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県議会奮戦記 >>> 11月定例議会に関する要望書

11月定例議会に関する要望書
  2006年11月22日
                    
福島県知事
 佐藤 雄平 様      

                                   日本共産党福島県議会議員団
                                   団 長 神山 悦子
                                   幹事長 長谷部 淳


                      11月定例議会に関する要望書

はじめに

 11月12日投票の知事選挙は、「県政汚職事件をあいまいにせず、徹底解明すること」「利権政治の温床であるムダな大型開発をやめ、県民のくらしを守ること」を大きな争点としてたたかわれました。

 談合は、知事選挙で候補者が業界から支援を受けることが根絶されない最大の原因だ、との指摘もあります。
 談合根絶、そのためにも今回の県政汚職の全容解明はさけて通れない課題であり、新知事の姿勢が試される問題です。

 同時に、県内では、政府がすすめる社会保障の連続改悪による負担増や増税路線によって、景気・雇用の悪化はさけられず、県内の中小企業、農業、漁業などへの十分な手だてが必要となっています。

 こうしたなかで、県職員だけでなく民間賃金の抑制にともなう消費支出の減退など、県内景気にマイナス影響を与え、県職員との合意もない今回の県人事委員会勧告は実施すべきではありません。

 また、子どもたちの健やかな成長と人格形成をめざす教育基本法をめぐっても、文科省の「やらせ」問題、必修単位の未履修問題、いじめ・自殺問題など、どれも法案提出者の資格にかかわる大問題にもかかわらず責任を回避したまま「愛国心」などの「徳目」を強制し、教育に国家権力が無制限に介入することができる教育基本法の全面改定案に対し、強行させない県の姿勢が求められています。

 清潔公正な県政運営と県民の目線に立ち、知事が県民に繰り返し訴えた「生まれてよかった。住んでよかった福島県に」するためにも、以下の実施を求めるものです。
 
1、知事の責任で「福島県政汚職事件」の全容解明を徹底して行い、談合体質の一掃を

@ 県政汚職・談合事件に県庁職員OB・職員がどのようにかかわったのか、かかわっていないのかを徹底的に調査し、結果を県民に示すこと。

A 知事は、その政治活動において、業界からの応援を受けない姿勢を明確にすること。

B 談合の温床ともなり、借金漬けの県財政の最大の原因でもあり、県民の暮らしのための施策を後退させる要因ともなっている小名浜人工島づくり、トラハイは中止を含め抜本的に見直すこと。

C 公共事業は、教育や福祉施設、危険箇所の解消や防災対策など生活関連の社会資本整備を中心とした事業内容を柱とすること。

D 公共事業に住民参加型の事業選択、プランニング制を導入すること。

E 公共事業は地元業者が直接受注できるよう分離分割を強め、適切な規模の発注にすること。

F 入札は、企業のランク制と地域性をふまえた条件つき一般競争入札とすること。

2、雇用の創出、確保を

 若年労働者を中心に広がっている非正規・不安定雇用を改善して、働きがいと生活設計をもてる雇用形態となるよう、企業への働きかけと中小企業への支援を強めること。

 県内中小企業の正規雇用拡大に対する県の助成制度を創設すること。

 これらの具体化のためにも、県自身が県内雇用における正規・非正規雇用状況を把握し、正規雇用の促進策をもつこと。

3、農漁業への支援策を

@ 「品目横断的経営対策」では、地域の再生産を守ることを最優先に、小規模でもがんばっている農家と集落が対象となるよう県として対応し、農民すべてが希望をもって働き続けられる支援を強めること。

A 老朽化した漁港や堤防が台風や低気圧によって決壊するなどの大きな被害が出ている。付け焼刃的対策でなく、漁業者の要望に真剣に耳を傾け、抜本的修繕策を講じて、漁業者の暮らしを守ること。

4、暮らし最優先の施策の充実を

 1) 県民医療を守ることについて

@ 県民の命・健康を守る医療に県が責任をもつ姿勢を明確に示し、医師、とりわけ病院勤務医が県内で自発的に働き続けられる研修・労働条件など、環境整備を主体的に進めること。

A 看護師不足の実態を把握し、充足を図ること。准看護師から看護師への移行を意識的・積極的に県として進めること。

B 国による療養ベッド削減策、リハビリ医療制限策によって、必要な医療が提供できない事態が生まれていないか患者の実情に即して調査し、実態に応じた県としての対策をとること。

C 市町村国民健康保険財政への県独自の援助策で国保税の引き下げ、減額・免除を市町村が住民の実態に即して実施できるよう支援すること。

2) 障がい者福祉を充実することについて

@ 障がい者の立場に立った障害者自立支援法の抜本的見直しと、「応益負担」の撤回を国に求めること。

A 地域のサービス基盤について、「依然としてサービスによっては空白地域が残されているなど、全国的な水準からは遅れてい」る(第二次福島県障がい者計画)実態を直視し、財政面を含めた基盤整備が他県に比較しても格段の努力が必要なことを認識すること。

B 「サービス水準は後退させない」との立場で、利用者負担の軽減策、事業者への支援策を県独自に講じること。

3) 介護保障といえる介護保険制度のために

@ 地域の高齢者のあらゆる相談に応える拠点である「地域包括支援センター」が、その役割を十全に発揮できるように、実態をつぶさに把握したうえで県は市町村へ最大限の支援をすること。

A 高齢者が必要とする介護サービスが提供できるよう、高齢者の暮らしの実態に即し、市町村を積極的に支援しながら在宅・施設の基盤整備を進めること。

B 保険料・利用料の減免・軽減策を市町村が充実できるよう支援するとともに、全県民を対象とした県独自の施策を創設すること。

5、子育て支援の充実を

@ 「認定子ども園」は、「保育の基本条件の切り下げ」「直接入所契約」「保育料設定の自由化」を通して認可保育所制度がくずされるしくみを内包している。幼稚園、認可外保育施設が「認定子ども園」になる場合でも、認可保育所と同様の保育が安定的・継続的に提供できるしくみを県の責任で構築すること。

A 子どもたちの医療費無料を中学卒業まで拡充すること。

6、子どもたちの豊かな人格形成につながる教育環境の整備を

@ 教育基本法全面改定案は、憲法が保障する「内心の自由」「教育の自由と自主性」を侵害することが明らかであり、県として明確に反対の意思を示すこと。

A 必修科目の「未履修」問題は、学校を子どもたちの人格形成と健やかな成長の場ではなく、子どもたちを使って進学を競う「競争」最優先の場とする典型的現われであり、その原因を表面的検証に終わらせず、徹底検証し、子どもたちにも説明すること。

B 学校間の序列化を進める県立高校普通科通学区域の一円化はしないこと。

C 学校施設、とりわけ公立小中学校の耐震改修は、市町村まかせでなく、県自身の課題として位置づけて計画的・早急に進めること。

7、県の原発行政について

@ 原発に依存する地域経済のありかたや、プルトニウム依存の原子力政策に異議を提起し、「原子力安全・保安院の分離独立」など、県民の安全・安心を最優先にした県の原子力行政の到達を十分にふまえること。

A 東京電力福島原発でのあいつぐトラブルや事故・故障の多発は、老朽化を示すなにものでもなく、「維持基準」導入以前の問題である。プルサーマルも、老朽原発酷使を通して原発の危険をいっそう増大させる。老朽原発の運転そのものが無理といわざるをえず、「廃炉」の方向を明確にするよう国に求めること。

B 福島原発では、津波対策においても引き潮時や高潮時に取水できなくなるおそれがあるなど、設計時点から地震や津波対策に決定的欠陥があることが明らかになっている。抜本的な対策を直ちにとるよう求め、県の防災計画については、抜本的改善を図ること。

8、人事委員会勧告に基づく職員給与改定は実施しないこと

 民間給与所得が落ち込んでいる原因は、国の政策の後押しもあって、大企業を中心に、正規雇用を非正規雇用に置き換え、いわゆる「ワーキングプア」の深刻化をはじめ、不安定雇用が増えていることにある。

 そのもとで正規雇用者の給与も抑えられ、とりわけ中小企業で働く人びとの給与にも大きな影響を与えていることはいうまでもない。

 輸出関連の大企業や銀行が史上最高の利益を出し続けながら、給与総額が増えない原因もここにある。

 「民間給与をより適正に反映するため」として、比較対象企業規模を100人以上から50人以上に見直したことは、雇用や給与のこうした悪循環を追認する姿勢を示したに過ぎない。

 県は、県内における雇用や給与をめぐる実態とその原因にこそ目を向け、今回の人勧実施が県職員ばかりでなく、県内で働く人の雇用・賃金にどんな悪影響を及ぼすか、県民のくらしにどう悪影響を与えるか、県内経済の悪化にどう拍車をかけるか、などを十分に検討すべきである。同時に、公務員賃金が地域の民間賃金と地域経済を守り、住民に信頼される公務・公共業務を支えるものであることを、県として明確にすべきである。

 県人事委員会は、公務員の労働基本権はく奪の代償機関・中立機関としての機能を放棄し、政府の公務員人件費抑制策を強行するための機関と化していると言わざるをえない。

 県職員との合意もない、今回の勧告にもとづく期末手当の改定を行わないことを求める。

                               以 上


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