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かけはし >>> 後期高齢者医療制度のしくみ・・・07年12月バージョン

後期高齢者医療制度のしくみ
07年12月バージョン
 しくみの概要

 対象となる人

○ 75歳以上を対象とした独立した医療保険制度です。昨年の「医療改革法」によって、来年(2008年)4月から実施が決まっています。

○ 制度の対象者は、75歳以上の全員と、65〜74歳で障害認定1〜3級を受けた高齢者。生活保護世帯の後期高齢者は除外。いわき市では、08年4月時点で、障害認定者約3,500人を含め、約4万3,000人を見込んでいます。

○ これらの対象者は、現在国保であろうと、被用者保険本人であろうと、被用者保険扶養家族になっていようと、全員強制加入です。

○ いわき市では、加入者約4万3,000人のうち、1割弱の約4,000人は、現在は保険料負担をしていない、被用者保険被扶養の高齢者と見込んでいます。

○ ちなみに、06年の日本人の平均寿命は男79.00歳、女85.81歳であり、男は後期高齢者医療制度に加入して5年ほどで死亡しますが、女は11〜12年間支え続けなければなりません。

 運営と財源

○ 後期高齢者医療制度の運営主体は、都道府県を単位として、全市町村が強制加入する「広域連合」です。本県でも、今年2月1日に福島県後期高齢者医療広域連合が発足しました。

○ 「広域連合」に議会はありますが、議員は各市区町村の首長と議会の議員から選ばれるため、これだけでは当事者である後期高齢者の意見を直接反映するしくみではありません。福島県では12人の構成で年一回、恒常的に開催する「懇談会」を設置することになりました。

○ 財源は、保険料が1割、被用者保険・国保が加入者数に応じて負担する「支援金」が4割、公費負担が5割(国4/6、県1/6、市1/6)でまかないます。

○ ちなみに「支援金」は、各保険者の健診「受診率」、保健指導「実施率」、有病者・予備軍「減少率」の各指標に基づき、上下限10%の範囲内で加算・減算するしくみです(2013年度から)。

 医療費削減が目的の制度

○ 昨年決められた「医療改革法」の目的達成を確実なものとするために導入されるのが後期高齢者医療制度です。

○ 「目的」というのは、医療給付費を2025年までに8兆円削減することです。

○ 「削減」の内訳は、「患者負担の引き上げ」で1兆円、「診療報酬の引き下げ」で1兆円、「生活習慣病の予防策で有病者・予備軍を25%減少」で2兆円、入院日数の短縮・ベッド数削減で4兆円です。

○ 都道府県単位で「医療費適正化計画」、「医療計画」、「特定健診・特定保健指導実施計画」を作らせ、都道府県に競い合わせて目的を達しようとするしくみです。

○ ちなみに、2025年に75歳になるのは今年(2007年)57歳の人、要するに50代後半以降の人たちが医療費削減の直接的ターゲットです。

○ 制度の根拠法となる「高齢者の医療の確保に関する法律」(「老人保健法」を改めた)では、老人保健法第一条の「目的」にあった「健康の保持」は削られ、その代わり「医療費の適正化」が入れられました。

○ 健診などの保健事業は広域連合の「努力」にゆだねられました。福島県では、広域連合が市町村に委託して実施する方向です。

 容赦ない保険料徴収

天引きが基本

○ 保険料は、介護保険同様、年金月額1万5,000円(年額18万円)以上は、機械的に天引きします。これを「特別徴収」といいます。いわき市では、被保険者数の約90%は天引きと見込んでいます。保険料は死ぬまで徴収され続けます。

○ 年金が月1万5,000円に満たない人は、保険料を自分でおさめに行かなければなりません。

○ 介護保険料と医療保険料の合計が年金額の2分の1を超える場合は介護保険料だけ天引きし、医療保険料は別に支払わされます。ともかく、年金の半額までは天引きします。

 保険料額

○ 保険料額は都道府県の広域連合ごとに、医療費実績に基づいて決めるので、都道府県でバラバラです。2年ごとに改定され、高齢者の医療費が増えれば、保険料も値上げします。

○ 保険料は、応益割(均等割)と応能割(所得割)の組み合わせで決められます。所得に応じて最低は年額1万2,000円、最高限度額は50万円。

○ 低所得者に対しては、夫婦2人世帯の夫の年金収入に応じて、応益割額の7割軽減(年収168万円まで)、5割軽減(年収192万5000円まで)、2割軽減(年収238万円まで)策をとります。いわき市で軽減対象となるのは、7割軽減が35.4%、5割軽減が2.9%、2割軽減が7.4%、合計45.7%と見込まれています。

○ 保険料を滞納した場合は「短期保険証」の発行、1年を経過して「特別な事情」が認められなければ「保険証」の返還を求め、「資格証明書」を発行、1年6か月経過すると「保険給付の一時差し止め」を行なうことが広域連合に義務づけられています。

○ 県では、一人当たり平均保険料年額は約6万7,100円、軽減後の実質額は約5万6,200円(月額4,683円)。ただし、個人ごとの保険料は、1人暮らしの場合と家族と同居している場合の低所得者減免措置が違うなど、「実際に問い合わせてもらわないと正確な保険料はわからない」(県広域連合事務局)。

○ 現在は保険料負担をしていない高齢者は、2年間に限り、保険料の「応益割」を半額にします。それ以上長生きすれば全額負担。

 露骨な差別医療

○ 「心身の特性にふさわしい」医療という口実で、通院でも入院でも、疾患や治療方法ごとに「包括定額制」が考えられています(たとえば高血圧症の外来は検査・注射・投薬などすべて含めて1か月○○円限り、と決めてしまいます)。

○ このことは、後期高齢者を多く診る医療機関の経営は立ち行かないことを意味します。

○ 高齢者があらかじめ「かかりつけ医」に登録することで、「かかりつけ医」以外の医療機関への受診を制限したり、「かかりつけ医」への受診回数も制限したりすることも考えられています。

○ 後期高齢者医療制度の導入に便乗し、来年4月からは65〜74歳(前期高齢者)の国保税が年金天引きとなり、70〜74歳の窓口負担が現在の1割から2割に引き上げられます。

 中止・撤回を

○ 参院選与党大敗北後、現在は保険料負担をしていない高齢者の保険料負担については半年、窓口負担倍加は1年間に限り、「凍結」することにしました。欠陥制度であることを認めたわけです。名ばかりのごまかしにだまされてはなりません。
○ 世界に例を見ない差別医療「後期高齢者医療制度」は中止・撤回を!
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