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県議会奮戦記 >>> 2007年度予算編成に関する申し入れ(第一次)

2007年度予算編成に関する申し入れ(第一次)
2006年11月22日                    

福島県知事
 佐藤 雄平 様      

                                          日本共産党福島県議会議員団
                                          団 長 神山 悦子
                                          幹事長 長谷部 淳


              2007年度予算編成に関する申し入れ(第一次)

はじめに

 安倍晋三政権が発足して2ヶ月近くになりますが、いま開かれている臨時国会では、最優先法案とする教育基本法改悪法案をはじめ「防衛省」法案などの成立をねらい、改憲手続き法案の審議も急いでいます。また小泉前内閣の「構造改革」路線を引き継ぎながらこれをさらに加速させ、国民にあらたな負担と痛みを押しつけようとしています。

 11月12日投票で行われた県知事選挙で報道各社が行った世論調査によれば、県政に何を望むかとの質問に対し、第一位が「景気・雇用対策」、第二位が「医療・福祉の充実」でした。

 戦後最長の好景気が叫ばれ、大企業の経常利益が史上最高を記録しているとは裏腹に勤労者の所得は逆に低下していますが、極端な大企業優先の政治のもとで地域経済は疲弊し、県民負担と痛みは増大するばかりです。

 来年度予算編成に当たっては、知事がこうした県民生活の実態を直視し、国の悪政からくらしと地域経済、地方自治を守ることが大切です。広域自治体として県の役割を発揮し、以下の施策の具体化を求めます。

1、「三位一体改革」による地方分権に逆行する地方自治体いじめをやめさせ、地方財源の確保と大型事業の見直しで県財政の健全化を

@ 地方交付税の削減は重大で、特に人口と面積を基準とする新型交付税については、地方の財源機能に支障をきたすことは必至です。国への批判を強め、地方への財源を保障するよう働きかけること。

A 国庫補助・負担金の大半を占めるのが、義務教育費(2兆9千億円)をはじめ、国民健康保険、公立保育所、児童手当・児童扶養手当、さらには生活保護など、教育・福祉の分野です。これらは、本来国が義務的責任を担うべきものであり、憲法25条の生存権や地方自治体のナショナルミニマムの後退につながることから、削減しないよう国に強く求めること。

B 今回の談合汚職事件の温床となったトラハイやダム建設、さらに小名浜人工島づくりなど県民にとって不要不急の大型事業を中止し、借金増大に歯止めをかけ、新たな財源確保をめざすこと。
 入札制度の思い切った改革をすすめると同時に、公共事業の中身についても見直し、身近な生活関連型の公共事業を優先させること。

2、医療・福祉を充実し県民にあたたかい県政を

「地方行革」による改革は、いっそうの福祉の切り下げと県民負担増を招きます。一方、県職員の削減や民間委託などアウトソーシングの推進も県民サービスの後退につながり、県民の安全・安心は担保されないことから慎重な対応を求めます。

@ 「児童虐待」防止対策の改善策として、中央児相の郡山相談センターの独立に向けた予算を確保するとともに、専門職をはじめスタッフの増員、研修のための費用などを確保すること。

A 「子育て支援策」の重点政策として、子育てにかかる経済的負担を軽減すること。
 具体的には、子どもの医療費無料対象年齢を中学卒業までの拡大、妊産婦健診への助成、保育料や学童保育の負担軽減、高校・大学の学費免除枠の拡大と奨学金制度を充実すること。

B 障害者自立支援法による重度者の負担増大、サービス総量制限をやめ、施設運営費などへ県の支援を拡充すること。

C 介護保険の改定による自己負担の増大やリハビリの制限などによる介護・医療サービスの後退をさせないこと。高齢化が他県より早くすすんでいる本県は、県独自の支援策で高齢者が安心して住み続けられる県政をめざすこと。

D 高すぎる国民健康保険税の引き下げができるよう県独自の支援を行うこと。

E 後期高齢者医療広域連合に県も加わり、市町村を支援しながら高齢者の医療費負担の軽減を図ること。
 
3、安心・安全な県政を

@ 医師不足解消に引き続き取り組むこと。特に、産科、小児科、麻酔科などに重点をおき、各生活圏で安心して医療を受けられる地域医療体制を確立することは急務です。

A 災害が発生しにくい県土づくりをすすめ、予防、点検、調査体制の整備とこれに必要な予算を確保すること。

4、どの子どもにも豊かな教育を保障するよう教育環境を整備すること

 子どもたちを過度な競争に追い込み、格差を広げる現在の教育行政を抜本的に見直すことを求めます。

@ 小中学校の少人数学級を推進すること。
A 県立高校の学区一円化は、新たな学校間競争と教育の格差を広げることになり、子どもたちに及ぼす影響が大きいうえ、さらに高校統廃合につながる恐れあることから実施を見送ること。

B 常勤講師の増大など安上がり教育をやめ、正教員を増やすこと。

5、市町村合併と道州制について

@ 市町村合併の押し付けをやめ、あくまでも住民の意思を尊重すること。A 道州制については、広域自治体としての県のあり方を変更させ、それをテコに国と市町村の大改編を行うことがねらいです。身近な市町村がなくなり、県と県民との距離が遠ざけられ、住民に密着した行政サービスの切り捨てにつながることから、知事は反対を表明すること。

6、県内産業の振興と地域経済への支援について

@ 県内企業の大半を占める中小企業に対する支援策を強め、地域経済と雇用拡大につながる取り組みをすること。

A 「商業まちづくり条例」を生かし、コンパクトなまちづくりと地域づくりを住民参加型で行えるよう支援すること。学生、高齢者や障がい者が利用しやすい公共交通機関の維持・発展を支援すること。

B 誘致企業に対する企業の社会的責任を求め、非正規雇用の増大など労働条件の悪化に歯止めをかけて地域経済に資するようにすること。

C 本県農業を基幹産業として位置づけ、農産物の価格保障制度を確立し自給率を高めること。安全・安心な農産物を生産し供給できる体制づくりと、農産物の「地産地消」を推進し、学校や保育所、病院などへの積極的活用を図ること。

7、原発行政に関して

@ 本県に立地している原発は、30年を経過している老朽原発がすでに3基になっています。県民の安全・安心に責任を持つ県として「廃炉」を事業者まかせにせず、具体化を強く求めること。

A 危険を増すだけのプルサーマルの導入には、きっぱり反対を表明すること。

B 原子力安全保安院を経産省から分離・独立させることを国に求めるとともに、維持基準の導入は認めないこと。

C 地震や高潮対策、トラブル発生に対しては県として厳しい態度で臨み県民の安全・安心を最優先にすること。

                         以 上
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