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県議会奮戦記 >>> 2006年6月県議会一般質問

2006年6月県議会一般質問

 日本共産党の長谷部淳です。

 最初に、教育基本法改定の動きにかかわってうかがいます。先の国会で継続審議となった教育基本法全面改定案は、なぜ今この改定が必要かという、法律策定の基本的条件である立法事実、すなわち改定の必要性や合理性をささえる社会的事実がなんら示されていません。

 そればかりか、ワールド・ベースボール・クラシックやサッカーのワールドカップを見れば、日本中に愛国心があふれているにもかかわらず、なにを意図してのことか、「国を愛する態度」などを「徳目」として強制し、内心の自由を侵害する改定案であることが明らかになりました。

 これらだけでも、廃案にすべき十分な理由です。

 しかしことは教育の自由と地方の裁量による教育行政にもかかわりますので、その角度にしぼってうかがっておきたいと思います。

 知事は、人づくりを担う県政の最重要課題として教育を位置づけられています。その位置づけは、地方が自らの責任のもと、地域の創意と工夫に基づいたきめこまやかで多様なとりくみといった、教育行政における地方の裁量を重視する立場からのものと私は理解しています。

 こうした教育のあり方は、現行教育基本法が明確に指針として示していると思います。すなわち、「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神」をそなえた「国家および社会の形成者」としての人づくりをすすめるため、第一条で教育の目的を「人格の完成」に設定し、第二条では自由な教育空間における教育方針が示され、第十条一項で「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接責任を負つて行われるべき」として、教育活動における責任が、子どもと親を中心とする国民からの要求に応える直接責任であること、第六条の教員の「全体の奉仕者」としての性格も、教育のこの直接責任性に根拠があること、また第十条二項で教育行政は、教育の外にあって教育を守り育てるための条件整備の役割をもつことを明確にし、これら全体として、教育の自由を保障する連なりと構造を持っているのであります。

 教育におけるこうした自主性の保障は、地方の裁量を最大限に発揮する大前提だと思います。

 しかるに、政府による教育基本法全面改定案は、教育行政における地方の裁量を縮減どころか、消滅させる構造すらもっています。

 すなわち、政府案第十六条は、一項で法律に基づきさえすれば国が教育内容を決定しても「不当な支配」とはならないことを確認したうえで、二項で、国に対し、「教育に関する施策を総合的に策定し、実施」する権限を与えています。この権限は政府案第五条の義務教育、第六条の学校教育においても貫かれるものです。

 さらに第十七条は、「政府」に「教育の振興に関する施策についての基本的な方針および講ずべき施策その他必要な事項について基本的な計画」を定める権限を与え、地方公共団体に対しては、この基本計画を「参酌」という名の枠をはめたうえで、地方における基本計画策定努力義務を課しているのであります。

 しかも、第十六条四項により、教育財政面においても、政府の計画の「参酌」の程度、計画の実行の程度によって、国から各地方へ移転される金額を左右することが可能なしくみです。

 このように今回の政府案は、教育行政における国と地方の役割分担の面からも、時代錯誤であり、廃案とすることがもっとも妥当と私は考えるものです。

 そこで私は知事と教育委員会委員長のお二人にうかがいます。

 現行教育基本法が果たしている役割、ならびに今回の政府案をそれぞれどのように評価されているか、所見をお聞かせください。

 つぎに、医療事故が発生した場合の、県としての原因究明・再発防止、被害者救済のしくみづくりにかかわってうかがいます。

 一昨年十二月十七日、県立大野病院で帝王切開手術中に大量出血して患者さんが亡くなりました。亡くなられた女性とご遺族に心から哀悼の意を表したいと思います。

 この医療事故は翌日に保健所に報告され、ほぼひと月後の昨年一月から三回にわたって事故調査委員会が開催され、三月三十日に調査結果が公表され、六月にはこの調査結果に基づいて県は関係者の懲戒処分を行ないました。

 大野病院では一人だけだった産科医は、医療事故から一年以上もたった今年二月十八日に逮捕、起訴されました。県警本部は、四月十四日、医師を逮捕した富岡署に本部長賞を授与しました。

 県警による医師逮捕後の一連の経過をめぐっては、全国の医療関係者から驚きと疑問の声があがっています。

 「法と証拠」という名のもと、患者さんの前で手錠をかけられるようなことが続くなら、地域から産科医がいなくなってしまうと私は危惧します。

 そこであらためて病院局にうかがいます。今回の医療事故の背景をどう認識されているか、事故調査委員会調査結果をふまえてお聞かせください。

 また、医師逮捕後、県内の産科医療提供体制に具体的にどんな影響が現れているか、県の現状認識をお聞かせください。

 さらに、産科医療体制の整備は、自分が住む地域で出産したい、あるいはふるさとへ帰って出産したいという当然の希望に応え、また地域医療体制の確保に関する各地域医師会の行政への期待にも応え、なによりも産みやすい環境づくりをかかげる県の方針とも合致するわけですが、現状をふまえたとき、県としてはどんな中長期展望をもって産科医確保と産科医療体制の整備を進めるおつもりか、お聞かせください。

 さて今回の事例では、異状死体の届出義務を定めた医師法第二一条違反も問われていますが、これは殺人などの異常な状況が認められる場合に二四時間以内の届出を規定したものと考えられてきた経過があり、異状死についての医学界・法曹界の合意はなく、医療現場は混乱しているのが現状だと思います。

 それにしても、刑事責任を問われる可能性がある医師本人に対して通報義務を課し、しかも死亡から二四時間以内に届け出なかったら逮捕する、とされてしまったら、命をあずかる地域医療をになう医師はいなくなってしまうのではないでしょうか。

 異状死の判断基準や医師法第二一条の改正は最終的には国が決めることですが、当然それは、関係者の意見を十分に聞いたうえでの話です。そこで県としても、県内の医療関係者などの声をよく聞き、意見をまとめ、国へ積極的に働きかけるべきだと思いますが、現状の認識と考えをお示しください。


 医療事故が発生した際に必要なことは、患者・家族への誠実な対応と必要な補償とともに、原因を究明し、再発を防止し、医療の安全性・質を高め、医療に対する国民の信頼をとりもどすことです。それには、医療機関自らが努力し役割を発揮することと同時に、行政機関あげてとりくむことが必要です。

 行政としては、医療機関・患者双方からの相談窓口ともなり、医療事故を調査し、原因究明・再発防止に役立てる第三者機関を設置することが必要ではないでしょうか。

 また、医療紛争は、医療行為に過失がなくても、患者の期待と医療結果が一致しなければ発生しうるものです。
これが裁判になれば、患者や医療者双方にとって精神的にも経済的にも大きな負担となります。

 そこで、訴訟に至る前に、事故原因を明らかにし、被害者、医療機関の間を調停し、裁判によらない紛争解決ができる機能をこの第三者機関にもたせることも大切だと思います。

 現在、県には、県民からの相談・苦情・要望などに対応するための県医療相談センターがありますが、このセンターが嘱託職員一人の現在の体制と予算でこうした機能を果たすことは困難です。

そこで、いま提案した第三者機関を県として設置することについて、県の考えをお聞かせください。

 つぎに、介護保険についてうかがいます。

 四月一日から改定介護保険が実施されています。私は、これを前後して事業所を訪問し、話をうかがってまいりました。

 居宅介護支援事業も手がけるある施設長は、「これまでケアマネジャーを三人雇っていたが、四月からは一人にして介護度の重い利用者のケアプランだけを担当してもらわざるをえない」と、人を雇う側の立場からは言われていました。

 すなわち、包括支援センターから委託されるケアプラン作成の報酬は、これまでの半分以下にされたうえ、ケアマネジャーをふやしてケアプラン作成数をふやしても人件費に見合うものではないため、事業所としては軽度の人のプランは扱えず、プランづくりの相談を受けられないケアマネ難民の発生が始まっている、というのです。

 またある事業所での話では、これまで給付対象となっていた車椅子や介護ベッドなどが、六か月間の経過措置があるものの、「要支援」と「要介護1」の人については原則対象外とされたため、自立した生活に不可欠だったこうした福祉用具が文字通り取り上げられ、利用者もケアマネジャーも途方にくれる思いだ、とのことです。利用者の中には、これまでは介護保険で介護ベッドを利用できたので、自分のベッドを処分してしまったら、介護ベッドが使えなくなり、またベッドを買わざるを得なくなった人もいました。

 さらに、これまで一時間を超えると三十分ごとに加算されていた訪問介護の生活援助の介護報酬が、一時間以上はどれだけやっても頭打ちにされたため、買物、調理、掃除、洗濯に三時間かかった生活援助はできなくなり、事業所は、採算が取れないサービスは打ち切らざるをえなくなっている、利用者からすれば、生活に必要なサービスが切り捨てられている、とのことです。

 なによりも私は、この制度の実施によって発生している現場での問題を把握し、自治体でできる対応はただちにしなければならないし、制度そのものの問題であれば、国へしっかりと実態を伝えることが肝要だと思います。

 そこで最初に確認したいのは、介護保険制度において、知事がいう「現場主義」をどう具現化されようとしているのか、お聞かせください。

 さて、介護支援事業所現場では、ケアプラン作成を断らざるを得ない事態が現実に始まっていますが、こうした、ケアプラン作成を断られた、いわゆる「ケアマネ難民」がどこでどれくらいいるか把握するしくみがどうなっているかお聞かせください。

 県としては現時点で「ケアマネ難民」をどれほど把握されているか、あわせてお示しください。

 また、利用者本位の自己作成ケアプランについて、具体的にどのような支援策を検討されているかお聞かせください。

 福祉用具貸与・通院等乗降介助が新予防給付では保険対象外となりました。これまでは要支援であっても、その人に必要だとケアマネジャーが判断したからこそプランに組み込んでいたはずですが、経過措置後は一律に使えなくなります。福祉用具貸与・通院等乗降介助サービスを受けていた利用者のうち、新予防給付へ移行されたかたは何人いるのかおたずねします。
 
 ところで、通所系サービスである通所介護、通所リハビリ、短期入所の今年三月の給付件数実績を見ると、昨年十月からの滞在費・食費の自己負担がされる前の八月と比較して一割以上も減っています。

 県は介護サービスの利用について、「本人の意向や家族による介護の状況などに基づき、必要なサービスが利用されている」、「本人の心身の状況やおかれている環境等に応じ本人の選択に基づき」利用されている、「介護の社会化が定着した」と繰り返すわけですが、通所系サービスの給付件数が減っている原因についてどのように分析し、どのような対応が必要と認識しているかうかがいます。

 介護保険料の大幅アップによる影響も深刻な問題です。第一号被保険者保険料の県内基準額平均は二千六百四十円から三千四百九十六円へ三二・四%増加し、増加率は前回改定時(11.0%)の約三倍です。合併前の旧市町村を含めてみてみると、県の平均の増加率よりも大きい市町村は二八市町村にのぼり、六九・三%の桑折町を最高に五〇%以上が七市町村、最高額はいわき市の四千二百七十六円となりました。

 そこで、国が、「低所得者対策」として実施した、旧保険料第二段階の細分化による負担軽減策の効果がなくなった市町村は県内にいくつあるのでしょうか、うかがいます。

 そのうえ、税制改定による諸控除の廃止で、これまで住民税非課税だった人が課税になり、収入が変わらないのに保険料段階が上がってしまう影響が重なります。第一号被保険者四八万人のうち五万六千人のかたの保険料段階が上がる、との前議会での答弁でしたが、これらのかたがたにとって、具体的に、金額としてどれだけの影響が出ているのか、お示しください。
 
 介護保険制度を支えるケアマネジャーとホームヘルパーについてうかがいます。介護の最前線を支える彼らの仕事の内実は、住民の福祉の増進であります。地方自治法は、地方公共団体の仕事の基本を「住民の福祉の増進を図ること」としています。そこで確認したいのは、ケアマネジャーやホームヘルパーは自治体の重要な仕事の一翼を最前線でになっている、という認識、位置づけを県はされているのかどうか、お聞かせください。

 また、県内でケアマネジャーの資格をもつ人は何人いて、実際にケアマネジメント業務に従事している人数と割合、さらにそのうち常勤で専従のケアマネジャーの人数と割合をお示しください。なぜそのような割合になっていると県は評価し、どんな支援策が必要と考えているのか、国への要望事項も含め、お聞かせください。

 ホームヘルパーについても同様にお聞かせください。

 介護保険の最後に、いわゆる介護三施設の整備についてうかがいます。

 国が、現在の療養病床を、医療の必要度の高い人にしぼったベッド数に集約することを決めたこの段階で、二○○八年度中に一万七千の施設整備をするとした知事の選挙公約をふまえて、県はどのような手段でどのように実現しようとするのか具体的にお示しください。

 次に障がい者の自立支援策についてうかがいます。

 介護保険と同様、四月一日から障がい者自立支援法が施行されました。実施を控えた三月十一日には、この支援法が重圧になり、重度身体障がい者の娘を母親が殺害するといういたましい事件が福岡県で起こってしまいました。

 福祉関係者の間ではこの母親の寛大な処分を求める署名活動が広がり、その嘆願書には、「母親は介護の負担が大きく、生活にも疲れ、支援法への不安で心を閉ざし、不安定な状態になってしまっていた」と書かれていたそうです(「西日本新聞」四月十三日)。

 自立支援法の最大の問題は、障がい者が自立するために受ける社会的支援を、お金で買う商品と同じにみなして、応益負担を課すところにあります。子どもへの配慮もまったくありません。児童デイサービスでは、通園日数が多いほど支払いがふえるため、行事などの子どもの楽しみさえ、保護者は出費と相談する事態です。上限額の設定や減免では解決されない根本的な問題だと思います。

 私は、県が国に対し、この応益負担は撤回するよう強く求めるべきだと思いますが、障がい者への応益負担制度の評価とあわせ、県の考えをうかがいます。

 制度がどういじられようとも、その目的が、障がい者の生活を支えることであり、社会参加を実現することに変わりはありません。この目的を達成するには、自治体として総合的な視点をもった施策の実施が求められるし、そのためには何よりも、介護保険と同様、当事者・家族・事業者がおかれた実態の把握から出発しなければなりません。

 そこでまずうかがいたいのは、昨年度末の県内の支援費制度利用者は何人いて、負担ゼロだった人は何人いてその比率はどれだけだったのか、そして自立支援法施行によってそれぞれどう変化したのかお示しください。

 私は、障がい者が、その障がいゆえにかかる経費が大きいことにかんがみれば、障がい基礎年金だけで暮らすことすら困難な現実から、当面、県独自に、福祉サービス、自立支援医療、補そう具利用の負担額を合算しての総合負担上限額を設定し、なおかつ国が定める上限額よりも抑える措置をとることで、障がい者・家族の負担軽減を図るべきだと思いますが、考えをお聞かせください。

 最後に子育て支援策にかかわってうかがいます。

 現在の子どもたち、子どもを育てる親、今後子どもを生みたいと思う人々にとって、子どもにかかる医療費を無料にすることは、これほど安心なことはないと思います。就学前まででも大変喜ばれているわけですが、県として、乳幼児医療費助成制度を現行のもとで現物給付化した場合と、医療費無料を義務教育終了まで拡充した場合のそれぞれの必要な公費負担額はいくらになるかおうかがいをいたしまして質問を終わります。
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