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6月定例会に関する要望書
                                              2005年5月31日

福島県知事
 佐藤栄佐久 様

                                      日本共産党福島県議会議員団
                                       団 長 神 山 悦 子
                                            長谷部  淳


                          6月定例会に関する要望書

はじめに

 小泉内閣が発足してからの4年間で、国民負担増は年間約7兆円にものぼります。さらに、今年度政府予算に盛り込まれた負担増の年間約2兆円を加えると、9兆円の負担増にもなり、消費をいっそう冷え込ませ「小泉大不況」を招くことになりかねません。

 戦後60年となる年に、憲法改悪策動が「議論と政治的雰囲気づくりの段階」から「具体的な改憲案の策定をめざす新たな段階」にすすもうとしています。改憲の真の目的が、日本をアメリカいいなりに「海外で戦争をする国」につくりかえることです。米国の単独行動主義の戦争への参戦は、世界の大きな流れに逆らう道となります。こうした9条改定の動きが歴史をゆがめた侵略戦争美化論の横行・台頭とも結びついています。

 このなかで、海外での武力行使の「歯止め」となってきた9条2項を廃棄することは、自衛隊の現状追認にとどまらず、戦争放棄の1項をふくめた9条全体を廃棄することになり、絶対にそのような策動を許してはなりません。

 住民福祉を最優先することをうたう25条や地方自治法は、平和へのこの強い意志を表現した9条と一体のものとして政治に生かさなければなりません。

 今年度の県予算には、重度心身障がい者医療費補助事業に入院食事代の自己負担導入、敬老祝い金の廃止、県立高校授業料などの値上げなど県民への冷たい仕打ちが盛り込まれています。

 知事は、県政において「思いやりの心を具現化する」、「大切なのは人間の安全保障」、「共生の論理に導かれた社会」を強調し、「いのち・人権・人格の尊重」をとなえています。

 県政の運営にあたっては、こうした政府動向と県民の暮らしの実態をふまえ、住民の福祉の増進に重点をおき、県民に安易な負担を求めず、県民の暮らしに密接な事業の切り捨ては行わないことが必要です。
 
 こうした点から6月定例県議会にあたっては、県民への冷たい仕打ちをきっぱりとやめ、(1)大型プロジェクト見直しのいっそうの徹底をはかること (2)地域での仕事確保をはかり、経済活性にも資するようにすること (3)県民の暮らしを守り、市町村の個性ある地域づくりにとりくめるよう、市町村支援をつよめることことを強く要望するものでです。

1、「指定管理者制度」導入は「住民の福祉を増進する目的」をはたすことからいささかもはずれてはなりません
もともと「公の施設」への「指定管理者制度」導入は、財界の国際戦略と、これに呼応した小泉「改革」の流れのなかで行なわれました。

 すなわち、2002年12月に出された、首相の諮問機関「総合規制改革会議」第二次答申は「株式会社参入をふくむ官製市場の民間への全面開放」を打ち出し、2003年の念頭に出された経団連のいわゆる「奥田ビジョン」は、国際競争力を強化するために、「官製市場の開放」を強調していました。そして2003年6月、の地方自治法が「改正」され、公の施設の管理運営を民間営利企業に全面的に開放したのがことの本質だと、私たちは認識しています。
 
 そうであっても、「公の施設」は「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」(地方自治 法244条)にかわりはありませんから、住民の利益を後退させるような「指定管理者制度」の導入であってはなりません。

2、国民健康保険

 国民健康保険の目的は「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」ことです。現在国保世帯は、高齢者の増加や、不況や倒産などの影響でふえ続け、全世帯数の過半数です。同時に国保税滞納世帯もふえ続け、県民の医療がおびやかされているのが実態です。
市町村民である県民が苦しんでいるとき、市町村とイコールパートナーとしての県が市町村を支援することは当然です。

@ 国保の最大の課題が、支払うことのできる保険税にすることであることを直視し、市町村が保険税を引き下げられるよう、県としての財政支援策を具体化すること

A 短期保険証、資格証明書も支払うことができる保険税にすることが課題です。これらの発行はやめさせること。

B 国保税の算定にあたっては、「所得の能力に応じて負担する原則」から、応能比率を高めることを基本として市町村を支援すること

C 「生活費非課税の原則」の具体化として、市町村が生活保護基準をもとにした減免制度を整備できるよう支援すること

D 市町村が独自に一部負担金を軽減する場合のペナルティ、収納率による差別的ペナルティののしくみを撤廃するよう、国に対し強く求めること

E 国民医療を守ることから国の責任を後退させないこと

3、原発・エネルギー問題

 社団法人土木学会が2002年2月にまとめた「原子力発電所の津波評価基準」に照らすと、東京電力の福島原発は、1960年のチリ地震津波級によって発生が想定される引き潮・高潮に対応できないことが明らかになりました。県民の安全・安心を確保する立場から、以下の点を東電に強く求めること

@ 津波の引き潮時に取水できなくなる事態を承知のまま運転を続けることはやめさせ、抜本的な対策をとること

A 津波の高潮時、海水ポンプが水没することも判明している。「水密性を有する建物内に設置されているので安全性に問題はない」だけの説明でなく、ポンプ建屋を公開するとともに、抜本的な対策をとること

B 津波で大量の土砂で原発の取水口や排水口がふさがれることのないよう、対策をとること

・ 「県民等保護計画」策定について

 阪神・淡路大震災から10年がたち、昨年はあいつぐ台風や新潟県中部地震で痛ましい犠牲が続き、年末にはスマトラ島沖地震と津波の被害が世界を驚かせました。いままさに、世界と日本は深刻な自然災害と向き合っています。
 
 地方自治体に問われているのは、政府が強引に進める有事法制に自治体を組み込んで戦争に備えるのではなく、自然災害に備えることにほかなりません。
 
 県民等保護計画策定にあたっては、県の使命が県民のいのちと財産を守ることを柱に、県に認められる責任と権限のもと、自主的・自律的に、軍事色をいっさい排し、防災計画を充実することを基本とすること。
  
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