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9条・11条・12条・25条・97条
改憲の本丸は九条

 日本が海外で武力行使をしない国際公約は、憲法九条二項の「戦力の不保持」と「交戦権の否認」で裏打ちされています。歴代政府は、憲法にそむいて自衛隊を創設し増強してきました。その際政府は、自衛隊は、「自衛のための必要最小限度の実力組織であり、憲法九条が禁止している戦力にはあたらない」と説明してきました。

 この建前から出てくる結論として政府は、「武力行使を目的とした海外派兵」「集団的自衛権の行使」「武力行使を伴う国連軍への参加」、この三つは憲法上できない、としてきました。九条二項による歯止めであり、九条二項が生きているあかしです。

 自民党の「新憲法草案」は九条二項を削除して、「自衛軍の保持」を明記しています。そうするとこれらの歯止めはなくなります。

 しかも、この場合の武力行使=戦争は、具体的にはアメリカの単独行動主義に基づく先制攻撃の戦争であることは、イラク戦争を見れば明らかです。

 ですから、いまある自衛隊の現状を憲法に書くだけの改憲なら賛成だ、という人も含め、海外での武力行使に反対する人は圧倒的ですから、この点で国民過半数を結集することはできると思います。

 改憲の本丸は九条を変えること、その本質は日本を「戦争できない国」から「戦争できる国」に変えること、このことを知らせ、広めることが大事だと思います。

九条と一体の人権・民主主義

 同時に私が強調したいのは、憲法九条を守り生かすことは、憲法の人権と民主主義の条項を守り生かすことと一体だ、ということです。

 来年度政府予算が自民・公明などの数の力で通されました。この予算には、定率減税の全廃とともに、高齢者と団塊世代をねらい撃ちにした医療の大改悪、給付の抑制を最大の眼目に見直された介護保険、障がい者が人間らしく生きようとする社会的支援を「利益」とみなして障がい者に定率負担を課すなどの新たな国民負担が盛り込まれています。

 私は憲法第二十五条の生存権保障からはかけ離れた事態が進んでいると思います。

 いまの憲法は、第九十七条で「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」と言い、第十一条では「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利」とうたったうえで、第二十五条をふくむ人権条項をもっています。いっさいの軍事的要素、人権制約的要素がないのは九条と一体だからです。

 第十二条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」としています。

 これをよりどころに、世界に誇るこの憲法を活かす大きな世論、市民過半数、国民過半数を結集するためにともにがんばりましょう。
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