の性格を有する機関であるとすれば、国が法律に基づいて、設置すべきものと考えております。

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再質問

 病院局長にお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話のように報告書の中には対応する医師の不足であるとか、複数の産科医による対応が必要であるとかといったことが確かにふれられております。

 そうした背景があって、1人の医師が献身的にそして自己犠牲的にリスクの高い医療行為を行わざるを得ないという実態の下で、1個人の刑事責任を追及するのは安心してかかれる医療といった面から見れば、その医療の実現にはそぐわないのではないかというふうに思います。

 そういうことがあるので、県内だけではなく全国から県警の今回の逮捕劇というのはおかしいのではないかという声が寄せられているのだと思いますけれども、そのこと自体についてどのように病院局としては評価をされているのかお聞かせいただければと思います。
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病院局長の答弁

 医療の安全確保につきましては、県立病院全体の課題として重く受けとめているところでございます。ただ、個々の問題も刑事上の問題につきましては、これは司法の場でしかるべく判断されるべきものと考えておるところでございます。
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2006年2月議会一般質問
次に県内医師不足対策についてうかがいます。

 県内の医師数は、二〇〇二年から二〇〇四年の二年間で、人口当たりでは微増ですが、実数では減少しています。二〇〇四年の人口十万対医師数は全国平均より三〇人少なくなっていますから、実数では六三〇人の不足です。

 その日本の医師数は、OECD調査でも三一か国中、下から四番目という低さです。政府が「医師過剰論」を前提としていることは問題ですが、へき地対策や診療科での偏在、女性医師の就業環境整備を当面の課題として対策に乗り出していることは注目すべき点だと思います。

 本県においても医師確保を県政の重要課題として位置づけるとともに、医大においても総合診療部の開設、全国に先駆けて医学生がホームステイ方式で地域医療を体験するカリキュラムを導入したことなどはおおいに評価できるものです。

 重要なことは、当然のことですが、医師が自発的に県内に定着し、働き続けられる医療環境をつくることだと思います。特定診療科従事やへき地勤務を義務づけるような強制は、短期的に効果がでるとしても、これに頼るだけでは解決しないと思います。

 医学部をめざす高校生の段階、医学部学生の段階、卒前教育、臨床研修、後期研修、さらには医師としての研修機会の確保など、医師のライフステージに配慮しつつ、医師が生涯を通じて自発的に県内で医療活動を続けられるような医療環境を整備する県としてのグランドデザインが必要だと思いますが、見解をお聞かせください。

 また、医師の意欲がわきでる条件整備という面からいえば、何と言っても医師の研修と労働の環境を整備することは不可欠です。臨床研修指定病院に対する指導医確保や指導単位を保障するしくみ、県立病院の機能強化、医師の過重勤務を解消して潤いとゆとりがある生活の保障、それぞれの地域での機能連携、医療資源の効率的活用、比重が高まっている女性医師に対する支援、さらには中高年医師への支援などは、それぞれの事業者の努力だけではままなりません。直面する課題から中長期的に解決を図る課題までさまざまですが、これら施策や支援の具体化について県の考えをお聞かせください。

 さて、県内の医師数は県内地域のアンバランスも大きなものがあります。二〇〇二年度の数字で見ると、人口十万対で県内平均を下回っているのは南会津・相双・県南・会津・県中です。絶対数が少ないなかで、県北・いわきに偏在しているわけです。相双地区は、絶対数で見れば県平均から一二〇人、県南は六〇人、会津地方はそれぞれ二〇〜三〇人少ないのではないでしょうか。問題はこの二次医療圏における偏在だけではありません。たとえば県中の一九九八年から二〇〇四年までの医師数の推移を見ると、郡山市では九〇人ふえていますが、須賀川市では変化がありません。県北では、福島市では医大も含めれば五二人ふえていますが、二本松市では四人減っています。二次医療圏内においても、都市部に偏在する傾向が見られるわけです。

 住民にとって、日常的にかかりやすい範囲で必要な医療提供の体制を整えることは、事業者の良心で行なえるものではなく、やはり行政の役割は大きいといわなければなりません。私は、県民に身近な規模とする二次医療圏再編も視野に入れることも必要だと思いますが、各医療圏で完結できる医療供給体制の整備を図るため、県はどんな役割を果たそうとするのか、考えをお聞かせください。
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保健福祉部長の答弁

 医療環境の整備につきましては、医師をめざす高校生への啓発や県立医科大学や自治医科大学における学生の教育、臨床研修医の指導、さらには、医師の県内への就職及び定着の促進などに努めるとともに、医科大学等の教育機関や市町村、医療関係機関等との連携を進めることにより、総合的な医療環境の整備充実を目指し、今後とも、医師の確保に努めてまいりたいと考えております。

 次に、研修と労働の環境整備につきましては、独自の施策であるへき地勤務医の研修制度や臨床研修指導医養成講習会などによる研修機会の確保、また、医療機関の機能連係と機能分化による効率的な医療資源の活用などにより、医師の資質の向上と働きやすい環境づくりに努めているところであります。

 今後とも、国の医療制度改革の動向も見据えながら、取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、医療提供体制につきましては、「うつくしま保健医療福祉プラン21」において地理的条件や医療等の需給関係などを考慮し、医療圏を定めております。

 二次医療圏につきましては、7つの生活圏を基本とし、入院医療、専門外来医療を提供する区域に位置付けるとともに、各種の指標を掲げ、医療水準の向上に努めております。

 今後とも、県民が安心して暮らせる医療提供体制の整備に努めてまいります。
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2004年12月議会一般質問
次に、リハビリテーションについて伺います。

 県は七年前に、リハビリテーション飯坂温泉病院について「リハビリテーションの専門病院として運動機能の回復を目的とした、より高度なリハビリテーション医療を提供するため、その機能の充実と、病院施設の整備を図る」ものとされています。また今年度から飯坂温泉病院は、県地域リハビリテーション支援センターに指定もされています。

 競争原理のもとで民間だけでは立ち行かないことが明らかなリハビリの分野で、なおかつネットワークづくりに不可欠な各事業所などからの情報収集・調整を一民間病院が担えないことから、県としては当然のことだと思います。

 また、高機能のリハビリに特化する病院が単独で生き残ることは、現在の医療や介護保険制度のもとでは不可能でしょう。そこで県は、県が進める地域リハビリテーション支援体制の中で、リハビリテーション飯坂温泉病院をどう位置づけ、どう充実を図ろうとされるのか、お示しください。
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保健福祉部長の答弁

 地域リハビリテーション支援体制につきましては、県内七保健福祉圏域の八カ所の医療機関を広域支援センターとし、それらを全体的に支援する県支援センターとして、本年五月にリハビリテーション飯坂温泉病院を指定したところであります。

 県支援センターの今後のあり方につきましては、本年度、関係機関で構成する県地域リハビリテーション協議会において検討を進めているところであります。
2003年12月議会一般質問
次に、 県としての医師の確保についてお尋ねします。
 
 県内の医師数は、 人口当たりで見ると、 県全体では全国平均よりも五百人前後足りません。

 また、 昨年度の保健所による立入検査の結果を見ても、 百五十二施設中ほぼ四割、 しかも保健所があるすべての地域の六十の施設が、 法律上の医師数を満たしていないということです。 県立九病院全体で見ても、 ほぼ十人不足しています。
 
 只見町朝日診療所の例に見られるように、 医療過疎地域、 僻地医療をめぐってはさらに深刻です。 厚労省調査による県内十五市町村、 三十一地区の無医地区対策も急がなければなりません。 県は、 年内に医師不在地への派遣システム行動計画を策定するということですが、 遅きに失した感は否めません。

 県は、 保健医療福祉プラン21において、 県民の医療需要に的確に対応するため、 医療資源の適正配置や医療施設の診療機能の整備充実が求められているとの現状認識に基づき、 初期医療や在宅医療などの一次医療、 多様な疾患に対応するために高額医療機器などの整備を進める二次医療、 そして特殊医療機器や施設が必要な三次医療、 それぞれの機能充実をうたっています。

 医療の中心には医師がいるわけですから、 県立医科大学を有する県当局として、 これまでの県内の医師数確保のためにどのような手だてをしてきたのか、 にもかかわらず、 なぜこれほど医師の不足が生じていると分析をしているのか、 その上に立って今後どのように医師数を確保されるのか、 具体的な方針をお聞かせください。

 また、 県当局と連携し、 その施策を支援する医科大学としては、 この医師確保について、 具体的にどのような支援策をお持ちなのか伺います。
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保健福祉部長の答弁

 
医師確保につきましては、 本県では昭和二十二年以降、 県立医科大学を設置して、 地域の医療を担う医師を養成してきたほか、 僻地に勤務する医師を確保するため、 昭和四十七年に設立された自治医科大学において、 毎年二名ないし三名の医師を養成してまいりました。

 しかしながら、 依然として山間地域や地域医療の中核である県立病院の医師不足が深刻であることから、 県立医科大学と連携した医師確保に必死に取り組むとともに、 自治医科大学卒業生については、 義務年限終了後も県内に定着するよう強く働きかけ、 現在までに三十名中十六名が県内に就業中であります。

 また、 今年度からは、 県立病院への勤務を条件とした修学資金貸与事業を創設するなどして、 医師確保に努めてきたところであります。

 次に、 医師不足の原因につきましては、 医科大学の定員は、 人口百万人当たり全国平均が六十・七人に対し、 本県は三十七・七人と、 県立医科大学の入学定員が極めて少ないことや、 医師は研究環境のよいところに集まりやすいこと、 また基本的に自由業であることのほか、 本県の医療の特徴として民間医療機関の役割が大きいことから、 医師が都市部に集中し、 特に僻地等において医師不足が顕著になっているものと考えております。

 次に、 こうした課題に的確に対応するために、 今後の医師確保への取り組みにつきましては、 県立医科大学の定員枠拡大の特区申請を行うとともに、 県立医科大学や自治医科大学と連携した効果的な医師確保対策や、 総合的な僻地医療の支援システムなどを盛り込んだアクションプログラムを年内を目途に策定し、 そのプログラムの計画的な推進を図ってまいる考えであります。
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医科大学長の答弁

 
医師確保の支援につきましては、 本学の重要な使命の一つであるという認識のもとに、 地域医療の支援を検討する地域医療支援委員会を設置し、 地域医療機関の医師確保に関する要請に対し、 学内の窓口を一元化するなどのシステムを整備したところであります。

 また、 本県における地域医療の担い手となる医師を確保するため、 医学部に推薦入学選抜を導入するなど、 卒業者の県内定着を図っております。

 今後は、 僻地医療対策アクションプログラム等を踏まえ、 医科大学としての役割を積極的に担ってまいりたいと考えております。  
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再々質問

 医師の確保について、 立ち入って少しお伺いしたいのですけれども、 この間いろいろ問題になっている県立大野病院、 ことしの一月に新築移転いたしましたけれども、 ここは小児科を予定していたところ、 小児科の医師の確保ができないで、 いまだ小児科を標榜できないでおります。

 喜多方病院も、 十月から小児科の医師がいないということになって、 きのうですか、 副知事に要請があったというようなことですけれども、 具体的にそういった県立病院二病院の小児科の医師の確保について、 今どんな状況であって、 どんな見込みかということを教えていただければと思います。 あとは過疎の医師の問題ですけれども、 県が独自に十一月末に調査をされて、 医師の実態調査をされたところ、 六つの村が無医村だというようなことのようですが、 そういった無医村の医師をどうしていくかというあたり、 具体的に、 やはりそこまで実態が把握できたんですから、 どのような構えで臨むおつもりかお聞かせください。
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保健福祉部長の答弁

 まず第一点、 県立大野病院と喜多方病院の小児科の医師の不在の問題でございますが、 確かに診療科は標榜いたしておりますが、 医師が不在のために現在診療を休診いたしております。

 地域の皆様からは、 医師確保について強い要望をいただいております。 私どもも、 医師を充足すべく、 ずっと努力をしてまいりましたが、 現状におきましてはまだ医師の確保には至っておりません。

 これは、 全体的に小児科医師が不足しているという状況の中で、 県立医大の小児科にも医師の余裕はないということが基本的な課題としてあるわけでございまして、 私どもは引き続き、 県立医大の方との連携を図りながら、 一日も早い医師確保に努力していきたいと考えております。

 それから、 過疎地域の医師確保の問題ですが、 確かに現在、 医師のいない町村が六つございますし、 この無医地区の考え方というのは、 それぞれの町村ごとに医師がいないという、 そういうとらえ方ももちろんあるわけですが、 私どもは、 例えばある一定のエリアの中で、 そこにある一定の人口がいて、 そこで医師がいるのかいないのかというような考え方でも、 無医地区というものをとらえております。

 といいますのは、 そのちょうど境のところにお医者さんがいたりするものですから、 必ずしも町村単位で無医地区の概念をとらえられないということであります。 ただ、 いずれにいたしましても、 無医地区が存在することは事実でございます。

 それで、 私どもは、 この医師不足を深刻な事態というふうにとらえておりまして、 先ほども答弁させていただきましたが、 現在医師確保のアクションプログラム、 これはかなり実効性のあるプログラムにしたいということで、 今鋭意検討中でございまして、 今年中の策定を目指しております。 そのプログラムの計画的な実効性のある推進を図って、 医師確保に努めていきたいと考えております。

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