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県議会奮戦記 >> 05年6月議会・2月議会 >> 2005年2月議会での介護保険にかかわる質問から

2005年2月議会での介護保険にかかわる質問から(2/28)

一般質問

次に介護保険にかかわってうかがいます。

 介護保険は5年前、「家族だけで介護をすることが難しくなっている」「『介護』を社会全体で支えあうしくみ」「いろいろなサービスのなかから、いつ・どこで・どんなサービスを利用するかを、利用する本人が選べる」(いわき市のパンフレット)と、行政が大々的に宣伝して始まった制度です。

 この介護保険の当初の目的をより充実する視点から、介護保険の実情を分析し、なにが問題になっているかを明らかにし、よりよい介護保障を創りだすことが必要です。

 知事は、昨年の12月議会で、特別養護老人ホームなどの入所待機者解消策を聞かれ、「家族が過度に保険サービスに依存する傾向もみられるなどの問題点」という表現で、このことがさも介護保険制度のなかの大問題であるかのように答弁されました。

 私は、この答弁は事実誤認に基づいたものであり、介護保険制度でなにを改善しなければならないかを見るうえで誤った認識だと思いますから、当該部分についてあらためて見解をお示しください。

 統計的な数値で見ると、県内では、65歳以上のかたで介護保険サービスを受けているのは1割強、10人に9人は保険料を払っているだけなのが実情です。そのうえ在宅サービスでは、受けられるサービス支給限度額の4割程度しか受けていません。1割の利用料負担の重さが、低所得者を中心にこうした事態を招いていることは想像にかたくありません。「本人が選べる」はずなのに、特別養護老人ホーム入所待機者は1万人を超えています。
 これらの数字に表れた介護保険の実情を、県はどう評価しているのかお聞かせください。

 さて政府は、今月8日、介護保険の改定案を閣議決定しました。「予防重視型のシステムへの転換」として、「新予防給付」や「地域支援事業(仮称)」を創設し、従来の「要支援」および「要介護1」の一部を「要支援1」「要支援2」に新たに振り分け、サービスの内容も名称も変更してこれまでのサービスを受けられなくし、新たなサービスの介護報酬単価も給付上減額も低くし、軽度者をターゲットに、全体として給付費を抑制するねらいが明確です。県内では要介護認定者の4割強、3万人近くの高齢者が対象にされます。
 地域支援事業(仮称)は、これまでの老人保健事業や介護予防・地域支え合い事業といった国が3分の1から2分の1の負担をしていた一般事業を、国の負担が4分の1で済み、介護保険料に負担転嫁できる介護保険に再編し、国庫負担を削減することがねらいです。そのうえ施設での居住費・食費、通所介護と通所リハビリテーションの食事代を自己負担させます。軽度者が利用者の多くを占める介護事業者の多くは、経営に深刻な打撃を受けます。
 今回の国による見直しは、ひとことで言えば、国の負担を抑制し、住民へのサービスも抑制し、住民の負担は増加させるものです。
 県としては、この見直しをどう評価しているのかお聞かせください。

 いずれにせよ、介護保険の大きな問題のひとつは、利用料負担が重いために、必要なサービスが受けられない状況が広く存在していることです。それは、内閣府経済社会総合研究所の研究者が「1割の自己負担が外部の介護サービスへの需要を減少させ、結果として家族に介護を強いている」と指摘していることからも明らかです。だからこそ、市町村が市町村民の要望を受け、独自の努力で利用料軽減策をとらざるを得ないのが実態です。
 私はあらためて、県内市町村すべてで、低所得者に対し、在宅サービスの利用料を3%に軽減できるよう、県の財政支援を求めますが、考えをお聞かせください。

また、施設整備について、知事はあと4年かけて1万7000人定員を目標とするといいますが、現在が1万4000人弱(1万3963人、05.2.1)の定員ですから、1万人を超える待機者を解消するつもりは最初からない目標です。国が示す枠である65歳以上人口の3%強の整備でよしとするのでなく、5%程度を目標に整備目標を引き上げるべきだと思いますが、考えをお聞かせください。

保健福祉部長答弁

 介護保険サービスの利用につきましては、介護の現場で業務に従事している方々との意見交換等において、ホームヘルパーが家政婦と誤解され、本来の保健サービス以外の家事援助まで求められたり、家族ができることまで介護サービスに依存する事例が見られることや、必要以上の利用が真に高齢者の自立支援につながっていないなどの問題点が指摘されているところであり、県といたしましては、介護保険制度の円滑な運営を図っていくためには、利用者や家族等の正しい制度理解とともに、真に高齢者の自立支援につながる適切なサービス利用が重要であると考えております。

 次に、介護保険の評価につきましては、本県において、現在、居宅サービスで約4万3千人、施設サービスで約1万4千人、合わせて5万7千人ほどの方がサービスを利用され、本年度の介護保険給付費も約890億円になると見込まれております。
 また、昨年実施した利用者アンケートにおいては、利用者本位と自己選択などを理念とする制度の理解が進むとともに、サービス内容に対する満足度も高まっているとの結果が出ていることなどから、介護保険制度については、老後を支える基礎的な社会システムとして、定着が図られているものと考えております。

介護保険制度の見直しにつきましては、現在、国会において関連法案が審議されているところであり、細部までは明らかになっておりませんが、今回の見直しは、10年後の全国の高齢者割合が4人に1人という超高齢社会を間近に控え、高齢者独居世帯や認知症高齢者の大幅な増加も見込まれる中にあって、高齢者が、介護が必要な状態となっても、尊厳を持って生き生きと生活を営んでいけるよう、介護保険制度を長期的に安定的なものとすることを目指したものとされており、将来を見据えた必要な改革であると受け止めております。

低所得者に対する利用料軽減につきましては、所得状況に応じた負担上限額や食費の標準負担額などが設定されているほか、特別対策事業費に基づく軽減措置により市町村に対し必要な支援を行っているところであり、また、市町村それぞれの主体的な判断に基づく軽減措置が講じられているところであります。

介護保険施設の整備につきましては、今回の介護保険制度の見直しにおいて、介護予防や地域ケアの推進に重点が置かれており、今後、その成果が施設整備計画に大きく影響を及ぼすと考えられることから、来年度において策定する第4次高齢者保健福祉計画等において、将来の施設サービス見込み量を的確に算定し、計画的な整備に努めてまいる考えであります。


再質問

 保健福祉部長に、介護保険にかかわってお伺いします。私が12月答弁を取り上げたのは、国が介護保険の中で要支援とか要介護1と認定される人が増えるようにソフトをいじったわけですね。これは周知の事実なんでご存じだと思うんですが、それによって要支援、介護度1の認定者数が増えたことだけをもって、数が増えたのは国民が社会制度に依存するせいだという国の言い分をオウム返しにしているのではないかと思うのです。しかも要支援の人でいえば、たぶん福島県でもホームヘルパーを受けている人は週に1.5回くらいです。要介護1でも2.5回くらいです。果たしてこういう人たちが、過度にサービスに依存するということがあり得るのか、ないはずなんです。そこのあたりの認識がおかしいのではないかと思います。そこで実態に即した認識なのかどうか、もう一度お聞かせいただければと思います。

保健福祉部長

 介護保険制度が、いわゆる家族介護から社会的介護に移行する制度であるということは十分認識しておりますし、要支援、介護度1、いわゆる介護の必要性の低いみなさまにとりましても、必要な家事援助サービスはあると基本的には認識しております。従いまして適切なケアプランのもとで、そうした介護サービスが適正に施行されることについては、なんら否定するものではありません。ただ、現場で苦労されているみなさま方とのいろんな意見交換の中で、やはり、先ほど答弁いたしましたように、本来の保険サービス以外の家事援助まで求められる場合もある、そういうケースもある、あるいは家族ができることまで介護サービスに過度の期待をされる場合もある、そういった現場の声も私どもいろいろ聞いているものですから、やはり制度にのっとった、適切なケアプランにのっとった介護サービス、この原則はご理解いただきたいなということで、私、先ほどのような答弁をさせていただきました。


再々質問

 保健福祉部長にお伺いします。ホームヘルパーが家庭に行ったときに、いろんなことをお願いされるという実情を、実は私も知ってはいるんです。ただし、なぜそのようなことになるかという背景として、やはり一割の利用料負担があり、しかも使える上限がある、枠があるわけですね。

 その中でどうしてもプランの中に入れられないサービスがあるので、来てもらった以上は、いろいろやってもらおうという事情があるということと、ヘルパーそのものが30分いたら帰らなくてはいけない、1時間いたら帰らなくてはならないというような時間小間切れ労働、あるいはマニュアル労働にされてしまっていて、本当に高齢者の心に心を寄せる専門性を発揮できるような、そういう労働条件にないということが、本人と家族やヘルパーとの関係を築く上で、家族がヘルパーを家政婦のように見るというか、そういうような関係があるということも、私はあるんじゃないかと思うんです。

 そういう意味で言うと介護保険の制度に内在した問題が、ヘルパーにいろいろお願いするというような問題に派生しているのではないかと思うのですが、そのあたりのご認識はどうかをお聞かせいただければと思います。
 
保健福祉部長
 介護保険制度もまだはじまって5年目ということでございますから、現場に様々な混乱があるということも、私は承知しておりますが、なによりも、先ほど問題も指摘されましたが、ケアプランというものが重要だと思っております。適切なケアプランというのが、この制度の要でございますので、そういう意味では、ケアマネジャーの方々に期待するところは大だという考え方を持っておりますし、また、介護保険制度の長期安定的な円滑運営を図っていくためには、何度も申し上げますが、利用者や家族等の正しい制度理解とともに、真に高齢者の自立支援につながる適切なサービス利用が重要であるという基本的な認識を持っております。
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