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かけはし >>> 「医療改革法」でどうなる? |
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「医療改革法」でどうなる? |
昨年(2006年)6月、「医療改革法」が成立しました。さっそく昨年10月からは療養病床の患者負担が引き上げられ、患者さんにも医療機関にも大打撃。 「医療改革法」は、これから住民になにをもたらすでしょうか? T 「医療改革法」の目標 2025年(平成37年)までに、医療給付費(*1)を8兆円削減します。 短期的には患者負担の引き上げで1兆円、医療機関の収入を減らすしくみ(診療報酬の引き下げ)で1兆円、中・長期的には「生活習慣病の予防」対策で2兆円、病院入院日数短縮・ベッド数削減で4兆円。 この削減を「確実なものとするために」、医療保険制度を都道府県単位の運営にし、高齢者は75歳以上を後期高齢者として区分し、都道府県ごとに後期高齢者医療広域連合を設立しました。 *1 「医療給付費」…公的医療保険からの給付費のこと。医療費全体のことではない。医療費全体がふえても、そのぶん患者負担だけがふえ、給付費がふえないしくみにしておけば国にとっては痛くもかゆくもない。 U 目標達成の具体策 @ 短期的効果策 @高齢者の自己負担引き上げ(06年10月[70歳以上で「現役並み所得者」は3割負担に]と08年4月[「現役並み所得者」でない70〜74歳は2割負担に]の二段階) A療養病床の食費・居住費は自己負担(06年10月から70歳以上、08年4月から65歳以上に拡大) B高額療養費負担上限額の引き上げ (ただし、窓口での支払いは限度額にとどめるしくみとなったので、これはおおいに活用しましょう) C「保険外併用療養費」で保険の利かない医療を拡大(混合診療制度化への地ならし) A 中・長期的効果策 都道府県に三つの計画策定義務づけ(08年度から第一期5年の計画) @「医療費適正化計画」 ・ 第一期の柱は「平均在院日数の短縮」と「糖尿病などの患者・予備軍の減少率」 平均在院日数の短縮←療養病床の廃止・削減 ↑ 「地域ケア整備構想(仮称)」(07年秋まで)←「医療計画」、「介護保険事業支援計画」と共通する横断的・統一的方針 生活習慣病患者・予備軍の「減少率」←特定健診・特定保健指導実施計画 ↑ ↑ 「健康増進計画」の見直し 実施する民間事業者の育成 ・ つまるところ、47都道府県に医療給付費を管理させ、全国平均を基準に「適正化」を競わせ、医療費抑制に都道府県が狂奔させられる「悪魔のサイクル」づくり A「医療計画」 ←「総治療期間(在院日数含む)を短くするしくみ」 =「医療費適正化計画」の平均在院日数の短縮を確実なものとするために、疾病ごとの医療機関の連携体制を地域単位で編制する ・ 「定めるべき事項」@省令で定める疾病の治療または予防にかかわる事業A救急医療、へき地の医療、小児医療等の確保事業B医療機能に関する情報提供の推進 ・ 県内各「地域」単位で、九つの主要事業(がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・小児救急を含む小児医療・周産期医療・救急医療・災害医療・へき地医療)ごとに医療連携体制(診療ネットワーク) ・ 各医療機関は「医療機能」を県に報告、患者はその情報をもとに選択 ・ 「地域完結型の医療」(各医療機関が患者に対し、治療期間開始から終了までの治療計画[地域連携クリティカル・パス]を共有) ・ 指標例 ・「総治療期間」(退院患者の平均在院日数) ・「在宅看取り率」(在宅等での死亡者数の割合) ・「地域医療カバー率」(専門医数と対象人口の比率) ・「外来受診回数」(平均診療間隔から算出) などの数値目標を設定し、都道府県ごとの目標達成度を明らかにし、ここでもまた「悪魔のサイクル」づくり B「特定健診・特定保健指導実施計画」 ・ 被用者保険と国保の各保険者(健保組合、国保組合など)に対し、40歳以上75歳未満の加入者(保険加入者とその家族)を対象に、「内臓脂肪症候群」など「生活習慣病」に特化した健診・保健指導(これを「特定健診・特定保健指導」という)の実施を義務づけ ・ 健診の「受診率」、保健指導の「実施率」、内臓脂肪症候群の有病者・予備軍の「減少率」の数値目標をもたせ、低ければ「後期高齢者医療制度」への拠出を割増負担させます(−10%〜+10%の減算・加算。大企業健保組合が上位で、市町村国保が下位なのは自明だと思いますが) ・ 都道府県ごとの「保険者協議会」「地域・職域連携推進協議会」が車の両輪で推進 ・ 負担額は保険者判断。国保は1人1300円程度を厚労省は想定。 ・ 加入者の医療費データ・健診データ突き合わせシステムが確立へ。 ・ 各保険者は2つのデータを見比べて個人ごとに特定健診受診有無、発病経過など「生活習慣病の予防」管理が可⇒これが全国レベルでのデータ集中管理システムへ向かうことは容易に考えられる(厚労省の基本政策は「重点化・効率化」。国家による国民の一元的健康管理体制の登場) ・ とくに「特定保健指導」は民間開放。自治体による住民の健康保持責務を放棄する「大転換」。住民の健康が財界のもうけの場。 V 目標達成を確実にする手段としての後期高齢者医療制度について ・ 65歳以上の高齢者を74歳までの「前期高齢者」と75歳以上の「後期高齢者」に分け、後期高齢者だけの独立した新たな医療保険制度 ・ 運営主体は県内全市町村が加入する「福島県後期高齢者医療広域連合」 ・ 75歳以上のすべての人から死ぬまで保険料を徴収。年金月額1万5千円以上の人はすべて「天引き」(「特別徴収」という。介護保険と同じ) ・ 年金月額1万5千円未満の人で、保険料滞納の場合は保険証返還のうえ、「資格証明書」 ・ 保険料は11月の広域連合議会で確定 ・ 75歳以上の「心身の特性にふさわしい」という理由で、公然と差別医療が持ち込まれる可能性があります(疾病ごとの定額払いか?) ・ 財源は保険料10%、「支援金」(健保や国保が拠出)40%、公費50% W 目標達成のための「構造改革」五つの柱 @医療は自己責任なので、憲法25条に基づいて国が国民に保障するものではありません(医療保障理念の構造改革) A医療制度は保険者・地方自治体の運営責任なので、国の社会保障制度としての責務はありません(公的医療保険の構造改革) B健康を守る責任は住民によって選ばれた政府がもつのではなくて、住民の自己責任です(健康に対する公的責任から自己責任への構造改革) C社会保障は、そのサービスの「利益」を得る人が利益に応じて負担する「受益者負担」が基本で、収入に応じて負担してもらう「応能負担」は薄めます(社会保険理念の構造改革) D医療情報提供、疾患別地域医療連携システム、医療者の資質向上など都道府県ごとに制度化し、医療機関は機能別に集約化・重点化し、再編することを通じ、医療機関・医療従事者には競争原理のもとでしっかり働いてもらいます(医療提供体制の構造改革) X 地域まるごと、健康で安全で安心な暮らしをする運動を進めてこそ、憲法25条を地域で具体化できます 先の参議院選挙は、現在の政府による無茶苦茶といっていい「構造改革」路線そのものを否定した結果といっていいと思います。 いまこそまさに、民医連・医療生協の出番です。 おおいに地域へ打って出て、私たちの医療機関・介護事業所の存在意義、医療生協そのものの存在意義を地域のなかで輝かせるときです。 (『「医療改革法」でどうなる、どうする』(日野秀逸・寺尾正之著、新日本出版社)を参照しました) |
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