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かけはし >>> 福島県の原発問題を考える |
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福島県の原発問題を考える | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一 新潟県中越沖地震・柏崎刈羽原発でくずれた「安全神話」 ・ 変圧器火災が柏崎市消防隊によって鎮火したのは発見から2時間後。 ・ 使用済み核燃料プールが揺れ、放射性物質を含む水があふれ、作業員がその水につかったり、飛散した水 をかぶったり、あふれた水の一部は放水口から海に放出。 ・ 排気筒から大気中に放射性物質が放出。 ・ 天井の大型クレーン破損など機会の破損、地盤・建物の破損など、被害個所やトラブル件数は9月中旬までで約2,800件。 ・ 原子炉内部の被災状況はこれから調査。 ・ 県全域に及ぶ「風評被害」は1,000億〜2,000億円とも(新潟県発表)。 二 「想定外の揺れ」ではすまされない ・ 1〜7号機のすべての原子炉建屋基礎上(地下3〜地下5階)で、設計時に想定した揺れの強さを大幅に上回る揺れ(表1)。
・ 柏崎と同程度の地震に襲われれば、柏崎刈羽原発の耐震設計以下で設計されている日本のほとんどの原発でこれを上回る被害を受けることは明らか(表2)。
・ にもかかわらず、9月20日、12事業者は「日本の原子力は、あのくらいの揺れなら大丈夫」といった趣旨の報告発表 ・ 81年に定められ、昨(06)年9月に改定されたばかりの「耐震設計指針」も抜本的見直しが必要(耐震指針検 討分科会委員を最終会合途中で辞任した石橋克彦神戸大教授「結局のところ、既存原発が一基も不適格にならないような新指針を目指していた」[雑誌『科学』07年8月号]) 三 県として国・事業者にしっかり申し入れることが大事 ・ 佐藤雄平知事「想定外の揺れを想定することが、原発の安全・安心を確保する上で大切」。この認識は重要。 ・ この認識を前提に、納得できる調査・説明を求める必要がある。 @ 双葉断層の徹底調査 「相馬市から原町市を経て双葉郡広野町に至る長さ約70kmの活断層」とされるが、東電が原発建設申請時に評価しているのは原町以北の18kmのみ。 A 過去の地震の適正な評価 福島第二原発敷地中央から西2kmを震央としたマグニチュード6.8の地震が1920(大正9)年12月に発生しているが、東電は、建設申請ではこの地震を無視している。 B チリ津波(1960年)級の引き潮、高潮発生への対応 第一原発では引き潮で機器冷却用海水が取水できなくなり、高潮では第二原発で海水ポンプが水没することがわかっており、再三の申し入れにも東電は無視。 ・ ほかに、福島県沖海底断層の徹底調査、専門の自衛消防隊・消火計画の確立も焦眉の課題 四 老朽化が進むばかりの福島の原発
・ 酷使老朽原発との「共生」を「強制」する国は、昨年度から、「高経年化炉と立地地域との共生の実現、核燃料サイクル施設の立地を促進するため」、「原子力発電施設等の地域との共生を図る地域振興」の名で、次の三つのお金を交付。 @ 運転開始後30年超の原発がある5県(福島、静岡、福井、島根、佐賀)に対して新たに5年間で25億円交付(1県で5億円)=「原子力発電施設立地地域共生交付金」 A 原発所在市町村に交付されている電源立地地域対策交付金の交付限度額のうち、運転開始後30年超の原発の加算額を倍にする B 核燃料サイクル施設設置に2010年度までに、プルサーマル導入に2006年度までに同意した都道府県に対し、同意後運転開始まで総額10億円、運転開始後5年間で総額50億円を新たに交付=「核燃料サイクル交付金」 ・ 中越沖地震被害が冷めやらないのに、原発の規制機関であるはずの原子力安全・保安院は、定期検査終了から次の検査開始 までの期間を、現行の13か月から最長24か月まで延長できるよう省令改正の方針(8月24日報道。設備利用率向上をねらう電力業界の要望にこたえる) 五 「安全」よりも「もうけ(のための運転)」優先の底知れぬ体質 ・ 2002年8月29日に検査記録改ざん・虚偽記載事件が発覚し、全基運転停止に追い込まれたものの、なぜ記録を改ざんし、虚偽記載したのか原因は明らかにされないまま、03年7月に第一原発6号機が再起動以降、次つぎと運転再開 ・ 再起動が続くなか、03年10月以降、圧力抑制室内などの「異物混入」が次つぎと発覚したものの、運転号機については「後で調べます」の態度を貫いた。 ・ 04年8月の関西電力美浜原発事故後、10月6日に第一原発5号機の配管寿命が国の基準を下回る配管があることが判明したものの、東電は8日の県の申入れを受けて12日にやっと「取り替える」と発表。その後も「取り替える必要がないのに取り替えさせられた」との態度は変わらない。 ・ 06年12月6日に第一原発1号機の冷却用海水温度データが不正操作されていたことが発覚して以降、07年1月31日に東電は「発電設備の法定検査に関するデータ処理における改ざんの有無」で、199件のデータ改ざんがあったことを公表。 ・ 07年3月30日に東電は、1978年11月に第一原発3号機で「臨界事故」、同2号機で84年10月に緊急停止し ていたこと、同4号機で98年に制御棒が34本抜けていたことなど、原発で19件、火力・水力含めて計3615件(当日12電力会社が原子力安全・保安院に報告した全件数は4518件。8割が東電) 六 原子力発電の問題点(そもそも論) @ 原子炉破壊 事故・運転ミス・装置の欠陥・地震・金属疲労・火災・コンピュータ誤作動・整備不十分・設計ミス・手抜き工事・データ改ざん… これら以外に、原子炉へのミサイル攻撃や航空機の体当たり(原発とミサイルがある限り、「核戦争」と同様の災害は起こりうる!) A 放射性廃棄物問題 最低で1,000年、寿命の長い元素の場合は1万年以上外部に漏れないように厳重に管理しなければならない。 B 廃炉問題 強い放射能を浴びた原子炉を、どこに、どのように廃棄するかの問題。 C 放射線被ばく問題 ウランの採掘から燃料棒への加工にいたる過程での天然放射線による被ばく、原子炉の検査や修理の過程での人工元素からの放射線による被ばく。これらの労働によって原発は支えられている。 D プルトニウム問題 軍事利用目的疑惑とプルサーマル計画の危険 E 温排水の環境問題 原発からは大量の温排水(原発のエネルギー効率は33%前後で、熱エネルギーの3分の2は廃熱として環境へ排出。福島の原発でいうと、年間に、猪苗代湖[貯水量38.6億t]3.3個分[128億t超]の水を県庁西庁舎[9.5万kl]95杯分[約900万kl]の石油で7℃温めて排出している勘定) ・ 原発はCO2を出さない「クリーン」エネルギーと宣伝されるが、原発には「放射能」という「クリーンでない」要 素が付き物。 「二酸化炭素を選ぶか、放射能を選ぶか」の問題としてとらえ直す必要がある。 七 原子力を扱うということ(余談) ・ 大きさでいうと、10-10mの原子の中の10-15mの原子核の世界の話。原子が直径100mとすると原子核は 1mm。別の見方をすると、原子核の大きさが1mなら、隣りの原子核までは100km。磐梯山山頂の直径1mの岩が「瞬時」にしていわき駅にぶつかってエネルギーを発するようなもの。 ・ 1cm3のさいころに原子を詰め込むと1gだが、原子核を詰め込むとその1015(1000兆倍)の10億t。 ・ 1gのウランの核分裂で得られるエネルギーは、石炭3t、石油2klのエネルギーに相当 ・ 要するに、地球上に太陽を持ち込むこと。これが原子力の危険性の本質。 以上 |
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