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県議会奮戦記 >> 法人化される県立大学の発展の方向 05年10月19日 |
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法人化される県立大学の発展の方向 |
■公務・公共部門の民間化 「官から民へ」というスローガンで進められている公務・公共部門の民間化の出発点は、1981年に設置された第二次臨時行政調査会にあります。82年のこの調査会第三次答申が、行政改革の理念のひとつは「活力ある福祉社会の実現」にあるとして、教育や社会保障の分野における「自立・自助」と「民間活力」を基本にした「行政の役割の見直し」を掲げました。 その後は三公社(日本国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社)の民営化、民間委託の拡充、規制緩和、行政組織の縮小と公務員の削減、PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する法律)、構造改革特区、指定管理者制度、独立行政法人制度の導入と、大変なスピードと規模と範囲で公務・公共部門の民間化が、国主導で進められてきました。 県立大学の法人化はその一環にほかなりません。ですから私たち日本共産党県議団は、県立病院の統廃合、県立社会福祉施設の一部民間移譲、県立大学の独立行政法人化を「3大切り捨て」と批判し、医療・福祉・教育という県の本来の仕事からの切り離しだときびしく指摘してきました。 ■学問の自由と大学の自主性の保障 地方独立行政法人法(地独法)に基づく公立大学法人のしくみは、大学の設置者を自治体ではなく大学法人とし、自治体は法人に対して「効率的運営」を課します。自治体の長は大学法人の六年間の目標を定め、評価委員会を設置して業績評価をし、その結果に基づいて運営費交付金を大学法人に交付します。 私たち県議団は04年2月議会で、「法人化については、関係者全員の合意が前提であることを明確にし、急がないこと。とくに教育・研究内容へ行政が介入することなく、十分な運営費および研究費の確保を図ること」を申し入れました。 その議会では神山議員が質問に立ち、「知事が中期目標を定め、その目標に基づいて大学が策定する中期計画を知事が認可し、年度計画は知事へ届け出る義務があるしくみが、教育内容の自由を侵さないか」「県が設置する評価委員会が教育内容に踏み込んで大学の自主性を侵さないか」「運営交付金の交付がこうしたしくみのもとで恣意的に左右されないか」とただしました。 県の答弁は、議会の議決を経て知事が定める中期目標と、大学が策定して知事が認可する中期計画などについては、「大学の教育研究等にかかわるものであり、県は、それらの内容について、尊重すべき」とし、評価委員会については「大学の自主性に十分配慮し」、運営交付金については「教育・研究等に支障をきたさないことを基本」にする、というものでした。 さらに04年6月議会では、地独法に基づく公立大学のしくみが「教育内容の自由や大学の自主性が侵される可能性を内包したしくみ」と指摘して、地独法付帯決議が「公立大学法人の定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可に際しては、憲法が保障する学問の自由と大学自治を侵すことのないよう、大学の自主性、自律性が最大限発揮しうる仕組みとすること」としていることに県が責任をもつことを申し入れました。 このように私たちは、大学法人化を、県の仕事からの「切り捨て」というばかりではなく、法人化する場合でも、学問の自由と大学の自主性が保障される内容とするよう重ねて求めてきました。 ■全会派による意見作成 今年の2月議会に提案された公立大学法人定款の第一条は、「県民の保健・医療・福祉に貢献する倫理性豊かな医療人を教育・育成し、最新かつ高度な医学及び看護学を研究・創造するとともに、県民の生命と健康を守る基幹施設として全人的・統合的な保健医療を提供することを目的とする」(県立医大)、「特色ある教育研究の実践と創造性豊かな人材の育成を図り、福島県の産業・文化への貢献はもとより、学問や科学技術の限りない進歩に貢献するとともに、新たな文明・文化を創造し、人類の平和と繁栄に寄与することを目的とする」(会津大学)というもので、これらの目的に即した大学運営への監視が必要という立場から、賛成しました(全会一致)。 これにより、来年度(06年度)から県立二大学は大学法人となります。 これを受け、県議会では、県知事が策定する中期目標について、「その策定段階において県議会の立場で調査・検討を行うため、福島県議会県立大学法人化調査検討委員会」が各会派11人で設置され、そのもとのワーキンググループ(WG)も全会派5人で構成することとし、私がWGのメンバーとなりました。 8月29日に第1回の委員会を開き、10月12日に第4回の委員会で意見をまとめるまで、WGは県当局、県立二大学からの聴取を含め、7回の会合をもちました。 この会合のなかで私は、地独法69条が「設立団体は、公立大学法人に係るこの法律の規定に基づく事務を行うに当たっては、公立大学法人が設置する大学における教育研究の特性に常に配慮しなければならない」とうたっていること、03年10月の「公立大学協会見解」が、とくにこの69条を「設置自治体がしっかりした認識を持つよう要請」していること、また42条が「設立団体は、地方独立行政法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付する」と明記していることを示しながら、大学の自主性、自治体の大学に対する財源保障などを確認しました。 WGでは、(1)学の自主・自立性の尊重、(2)民の目線は地域貢献、(3)結果重視の数値目標、を基本視点として別紙(申入書 )の意見をまとめ、これを議会の意見として10月13日に議長名で知事へ提出しました。 ■公立大学発展の保障 いずれにせよ、大学の独立行政法人化は、行政のアウトソーシング(外部的民営化)として位置づけられて始まったものであり、民間手法を導入することで経営の自主性・弾力性の拡大がメリットとしてあげられていますが、運営交付金の削減や厳格な評価によってかえって弾力的運営が困難になるとも指摘されています。また、大学がおこなう教育・研究・地域貢献の内容が、時どきの行政目的に沿って変えられれば学問の衰退にもつながります。その点での監視は引き続き重要です。 そしてなによりも、大学関係者と住民が主体になった大学改革を進めることが、学問の自由と大学の自主性を守り、地域と結びついた公立大学発展の保障ではないでしょうか。 |
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