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かけはし >>> 後期高齢者医療制度のしくみと目的

後期高齢者医療制度のしくみと目的
【しくみの概要】

 対象となる人

○ 65〜74歳を「前期」高齢者、75歳以上を「後期」高齢者と‘法定’し、75歳以上だけを対象とした独立した医療保険制度です。一昨年の「医療改革法」によって今年(2008年)4月から実施予定です。

○ 制度の対象者は、75歳以上の全員と、65〜74歳で障害認定1〜3級を受けた高齢者。生活保護世帯の後期高齢者は除外。いわき市では、08年4月時点で、障害認定者約3,500人を含め、約4万3,000人を見込んでいます。

○ これらの対象者は、現在国保であろうと、被用者保険本人であろうと、被用者保険扶養家族になっていようと、全員強制加入です。

○ いわき市では、加入者約4万3,000人のうち、1割弱の約4,000人は、現在は保険料負担をしていない、被用者保険被扶養の高齢者と見込んでいます。

○ ちなみに、06年の日本人の平均寿命は男79.00歳、女85.81歳であり、男は後期高齢者医療制度に加入して5年ほどで死亡しますが、女は11〜12年間支え続けなければなりません。

 運営と財源

○ 後期高齢者医療制度の運営主体は、都道府県を単位として、全市町村が強制加入する「広域連合」です。その議会の議員は各市町村の首長と議会の議員から選ばれるため、当事者である後期高齢者の意見を直接反映するしくみではありません。福島県では12人の構成で年一回、恒常的に開催する「懇談会」を設置することになりました。

○ 健診などの保健事業は広域連合の「努力」にゆだねられ、福島県では、市町村に広域連合が委託して実施する方向です。

○ 財源は、保険料が1割、被用者保険・国保が加入者数に応じて負担する「支援金」が4割、公費負担が5割(国4/6、県1/6、市1/6)でスタートします。

○ ちなみに「支援金」は、各保険者の健診「受診率」、保健指導「実施率」、有病者・予備軍「減少率」の各指標に基づき、上下限10%の範囲内で加算・減算するしくみです(2013年度から)。

医療費削減が目的の制度

○ 一昨年に決められた「医療改革法」の目的達成を確実なものとするために導入されるのが後期高齢者医療制度です。

○ 「目的」というのは、医療給付費を2025年までに8兆円削減することです。

○ 「削減」の内訳は、「患者負担の引き上げ」で1兆円、「診療報酬の引き下げ」で1兆円、「生活習慣病の予防策で有病者・予備軍を25%減少」で2兆円、入院日数の短縮・ベッド数削減で4兆円、計8兆円のうち5兆円を後期高齢者で削減します。

○ 都道府県単位で「医療費適正化計画」、「医療計画」、「特定健診・特定保健指導実施計画」を作らせ、都道府県に競い合わせて目的を達しようとするしくみです。達成度の低い都道府県は「特例」の診療報酬で「てこ入れ」するしくみ。

○ ちなみに、2025年に75歳になるのは今年(2008年)58歳の人、要するに50代後半以降の人たちが医療費削減の直接的ターゲットです。

○ 制度の根拠法となる「高齢者の医療の確保に関する法律」(「老人保健法」を改めた)では、老人保健法第一条の「目的」にあった「健康の保持」は削られ、その代わり「医療費の適正化」が入れられました。

容赦ない保険料徴収 天引きが基本

○ 保険料は、介護保険同様、年金月額1万5,000円(年額18万円)以上は、機械的に天引きします。これを「特別徴収」といいます。いわき市では、被保険者数の約90%は天引きと見込んでいます。保険料は死ぬまで徴収され続けます。

○ 年金が月1万5,000円に満たない人は、保険料を自分でおさめに行かなければなりません。

○ 介護保険料と医療保険料の合計が年金額の2分の1を超える場合は介護保険料だけ天引きし、医療保険料は別に支払わされます。ともかく、年金の半額までは天引きします。

 保険料額

○ 保険料は、応益割(均等割)と応能割(所得割)の組み合わせで決められます。広域連合ごとの医療費実績に基づいて決めるので、都道府県でバラバラです。2年ごとに改定され、高齢者の医療費や人口比が増えれば、保険料も値上げします。

○ このことを厚労省幹部は「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自らの感覚で感じ取っていただくことにした」と説明しています。

○ ちなみに、3年ごとに改定される介護保険基準額は、いわき市では00年2,516円⇒03年2,761円(9.7%アップ)⇒06年4,276円(54.9%アップ)の実績です。

○ 福島県では、今年4月から2年間は、均等割4万円、所得割が「賦課対象額×7.45%」です。所得に応じて最低は年額1万2,000円、最高限度額はどんなに所得があろうと50万円。

○ 低所得者に対しては、夫婦2人世帯の夫の年金収入に応じて、均等割額の7割軽減(年収168万円まで。いわき市では対象者の35.4%見込み)、5割軽減(年収192万5000円まで。同じく2.9%)、2割軽減(年収238万円まで。同じく7.4%)策をとりますが、滞納した場合は「短期保険証」の発行、1年を経過して「特別な事情」が認められなければ「保険証」の返還を求め、「資格証明書」を発行、1年6か月経過すると「保険給付の一時差し止め」が広域連合に義務づけられています。

○ 県では、一人当たり平均保険料年額は約6万7,100円、軽減後の実質額は約5万6,200円(月額4,683円)。ただし、個人ごとの保険料は、1人暮らしの場合と家族と同居している場合の低所得者減免措置が違うなど、「実際に問い合わせてもらわないと正確な保険料はわからない」(県広域連合事務局)。

○ 現在は保険料負担をしていない高齢者は、2年間に限り、保険料の均等割を半額にする予定でしたが、07年7月の参院選与党大敗北後、08年9月までの半年間は徴収「凍結」、10月から09年3月までの半年間は均等割の1割徴収、その後1年間は予定通り、それ以上長生きすれば2010年4月からは全額負担としました。

露骨な差別医療

○ 「心身の特性等を踏まえる」として、外来・入院・在宅・終末期の各分野で医療を差別・制限するしくみにします。

○ 「心身の特性等」は@治療の長期化、複数疾患への罹患(治療に時間も手間もかかる)A多くに、認知症の問題Bいずれ死を迎える、というもの。

○ 外来医療では、慢性疾患を「管理」する医療機関を一か所に限り、検査・処置・レントゲンなどを含んだ「後期高齢者診療料」を新設しました。複数の医療機関へかからないようにすること、検査回数などが増えても医療機関の収入は増えないようにするしくみです。

○ 入院医療では、「長期入院」にならない体制をとる病院を評価し、退院をこれまで以上に促すしくみにします。

○ 終末期は、「過剰医療」をしない確約をとるなどした医療機関を評価し、「手厚い医療」はしないしくみにします。

便乗天引き・値上げ

○ 後期高齢者医療制度の導入に便乗し、今年4月からは65〜74歳(前期高齢者)の国保税が年金天引きです。また、70〜74歳の窓口負担は現在の1割を2割に引き上げる予定でしたが、07年7月の参院選与党大敗北後、09年3月までの1年間は1割のままに「凍結」し、それ以上長生きする人について09年4月から2割に引き上げることにしました。

中止・撤回を

○ 参院選後、与党は、自分たちが決めた制度を一部とはいえ「凍結」することにしました。欠陥制度であることを認めたわけです。しかし、自分たちが決めた負担増を少し先送りするだけです。名ばかりのごまかしにだまされてはなりません。

○ 2月28日、野党4党は後期高齢者医療制度廃止法案を衆議院に提出しました。この法案を審議入りさせ、世界に例を見ない差別医療「後期高齢者医療制度」は中止・撤回を!
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