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県議会奮戦記 >> 05年9月議会・「05年度9月定例議会に関する要望書」

05年度9月定例議会に関する要望書

福島県知事
 佐藤 栄佐久 様      
                                         2005年9月7日          
                                  日本共産党福島県議会議員団
                                  団 長  神山 悦子
                                        長谷部 淳


                        9月定例議会に関する要望書

はじめに 

 郵政民営化法案が参院で否決されたことを受け、小泉首相が突然衆院を解散し9月11日投票で総選挙が行われています。この選挙で問われている重要な1つに小泉内閣の4年間の「構造改革」があり、県民の暮らし、地域経済がどうなってきたのか、地方自治が真に拡大・強化されたといえるかどうかです。

 地方自治体にとっては、政府・財界がすすめてきた「国から地方へ」「官から民へ」のスローガンのもと、市町村合併のおしつけと地方財政のしめつけ、自治体リストラの強要など、戦後の地方自治制度そのものへの攻撃であり、国の財政運営の失政のツケを地方にまわすものにほかなりません。

 また、県民にとっては、医療、年金、介護など社会保障の連続改悪で“痛み”ばかりおしつけられた4年間でもありました。しかもこれにとどまらず、今後も各種控除の縮減・廃止、消費税増税など空前の大増税計画をすすめようとしており、今年6月に成立した改悪介護保険法によって、10月から実施される「ホテルコスト代」と称した施設利用者への新たな負担増が目前です。

 富士通の突然のリストラと工場閉鎖に県民の不安が広がっています。銀行の貸し渋りや貸しはがしによる地元企業の倒産などで、依然として県内経済は深刻であり、青年の正規雇用は減る一方、不安定雇用が増えています。

 こうした“痛み”ばかりの「改革」に対して地方自治体がその役割を発揮し、県民のくらし、福祉を守ることが今ほど切に求められている時はありません。
そうした立場から、以下の実施を求めるものです。
 
1、 分権推進と称しての「行革」と来年度予算編成について

 今年3月に出された新地方行革指針は、公共サービスの市場化・民営化を、主目的にいっそうの行政「改革」を求めている。県当局は、指定管理者制度や地方独立行政法人化制度などを活用して、(1)社会福祉施設の民営化 (2)県立病院の統合・廃止 (3)県立大学の法人化の3大きりすてを具体化してきた。指定管理者制度によって、県立施設による県民サービスが市場論理にさらされるだけでなく、県立高校の統廃合の具体化も準備されている。

 こうした、地方自治体としての県の役割を縮小・撤退させることが本来の「行政改革」ではない。雇用、地場の中小企業、農林水産業の振興と県民のくらし応援という、基本的な立場を明確にして、大規模事業の見直しを中心とする歳出構造の改善を図るべきであり、来年度予算編成の抜本的見直しを求めるものである。

(1) 政府がすすめる職員定数削減の自治体リストラ強要に反対すること。
(2) 福祉・医療・教育・消防防災の職員の定数削減は行なわず、この分野の雇用を増やすこと。
(3) 不要不急の大型公共事業の見直しをすすめ、小名浜東港、トラハイ、首都機能移転への予算は計上しないこと。
(4) 県立大学は、学問の自由、地道な基礎研究など大学本来の役割を真に保障することが大切であり、職員の身分の不安定化や学費値上げにつながりかねない法人化はやめること。
(5) アウトソーシングと称して、県職員の切りすてと県民の福祉サービスの低下につながる指定管理者制度の導入は、慎重にすべきである。またそれに伴う福祉、教育施設でのあらたな利用料・手数料徴収はやめること。

2、県立病院の統廃合について

 廃止を打ち出した県立病院について、その「機能」を主に立地市町村に移譲し、それを「支援する」としているが、県事業を市町村におしつけて県自身が身軽になったにすぎないことを端的に示している。

 県民への医療供給の全体計画とそのなかでの医療過疎地対策はじめ、高度医療・救急医療・難病医療・高齢期対応のリハビリを中心とした医療などについて、また「子ども病院」の整備について、県の役割を明確にした行動計画を策定すべきである。

3、 原発について
 
 国と電気事業者の核燃料サイクル固執政策や原子力政策への批判意見は県民と県土の安全を守るうえでも重要な内容であり、引き続き社会的アピールを強めること。

 一方、東京電力福島原発でのあいつぐトラブルや事故・故障の多発は、老朽化を示すなにものでもなく、運転そのものが無理といわざるをえない。地震や津波対策に決定的欠陥があることもあらためて明らかになっており、防災計画の抜本的改善とともに廃炉の方向性を明確にするよう求めるべきである。

4、 アスベスト(石綿)対策について

(1) 関係労働者の相談、健診への積極的取り組みを行ない、県立医大をはじめ、医療機関との連携で患者の治療受け入れ体制も整備すること。
(2) アスベストの使用実態調査とその除去作業の計画を策定すること。
そのための費用を確保し、民間についての対応も検討されたい。
(3) 学校施設については、市町村立を含め、すみやかに除去できるよう、県の支援を含め具体化すること。

5、 県民のくらし応援と福祉・教育の充実を

 昨年1年間の県内の自殺者は645人にものぼり、そのうち、経済苦と健康問題が75%を占めている。長引く不況と小泉「構造改革」による弱者切り捨ての競争社会は、県民各層に深刻な影響を及ぼしている。憲法の条項と地方自治体の本旨を貫き、「いのち、人権、人格の尊重」の県政をことば通り具体化すること。

(1) 国民健康保険事業への県調整交付金に関する条例について
年々悪化する市町村国保事業の収納率(滞納額の増加)に鑑み、低所得者への負担軽減にとりくむ保険者への支援となるよう配慮すべきである。

同時に、県独自の支援を上乗せして、国保税及び一部負担金の申請減免に市町村が積極的にとりくめるようにすべきである。

資格証明書は、皆保険原則を実質的に壊すものであり、県民の人権に関わる重大な問題として、あくまで慎重を期すよう、指導・助言されたい。

(2) 障がい者への応益負担をやめること。特に10月からの重度心身障がい者
の入院食事代の自己負担導入は見送ること。
障がい者施策については、当事者参画による検討や研究が大切となって
いる。障がい者の人材育成についても多様な形で支援すること。
(3) 県立社会福祉施設への指定管理者制度導入はやめること。
(4) 介護保険制度の改悪で、介護サービスを受けられなくなる高齢者がでないよう利用料への直接助成、及び利用料を軽減する事業者への支援を行うこと。
(5) 社会保険加入世帯の乳幼児医療費を窓口で無料にする市町村が県内でも過半数を超えている。県としての早期実施をおこなうこと。
(6) 保育所の運営費助成を県負担分を超えて市町村を支援できるように検討し、全県的に待機児童の解消を図ること。
(7) 今年度から始まった30人程度学級をさらに全市町村で実施できるよう、正教員の増員などを含め必要な予算を確保すること。

6、 雇用の創出、確保について

@ 若年労働者に広がっている不正規、不安定雇用を改善して、働きがいと生活設計をもてる雇用形態になるよう、企業への働きかけ、中小企業への支援を強めること。
A  富士通の会津若松工場の閉鎖は、雇用、地域経済に甚大な影響を与えるもので、撤回を求められたい。
B  県企業局による工場団地分譲促進策については、雇用に関する条件、及び事業縮小や撤退などが一方的に行われないよう条件を付すべきである。なお、白河市の工業団地に関わる工業用水道事業は、白河市に負担させているが、分譲完了まではその維持経費について県が負担すべきである。

7、 商業の推進に関する条例について

  対象施設を大規模集客施設とし、広げること。ならびに、店舗面積を5,000u程度まで引き下げ、実効性のある内容とすること。

 新たに調査検討することとなったいわゆる「白地地域」の土地利用計画は、まちづくりにかかわる重要な課題であり、標記条例に基づく県の基本方針、または計画に反映される必要がある。

8、 災害に強い県土づくりと安全・安心対策について

(1)地震や豪雨、台風などが毎年発生しているが、災害から県民の命と財産を守ることは急務である。災害復旧に万全を期すこと。

 土砂災害の未然防止が重要であるが、民地(特に人家の裏山)の対策を一戸から対象とするなどきめこまかに、また迅速に取り組めるよう、土木、林地両面での県単事業の充実・拡大を図ること。
(2) 今出ダムの治水面での代替策を総合的に検討し、ダム事業そのものを見直すこと。
(3) 学校の耐震化を急ぐこと。
(4) 総合安全管理計画については、災害支援と救助体制の充実・強化に限定すること。
(5) 原油高騰による、漁業・農業関係者への支援を強めること。
(6) コイヘルペスへの被害が続いている。原因究明と未然防止対策、養殖業者への経営支援など対策を講じること。

9、 公共事業の入札改善について

 談合問題が相次いで発生しており、本県でも公正取引委員会の排除勧告が行われてきた。しかしながら、業界や業者の反省は見られず、極めて遺憾である。公取委も指摘しているように、高い落札率が談合の結果であることは明らかで、不当利得である。95% はもとより、90%を超える落札率の場合は、談合があったものとして業者をかえ、再入札を行うといった対策をとるべきである。


                                以上
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